2.5D/リアル世界の異世界リアル
第53話
53
その後どうなったのかは割愛させてもらうとして(汗)。
今日は他に用事があります……と、癒美が放心状態で帰っていった。
で、時計を見れば18時過ぎだった。
ピンク色のカーテンが西日の強さに負けてオレンジ一色となっている。
学園の保健室で目覚めた時のことを思い出し、不思議と懐かしくなった。
そんな折、
「憑々谷! ご飯にするか? 風呂にするか? それとも……子作りか!?」
「いやいつまで俺のターンがやってこないんだよ!?」
完膚無きまでに超デレデレモードの大和先生が、ずずずいーっと顔を近づけてくる。
が、俺はもう怖がるのもバカらしくなって、ついにブチ切れた。
「あんたは俺とトピアの敵だったろーが!? なんでこんな、一家団欒みたいなノリになっちまってるんだよ!? トピアもトピアだ! お前、先生に脅されてたりすんのかよ!?」
「……、すみません憑々谷君。少々悪ふざけが過ぎました。そんなに苛立たないでください」
トピアは大和先生とテーブルについてお茶を飲んでいた。やはりそれは信じがたい光景だったので、俺はますます訳がわからなくなっていた。
「じゃあ、全部説明してくれんだよな。あの戦いの後、色々あったんだろ」
「はい。この3日間で大きくひっくり返りました。恐らくは憑々谷君にとって良い方向に」
「え?……み、っか?」
「そうだ憑々谷。正確には丸2日と18時間が経ったのだ。つまり今日は木曜日。明後日が武闘大会となる」
「! お、俺は……そんなに寝てたってのか!?」
「はい」「ああ」
2人に即答されてしまい、俺は一瞬眩暈を覚えたが、
「って……え? トピア、そういやさっきお前、なんて言った?」
「憑々谷君にとって良い方向に。状況が大きくひっくり返りました」
「…………、なにがあったんだ?」
「えっと、それは……」
「わたしから説明したほうが早いだろうな」
大和先生が割って入ってくる。
湯飲みを持ち上げ、お茶を一気に呷ると、
「まずは褒めてやろう。お前はあの戦いでわたしを倒したのだ。お前が苦しそうになにか言っていたが、それを聞き終えるより先にわたしは気絶したのだからな」
「……マジか」
正直、あの時は勝利の手ごたえなんて感じ取れなかった。それだけにビックリだ。
大和先生がこんな風にデレデレになっているから、それが事実で合っているのだろうが……。
「ただし、だ。全員が気絶している中で、いち早く目覚めたのはこのわたしだった。わたしはお前と早く子作りしたい衝動に駆られながらも、車を調達し、お前達をわたしが住むこのマンションに移送した。……そして、それぞれの怪我の手当てをしている最中に、トピアが目覚めた」
「そ、それで? お前らはまた戦ったのか?」
2人を見合わせると、トピアが首を横に振った。
「いえ。わたしは再戦の気力が全く湧きませんでしたね。大和先生が……今以上に憑々谷君を溺愛している様子でしたから……」
「……………………、そうっすか」
良い男の条件を満たした上で、大和先生の異能力から生き延びてみせたからだな。
なんだこのやっちまった感。ハンパない。
そしてどんな溺愛っぷりだったんだろう……(畏怖)。
「話を続けるぞ。わたしは真っ先にトピアに訊ねた。『憑々谷がわたしの知っている憑々谷ではなかった、コイツはどうなってしまったんだ?』ってな。だってそうだろう? あんな『しょうもない異能力』でわたしに勝とうとは、正気の沙汰じゃあない」
……あぁ、そうだな。先生からしたら俺は派生能力を多数所持している危険人物だ。
パンチラの風なんかと比較にならないほど、より強力でより有効な異能力を発効すると期待していたはずだ。
「問い詰められたわたしは、これ以上憑々谷君に危害を加えないことを条件に、憑々谷君のあらゆる事情を大和先生に明かしました。……すみません、わたしにはもうそうするしか思いつかなかったんです……」
「あー気にすんな。元々俺が提案してたしな。大和先生を味方にしたらどうだ、って」
肩身の狭そうなトピアに俺は笑ってみせる。
それを見、彼女が僅かに目尻を下げた。
「それで? お前らは俺に関しての情報を共有したわけだろ? じゃあ異能警察には黙っておくことにしてくれたのか?」
「いや。黙ってなどいられるか」
「……。え?」
俺は思わず顔を強張らせた。
(それってつまり……異能警察に報告したってことか? 俺がこの世界の人間じゃないこととか、そもそもこの世界は小説の中だってことを!?)
