ブラッド・トリガーライフ

ルルザムート

第3話 part1 魔界から来た者達

2012年 9月21日 14時30分
ウルフルズアジト エントランス
(日本時刻 9月22日 3時30分)


センサーに反応のあった侵入者を探しに俺達はアジトのエントランスに来ていた
「ガルシア、あいつ…」
「どう見てもセンサー反応のあった侵入者の1人だな」
黒髪に普段は読書してます、というような優しそうな顔立ち、何処にでも売ってそうな青いズボンに灰色のパーカーを身に付けた、一部を除いて何処にでもいるような中学生くらいの少年がエントランスにいた、一部というのは持ってる物だ、あれは…

剣…だな
刃渡り70㎝くらいで装飾の凝った剣を持っている。加えて付近の様子もおかしい、隠してあった地下シェルターの入口が開いている、壊されていると言った方がいいか?そして何よりエントランス入口が異常だ、まるでその範囲だけこの世界から消えてしまったかのような…とどのつまり入口付近の壁がカマボコ状に抉れて無くなっていた

「入口を抉ったのはあいつじゃなさそうだが…どちらにせよあいつは人間じゃない・・・・・・な…お前はあのガキから何か情報を聞き出せ、拒んだり敵意を感じたら殺せ、殺せそうになければ閃光弾を使って隠れろ、いいな?」
「了解」
ハンドガンを抜き、気付かれないように壁から受付カウンターへ、柱へ移動する

「…」クイクイッ
ガルシアのハンドサイン…別の入り口から地下シェルターに?
「…」パタパタ
了解…と、さて…

ゆっくり移動…足音も気配も呼吸も、全て止めて少年の背後へ
「…」
たかが中学生くらいの子供に大袈裟か?いや、そんなことは微塵も無い、戦闘能力に年齢は関係無いことを他でも無い俺がよく知っている

後ろからゆっくり近づき、銃を少年の後頭部へ押し付ける
「これはセミオートマチックハンドガン、いつでもアンタの頭を撃ち抜くことができる、命が惜しいなら言うことに従ってくれ、従うならカスリ傷1つ付けないと約束する」

「…」
「…」
なんて間抜けなことをしてるんだ俺は、剣を持った相手にわざわざ射程圏まで近づいて銃を突き付けるなんて…わざわざ剣を見せてくれているんだ、剣の間合いを見て攻撃範囲外ギリギリで銃を向けるべきだ

しかしやってしまったものは仕方ない、ここは相手の出方を伺おう…
「…僕らに争う気はありません、従いますので話を聞いていただけませんか?」
どうやら向こうに戦意は無いようだ、正直かなりほっとしている

「分かった、ひとまずそこの…出入口だったとこから外へ出よう、歩いてくれ」
抵抗する素振りも無く、少年は指示の通り歩く
ちょうどいいから聞いておこう

「ここの破壊の跡…君がやったのか?」
「いや僕ではありません僕の同行者です、勝手に建築物を破壊して本当に悪いことをしてしまった…」
物腰低く少年はただ謝る、その言葉からは本当にすまないと思う気持ちが伝わってくる

「そうか…じゃあもう一つ聞かせてくれ、君は…君達は何者なんだ?雰囲気から言ってもしやエレナくんの関係者か?」
といっても常軌を逸している、という意味の雰囲気で髪の感じとかは結構違うが…あ、でも顔立ちとかは似てる?

「エレナ?ちょ、ちょっと待って欲しい!エレナを知ってるのか!?」
「銀髪の8〜9歳くらいの女の子なら知ってるよ」
どうやら彼女の関係者だったらしく口調も外見相応のものに戻っている
…銃口は外しても大丈夫か

「僕らはその子を探しにやってきたんだ、無事なのか?君達はエレナとどこで会った?要求できる立場じゃないけど頼む!知っているならその子がどこにいるか教えてくれ!」
銃口を外した瞬間わっ、とまくしたてる少年にゆっくり言葉を返す
「俺も分からないんだ、そもそも君がエレナの関係者だと思ってこうして質問したに過ぎないよ、彼女を探しているのは俺達も同じだ」

もっとも彼はエレナくんを殺すために探している訳じゃなさそうだが
「そうなのか…しかしエレナを探しているとはどういうことなんだ?君はエレナとどんな関係なんだ?」
「うーん、それは…」

