〜あの日の君は〜

ノベルバユーザー314862

第一章  第一話〜君を知る春〜

俺が高1の時に、君を初めてみた


入学式の日。俺がこれから通う高校は
咲峯サキミネ高校といって、
偏差値はそれなりだし、自分の最寄り駅から近かったから、というとても簡単な志願理由だった。最寄り駅の砂原駅の改札口を出たときから既に他の生徒達は仲良く喋っていた。
というのも、この高校の周辺には中学校が多々あるので、別にこれといっておかしいわけではなかった。
ただ、自分だけ……どこか省かれているような気がした。
だからといって別に嫌ではなかった。
なんせ俺は1人のほうが好きだし、
とても気楽だからだ。
入学式を終えて、俺は1年2組になった。
教室を入っても特に誰からも言われることはなく、自分の席につき空を眺めながら、
妹のことを考えていた………。
そんなこんなで出席や自己紹介があり、
今日は終わった。


教室を出て、昇降口に着いた。
自分の下駄箱をみると、そこには
一枚の紙切れが入っていた。
『燎くんへ
 突然のことで驚いているでしょ?
 少し話したいことがあるから、
 放課後屋上きてくれる?
           結ヶ原 藍ユイガハラ アイ

「……?……誰?」

自己紹介など聞いてなかったし、
そもそも同じ学年かもわからないので
悪戯だろうと思い、行かなかった。




「燎〜。ご飯〜。」
凛花から呼び出しが出た。
「今行く、。」

自分の部屋を出て、いつものように飯を
食べた。
うちの両親は仕事で忙しい為か中々
帰ってこないので、基本的に弁当、朝ご飯は俺が、夜ご飯は凛花が作っている。
さすが凛花ということもあり、料理の腕前も抜群でとても美味しい。

「今日も美味いな。」

「う、うるさいな〜。」

こういうとこがあるから、
可愛いと思ってしまう。
「可愛いな。」

「キモい、サイテー。」

「素直になればいいのに〜」

「マジ死ね!!」




いつも通りの会話、いつも通りの日常だったが、俺には気になることがあった。
あの手紙だ。
まず自分の性格や、中学生のときの
『同級生をいじめた』という悪い
噂のおかげで関わってくる人は居なかった。
それが、自分にとっては普通で気楽だったのに、
『結ヶ原 藍』
という人によって崩れてしまった。
「まぁ、いっか。」
手紙を2つに破いて自分の部屋のゴミ箱に
捨てた。

この日から、俺の人生を左右する道筋は既に崩れていたことを俺は知る由もなかった






コメント

コメントを書く

「学園」の人気作品

書籍化作品