だがそれならそれで疑問だ。
どうして俺は今、先生の部屋で療養していられる……?
「ふん。どうやら混乱させてしまったようだな。ならば端的に言おう―――」
大和先生が口を閉じる。
とその時、トピアがなにかを思い出したように溜息を溢した。
かくして大和先生は俺に、驚愕必至の事実を告げてきた。
「わたしはな、部内で大暴れしたのだ。『憑々谷はわたしのモノだ! 手ェ出したら必ず全員殺す!!』ってな? くくっ、異能力者の墓場さえあれば脅迫などいとも容易かったぞ……♪」
「!? や、ヤンデレ化キタァァァァ――――!?」
俺は近所迷惑も承知の上で叫んだ! 叫ばずにはいられなかった!
俺ってばそこまで大和先生に惚れられちまってんのかよッ!?
というか自分の会社で暴れて同僚を脅迫って、どんだけェ~(死語)!?
「無論、部内のみで済んだ話ではない。異能警察の全部署がわたしの存在に畏怖し、ひとまずはわたしの脅迫という名の方針に従うことで意見を一致させたのだ。……どうだ憑々谷? これでお前は気兼ねなく武闘大会に参加し、優勝できるぞ? わたしを大恩人と思うだろう? 思うよなぁ?」
「おおお思います……あ、ああありがとうございます……で、でもよくご無事でしたね?……やっぱり著者の仕業ですかね?……あは、ははは」
「……憑々谷君。今の先生の発言を頭から信じ込まないでください……」
呆れた様子のトピアは、目線の定まらなくなった俺にも不憫そうに溜息すると。
「暴れたとは言いますが、犯罪に値するほどではありませんでした。それに……全部署が先生の方針を採用したのは、実は全く別の理由からなんです」
「べ、別の理由?」
「はい。ある報告を上に提出したんです。先生とわたしの連名で」
「ふん、つまりは『これ』を利用させてもらったのだ」
と言い、大和先生がいきなり握ってきたのは俺の右腕だった。
その手首に装着されていたブツを指し示し、
「わかるな? スキルゲッターの偽物だ。これを本物である可能性があるとして上に報告した」
「……あ、ああ!?」
何だか一気に見えてきたぞ!
2人の思惑が!
「わたしはだいぶ以前に『憑々谷子童は派生能力を大量に所持している、だから危険人物には違いない』との調査報告を済ませてあった」
「ですが憑々谷君―――君の知らない彼が、大量の派生能力を発現できた原因。肝心のそれはずっと不明のままだったんです」
「だからこそ異能警察は憑々谷の動向をより一層警戒した。そして『一国を滅ぼしかねない最強の異能力者』という精密検査の結果が、真実味を帯びたのだ」
な、なるほど……。
聞いた限りじゃ筋は通っているな……。
「先生とわたしは今回、『日本異能研究所が密かにスキルゲッターの開発に成功していて、それが彼の手に渡ったことで、彼は最強の異能力者になれたのでは?』との見解を提出しました」
「だとするとだぞ?……報告を受けた異能警察は、『じゃあ派生能力の件は全部スキルゲッターのおかげで?』と考えはしないか? いいや存分に考えるはずだ。もはや原因はそれしか考えられんほど辻褄が合いすぎているからな。わたしも実は本物じゃないかとまだ疑っているくらいだ」
「……、だがこれは……」
「ああ。外見こそ限りなく本物に近いが、偽物だ。わたしは憑々谷の過去についても洗っていたが、そんな腕輪をしている情報は見当たらなかった。やはり『憑々谷ではなかったお前』が、この世界に来た時に持ってきたとみて間違いない」
断言する大和先生。
それにはトピアも深く頷いていた。
