ブラッド・トリガーライフ

ルルザムート

第2話 part1 狼の怒り

2012年 9月21日 12時30分
ギャラクシー・ウルフルズ予備アジト
(日本時刻 9月22日 1時30分)


テレビ「えー、ハイジャックされたアメリカ行きの『398便』について新しい情報が入ってきました。なんと勇気ある日本人女性がハイジャック犯を止…」ピッ
ジェルフ「…」

テレビの電源を切り、ベッドで眠っているボスに目を向ける。ボスは…ガルシアはまだ目覚めない。
ジェルフ「ボス」
俺は今までボスの行動をやりすぎだと捉えることが多かったが今になってその考えは少しだけ変わった

敵を徹底的に排除することで仲間を守る…もしエレナ君を見つけたのが俺でなくボスだったら…みんなは死なずに済んだのか?

ジェルフ「だからって無抵抗の人間や、非戦闘員を手にかけるのは間違っている…と思う」
汚い窓の外を見て考える

ジェルフ「…俺の所為、なのか」
自分の言葉で胸が痛くなる
少し…外の空気を吸ってくるか…

ガタ…
ジェルフ「!」
背後からの物音に俺は手をかけようとしていたドアノブから手を離し、音の方を見る

ガルシア「…やれやれ」バサッ
ジェルフ「ボス!良かっーーー」
ガルシア「あの小娘に関する情報を全て出せ」
俺を無視し、威圧感ある口調で命令してくるボス
…予想はしてたが

ジェルフ「あの…」
ガルシア「出せ」

ジェルフ「…名前はエレナ・アルコット、銀髪の髪と赤色の眼に弓を持っていました。また服装は日本の中学生服に近いものを着用していました」

ボスの敵を見るような目に耐えられず、俺はあの少女のことを話してしまっていた
ガルシア「残っているのはお前だけか?」
ジェルフ「いえ、本部を離れていた団員が緊急時につき何人か戻ってきています」

現在その団員達は別の予備アジトで休息を取らしている
ガルシア「全員叩き起こして準備をさせる。お前も準備しろ、15分後に出発だ」
ジェルフ「出発って…?」

半分、俺はガルシアの答えが分かってていて聞いた
ガルシア「エレナを追うんだよ」チッ
…やっぱりか
怒りとイラつきが入り混じった舌打ちをすると同時に出入口のドアに行くガルシア

ジェルフ「…了解」
ガルシア「俺はあいつらを起こしてくる、いいかジェルフ」
ボスは立てかけてあった対物ライフルを取り、
ガルシア「これ以上妙な気を起こすなよ…?」
俺を睨みつけながらそう言い、出て行った

ジェルフ「…」
俺は…どうしたら良かったんだ…


2012年 9月21日 12時45分
予備アジト前
(日本時刻 9月22日 1時45分)


ガルシア「目的は1つだ。俺達の敵、エレナ・アルコットの捕獲だ、何か質問は?」
女性団員1「はい、目標の外見的特徴についての情報はありませんか?」
ガルシア「髪は銀髪で瞳は赤、日本の学生服のようなものを着用していたそうだ、他に質問は?」

ボスがそう言うと1人の男性団員が困惑しながら手を上げた
困惑するのも当然だ、俺は今ボスに…銃を突きつけられているのだから

ガルシア「なんだ?」
男性団員1「あのゼイロさん…何故ジェルフさんに銃を突きつけていーーー」
ガルシア「『敵』だからだ、他に質問は?」

彼が言い終わるよりも早くガルシアは答える、そのガルシアの尋常ではない様子を見て質問しかけていた他の団員達も手を下げた
ガルシア「…無いな、行くぞ」

俺とボス、そして6人の団員、計8人でのエレナ・アルコット追跡が始まった
ガルシア「さっき街の監視カメラ等を調べたがエレナらしき人物は写っていなかった…まだ近くにいる…こっちだ」

俺に銃口を向けたままゆっくり歩くボス、団員もそれに続く…そして大量のコンテナが置いてある港のコンテナ置き場に着いた
ガルシア「隠れるとしたらここだ…おい!ここのコンテナを全部調べるぞ、邪魔する奴がいれば始末していいーーーいや、始末しておけ。散開。」

ボスの命令でそれぞれがコンテナを調べに行く。団員6人とも見えなくなったところでボスもコンテナの1つへと向かった、もちろん俺に銃口を向けたまま…
ガルシア「…」
無表情、機械的動作で端から順に1つずつコンテナの扉を開くボス

ジェルフ「ボス、俺はーーー」
ガルシア「動くな、以上だ」
ジェルフ「…」

ボスは今コンテナを調べている…銃口は外されたが俺への刺すような殺気は変わっていない
…ボスはエレナ・アルコットを殺害した後、恐らくーーー
ジェルフ「俺も…殺す気だろうな」