言うべきだろうか?彼がエレナくんの関係者だと言うなら彼や彼の同行者もエレナくんのような力を持っていても不思議じゃない、付け加えれば他にそういう人物が何人居てもおかしくない
「…」

判断が難しい、というかそもそも俺は彼のことを殆ど知らない、そんな状態でこちらの事情をペラペラと喋るのはただのバカだろう、しかし…
「悪いけどどこの誰とも分からない人に喋るつもりは無いよ」
「…そうですか」
「だから自己紹介から始めよう、俺はジェルフ・シュナイダー、狙撃手だ」

彼からは敵意や悪意、害意といったものは感じない、まずは彼を知ろう
自己紹介をし、右手を差し出す
「そうですね、ではこちらも自己紹介させてもらいます、僕はアーサー・アルコット、信じられないとは思いますがこことは別の世界…魔界アルバシオン王国から来ました。種族は…悪魔と吸血鬼のハーフと思って下さい、人間とこうして話すのは始めてです。」

簡潔な俺の自己紹介とは反対に細かく自己紹介をして俺の手を取り握手をする少年、アーサー
といっても何言ってるか殆ど理解できなかったが1つだけ明確に理解できた
「アルコットというとエレナの…?」
「ええ、僕は彼女の兄です」

そうだったのか…
それを聞いて俺は俺達がどうしてエレナを追っているか話すことにした、顔立ちもなんとなく似ているし嘘にも思えなかったからだ

「俺が…俺達がどうしてエレナくんを探しているか話しておくよ、君は悪意や害意を持ってるようには感じないしな」
「ほ、本当かい!教えてくれ!」
そして俺はエレナくんが何をしたか、それによってボスがエレナくんにどれほどの報復心を抱いているか、またボスがどれだけ危険な存在かを説明した

「何かの間違いだ!エレナはそんな恐ろしいことする子じゃない!」
俺の説明が終わった途端やや興奮気味に怒鳴る一歩手前の声量を吐き出すアーサー
しかし無理もない、あなたの妹が大勢殺しました。なんて言われて納得できる兄は居ない、それにこちらも説明の途中途中でエレナくんについて質問したが聞いている限り俺が助けた時と同じような若干人見知りの心優しい少女だった

「俺もそう思う、でも今重要なのはエレナくんがそれをしたかどうかじゃないと思う」
そう、エレナくんがあれをやったかどうかに関わらずガルシアは彼女を殺そうとしている、その事実は変わらない…ウルフルズ団員を殺したのはきっとエレナくんじゃない、あれは…きっとエレナくんではないもう1人だ…うん

「このままじゃエレナくんが危険だ、何せ鉢合わせたら間違いなく殺されるんだからな」
「理想はエレナがその人に見つかる前に僕らが見つけてーーーそういえばその…あなたの上司はどこに?」
「多分地下シェルターだね、地下への階段が壊されてるのを見てその先に君とは別にもう1人居ると思ったんだろう」

そしてその推測は正しいようだ、ガルシアが未だにこっちに来ないと言うことは地下シェルターに彼の同行者がいるのだろう
「…姉さん」
アーサーの様子を見るに確定だ

「ひとまずシェルターの方に行こう、多分君達のことを詳しく知ったらボスは君達も殺そうとするかもしれない」
「うーん、人間に殺されるとは思えないけど…うん、行こう」

正直説得できるかかなり怪しいがーーー
「無理だろ、フツーに考えてガルシアを説得とか」
「「!?」」
今のは俺の声でもアーサーの声でもない、さっきまで居なかったハズの第三者

「怒ってるからとかそういうことじゃない、元々無理なんだよ」
赤いのっぺらぼうみたいな仮面を付けた男が、つまらなさそうに立っていた
「分かるか?ジェルフ」
な、なんだ…!?コイツは…?


第3話 part2へ続く



↓プロフィール

アーサー・アルコット
性別 男
年齢 14歳
身長 160㎝
体重 60㎏
血液型 A
髪の色 黒
目の色 緑
武器 剣
好きなもの ?
嫌いなもの ?

魔界から妹であるエレナを探しにやってきたと言う少年。姉と一緒に人間界へと来たようだ。
基本的に物腰の低く、年齢や外見に見合わない礼儀の正しい少年。何故か髪を染めた形跡があるが…

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