「嘘であると認識しながら、先生とわたしは上に報告したわけですね。ですがこれが大成功でした。異能警察は憑々谷君本人ではなくスキルゲッターに捜査の矛先を傾けたんです」
「え? それって要は……異能研究所を先に捜査すべきだ、って考え直したってことか?」
「その通りだ。スキルゲッターが本物だとすれば当然、お前だけが持ってるとは限らんわけで、そちらのほうがよっぽど問題だしな。まぁもっとも……1か月もあれば研究所は『シロ』だと判明するだろうがな? たった1か月だ、くくく!」
大和先生がしたり顔になっていた。
とてもじゃないが異能警察の人間に見えなかった……。
「そんなわけでして、3日間の停滞という代償はありましたが、君の大会優勝が異能警察によって阻まれることはなくなった格好ですね。これは喜んで良いことだと思います」
「わたしが脅迫したおかげだな。そろそろ子作りする気になっただろ、憑々谷?」
俺は脊髄反射のごとく何度も頭を振った。感謝はしたかったが、さすがに最初の頃と違い、先生を抱いてみたい気分にはなれなかった。
「くそ……だがわたしは絶対にお前を諦めないからな!? お前がこの世界の主人公であるというなら尚更だ! わたしこそが真のヒロインだろう……!」
はは……。そんなに自信があるなら読者に訊ねてみればいい。『30で独身ですがヒロインいけますか?』ってな。読者はマジキチで超弩Sでヤンデレなのもどうぞお忘れなく。
「っと、そうだ。ウザキャラのアリスはどうした? どこにもいる気配がしないが死んでないよな?」
「生きてますよ。今は別室で気絶しています」
「……ん? あれからまだ起きてないってことか?」
「違います。君を優勝させるためにこの3日間も特訓していたんです。それで丁度100回目の発効限界を迎えたところでした」
「………………………………………………………………」
トピア先輩、やっぱマジパネェっす…………。
その後どうなったのかは割愛させてもらうとして(汗)。
今日は他に用事があります……と、癒美が放心状態で帰っていった。
で、時計を見れば18時過ぎだった。
ピンク色のカーテンが西日の強さに負けてオレンジ一色となっている。
学園の保健室で目覚めた時のことを思い出し、不思議と懐かしくなった。
そんな折、
「憑々谷! ご飯にするか? 風呂にするか? それとも……子作りか!?」
「いやいつまで俺のターンがやってこないんだよ!?」
完膚無きまでに超デレデレモードの大和先生が、ずずずいーっと顔を近づけてくる。
が、俺はもう怖がるのもバカらしくなって、ついにブチ切れた。
「あんたは俺とトピアの敵だったろーが!? なんでこんな、一家団欒みたいなノリになっちまってるんだよ!? トピアもトピアだ! お前、先生に脅されてたりすんのかよ!?」
「……、すみません憑々谷君。少々悪ふざけが過ぎました。そんなに苛立たないでください」
トピアは大和先生とテーブルについてお茶を飲んでいた。やはりそれは信じがたい光景だったので、俺はますます訳がわからなくなっていた。
「じゃあ、全部説明してくれんだよな。あの戦いの後、色々あったんだろ」
「はい。この3日間で大きくひっくり返りました。恐らくは憑々谷君にとって良い方向に」
「え?……み、っか?」
「そうだ憑々谷。正確には丸2日と18時間が経ったのだ。つまり今日は木曜日。明後日が武闘大会となる」
「! お、俺は……そんなに寝てたってのか!?」
「はい」「ああ」
2人に即答されてしまい、俺は一瞬眩暈を覚えたが、
「って……え? トピア、そういやさっきお前、なんて言った?」