そんなことを考えていると不意にボスの連絡用端末が鳴った
ガルシア「なんだ…妙なコンテナ?分かったすぐに行く」
通信を切り、端末で何かを確認するボス
ちょっと遠いな…聞き取れない…

ガルシア「移動するぞ、来い」
端末をしまい、再び俺に銃口を突きつけて歩き出すボス、少し歩くと海に面したコンテナ置き場の端に着いた

男性団員2「あっ、ゼイロさん!このコンテナです!」
こちらを見つけた男性団員が手を振る、そしてその団員のすぐ横のコンテナにはーーー
ジェルフ「…!?」
これは一体…!?

まるで大砲の弾が直撃したように大きく側面がへこんだコンテナがあった。
ガルシア「仲間割れか、もしくは新たな敵か…」
呟くボスに団員が疑問を投げかける
男性団員2「どういうことですか?」

ガルシア「このへこみ方…大砲でも当たったように見えるが硝煙の匂いがしない、ということは少なくとも銃火器の類のものじゃない」
男性団員2「えっと…」
何を言おうとしているか分からないと言った顔の団員
まぁ、正直俺も分からないんだが…

ガルシア「岩みたいな塊がぶつかったにしてはコンテナの傷が少なすぎる、なによりコンテナがこうなった原因がここにない」
男性団員2&ジェルフ「?」
困惑する俺達を無視して説明を続けるボス

ガルシア「ということはその『原因』はコンテナをへこませた後誰かにどかされたか、もしくは自分の足で立ち去ったか…」
男性団員2「自分の足でって…コンテナがここまで変形するほどですよ?とても人間、いや生物とは…」

そう言う団員にボスらため息をつきながらコンテナの下の方を指差す
ジェルフ「…?…!」
男性団員2「え?…あ!」

見るとコンテナの端に極少量だが血液が付着している、それもーーー
男性団員2「これ…今さっき着いたばかりじゃないですか…?」
ガルシア「ああ、少なくともこの付近にいる人外が俺たちが追っている奴とは別にもう1人いる、警戒しろ」

ライフルを構え、戦闘態勢に入るボス
男性団員2「あの、人外って…それに1人じゃないっていうのは?」
ガルシア「少しは頭を使え、1人でコンテナに…それも後ろ向きに突っ込む理由がどこにある?エレナかもう1人か、どっちが突っ込んだか分からないが間違いなくここでどっちかがコンテナに叩きつけられたのは間違いない、それと…その血液は採取しておけ」

追跡に役立つかもしれない、ボスがそう言った直後、再びボスの端末が鳴った
ガルシア「俺だ」
端末「ゼイロさん!外見的特徴が近しい少女を発見しました!コンテナ置き場の北端です!」
ガルシア「…!」

その瞬間、ボスの目の色が変わったのがはっきりと分かった
ガルシア「…分かった、可能な限り目標に接近し、肉眼で捉えたまま指示を待て」
それだけ言ってボスは通信を切り、別の指令用の端末を取り出す

ガルシア「ゼイロだ、エレナと思わしき人物を見たという情報が入った。コンテナ置き場の北端だ、全団員は作業を中断しコンテナ置き場北部入り口にて待機、指示を待て」
ボスは2つの端末とハンドガンをしまい、背負っていた対物ライフル手に持つ

ガルシア「仕留める、行くぞ」
男性団員2「了解」
ジェルフ「…了解」
こうして俺達3人はコンテナ置き場北部へと向かった


第2話 part2へ続く



↓プロフィール

レニー・ロットライン
性別 女
年齢 22歳
身長 163㎝
体重 49㎏
血液型 B型
髪の色 黒(地毛は茶)
目の色 赤
胸 B
武器 銃火器(主に小銃)
好きなもの ジゼル、チョコケーキ
嫌いなもの 米特殊部隊

犯罪組織ギャラクシー・ウルフルズの数十人いる幹部の中でも本部待機を任された3幹部エリートの1人
もう1人の3幹部であるジゼルとはウルフルズ結成前からの仲で恋人関係だったようだ
3幹部の中で唯一の非戦闘員だがその分資金調達、武器調達、医療等後方支援に指揮能力と、他の能力にズバ抜けていたのでガルシアに3幹部の1人に任命された(ジゼルと同じ高さに居たいという理由でかなり前より努力を重ねていたようだ)
部下の面倒見も良く近々ウルフルズ内のカウンセラーとしての仕事を任される予定だったがエレナ・アルコットに四肢をもがれた挙句、天井に貼り付けにされ殺害される

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