「憑々谷君にとって良い方向に。状況が大きくひっくり返りました」
「…………、なにがあったんだ?」
「えっと、それは……」
「わたしから説明したほうが早いだろうな」
大和先生が割って入ってくる。
湯飲みを持ち上げ、お茶を一気に呷ると、
「まずは褒めてやろう。お前はあの戦いでわたしを倒したのだ。お前が苦しそうになにか言っていたが、それを聞き終えるより先にわたしは気絶したのだからな」
「……マジか」
正直、あの時は勝利の手ごたえなんて感じ取れなかった。それだけにビックリだ。
大和先生がこんな風にデレデレになっているから、それが事実で合っているのだろうが……。
「ただし、だ。全員が気絶している中で、いち早く目覚めたのはこのわたしだった。わたしはお前と早く子作りしたい衝動に駆られながらも、車を調達し、お前達をわたしが住むこのマンションに移送した。……そして、それぞれの怪我の手当てをしている最中に、トピアが目覚めた」
「そ、それで? お前らはまた戦ったのか?」
2人を見合わせると、トピアが首を横に振った。
「いえ。わたしは再戦の気力が全く湧きませんでしたね。大和先生が……今以上に憑々谷君を溺愛している様子でしたから……」
「……………………、そうっすか」
良い男の条件を満たした上で、大和先生の異能力から生き延びてみせたからだな。
なんだこのやっちまった感。ハンパない。
そしてどんな溺愛っぷりだったんだろう……(畏怖)。
「話を続けるぞ。わたしは真っ先にトピアに訊ねた。『憑々谷がわたしの知っている憑々谷ではなかった、コイツはどうなってしまったんだ?』ってな。だってそうだろう? あんな『しょうもない異能力』でわたしに勝とうとは、正気の沙汰じゃあない」
……あぁ、そうだな。先生からしたら俺は派生能力を多数所持している危険人物だ。
パンチラの風なんかと比較にならないほど、より強力でより有効な異能力を発効すると期待していたはずだ。
「問い詰められたわたしは、これ以上憑々谷君に危害を加えないことを条件に、憑々谷君のあらゆる事情を大和先生に明かしました。……すみません、わたしにはもうそうするしか思いつかなかったんです……」
「あー気にすんな。元々俺が提案してたしな。大和先生を味方にしたらどうだ、って」
肩身の狭そうなトピアに俺は笑ってみせる。
それを見、彼女が僅かに目尻を下げた。
「それで? お前らは俺に関しての情報を共有したわけだろ? じゃあ異能警察には黙っておくことにしてくれたのか?」
「いや。黙ってなどいられるか」
「……。え?」
俺は思わず顔を強張らせた。
(それってつまり……異能警察に報告したってことか? 俺がこの世界の人間じゃないこととか、そもそもこの世界は小説の中だってことを!?)
だがそれならそれで疑問だ。
どうして俺は今、先生の部屋で療養していられる……?
「ふん。どうやら混乱させてしまったようだな。ならば端的に言おう―――」
大和先生が口を閉じる。
とその時、トピアがなにかを思い出したように溜息を溢した。
かくして大和先生は俺に、驚愕必至の事実を告げてきた。
「わたしはな、部内で大暴れしたのだ。『憑々谷はわたしのモノだ! 手ェ出したら必ず全員殺す!!』ってな? くくっ、異能力者の墓場さえあれば脅迫などいとも容易かったぞ……♪」
「!? や、ヤンデレ化キタァァァァ――――!?」
俺は近所迷惑も承知の上で叫んだ! 叫ばずにはいられなかった!
俺ってばそこまで大和先生に惚れられちまってんのかよッ!?
というか自分の会社で暴れて同僚を脅迫って、どんだけェ~(死語)!?
「無論、部内のみで済んだ話ではない。異能警察の全部署がわたしの存在に畏怖し、ひとまずはわたしの脅迫という名の方針に従うことで意見を一致させたのだ。……どうだ憑々谷? これでお前は気兼ねなく武闘大会に参加し、優勝できるぞ? わたしを大恩人と思うだろう? 思うよなぁ?」
「おおお思います……あ、ああありがとうございます……で、でもよくご無事でしたね?……やっぱり著者の仕業ですかね?……あは、ははは」
「……憑々谷君。今の先生の発言を頭から信じ込まないでください……」
呆れた様子のトピアは、目線の定まらなくなった俺にも不憫そうに溜息すると。
「暴れたとは言いますが、犯罪に値するほどではありませんでした。それに……全部署が先生の方針を採用したのは、実は全く別の理由からなんです」
「べ、別の理由?」
「はい。ある報告を上に提出したんです。先生とわたしの連名で」
「ふん、つまりは『これ』を利用させてもらったのだ」
と言い、大和先生がいきなり握ってきたのは俺の右腕だった。
その手首に装着されていたブツを指し示し、
「わかるな? スキルゲッターの偽物だ。これを本物である可能性があるとして上に報告した」
「……あ、ああ!?」
何だか一気に見えてきたぞ!
2人の思惑が!
「わたしはだいぶ以前に『憑々谷子童は派生能力を大量に所持している、だから危険人物には違いない』との調査報告を済ませてあった」
「ですが憑々谷君―――君の知らない彼が、大量の派生能力を発現できた原因。肝心のそれはずっと不明のままだったんです」
「だからこそ異能警察は憑々谷の動向をより一層警戒した。そして『一国を滅ぼしかねない最強の異能力者』という精密検査の結果が、真実味を帯びたのだ」
な、なるほど……。
聞いた限りじゃ筋は通っているな……。
「先生とわたしは今回、『日本異能研究所が密かにスキルゲッターの開発に成功していて、それが彼の手に渡ったことで、彼は最強の異能力者になれたのでは?』との見解を提出しました」
「だとするとだぞ?……報告を受けた異能警察は、『じゃあ派生能力の件は全部スキルゲッターのおかげで?』と考えはしないか? いいや存分に考えるはずだ。もはや原因はそれしか考えられんほど辻褄が合いすぎているからな。わたしも実は本物じゃないかとまだ疑っているくらいだ」
「……、だがこれは……」
「ああ。外見こそ限りなく本物に近いが、偽物だ。わたしは憑々谷の過去についても洗っていたが、そんな腕輪をしている情報は見当たらなかった。やはり『憑々谷ではなかったお前』が、この世界に来た時に持ってきたとみて間違いない」
断言する大和先生。
それにはトピアも深く頷いていた。
「嘘であると認識しながら、先生とわたしは上に報告したわけですね。ですがこれが大成功でした。異能警察は憑々谷君本人ではなくスキルゲッターに捜査の矛先を傾けたんです」
「え? それって要は……異能研究所を先に捜査すべきだ、って考え直したってことか?」
「その通りだ。スキルゲッターが本物だとすれば当然、お前だけが持ってるとは限らんわけで、そちらのほうがよっぽど問題だしな。まぁもっとも……1か月もあれば研究所は『シロ』だと判明するだろうがな? たった1か月だ、くくく!」
大和先生がしたり顔になっていた。
とてもじゃないが異能警察の人間に見えなかった……。
「そんなわけでして、3日間の停滞という代償はありましたが、君の大会優勝が異能警察によって阻まれることはなくなった格好ですね。これは喜んで良いことだと思います」
「わたしが脅迫したおかげだな。そろそろ子作りする気になっただろ、憑々谷?」
俺は脊髄反射のごとく何度も頭を振った。感謝はしたかったが、さすがに最初の頃と違い、先生を抱いてみたい気分にはなれなかった。
「くそ……だがわたしは絶対にお前を諦めないからな!? お前がこの世界の主人公であるというなら尚更だ! わたしこそが真のヒロインだろう……!」
はは……。そんなに自信があるなら読者に訊ねてみればいい。『30で独身ですがヒロインいけますか?』ってな。読者はマジキチで超弩Sでヤンデレなのもどうぞお忘れなく。
「っと、そうだ。ウザキャラのアリスはどうした? どこにもいる気配がしないが死んでないよな?」
「生きてますよ。今は別室で気絶しています」
「……ん? あれからまだ起きてないってことか?」
「違います。君を優勝させるためにこの3日間も特訓していたんです。それで丁度100回目の発効限界を迎えたところでした」
「………………………………………………………………」
トピア先輩、やっぱマジパネェっす…………。
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