魔王おばあちゃんのマメ知恵を駆使してまったりスローライフ

ノベルバユーザー313493

町の工作教室

 「魔王様なんだか今日は楽しそうですね」
 「あぁ今日はイベントの日だからな」


 そう魔王が今にも踊り出しそうな気配を醸し出している理由は、月に一度の子供たちとの交流イベントなのだ。この日は子ども達と遊んだり、工作をしたりするのだ。


 「行ってくる」


 そう言うとスキップをしながら公民館へ向かった。 


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 「え~本日はお集まりいただきありがとうございます。お父さん、お母さん方は予告していた物を持ってきたでしょうか。もし忘れてしまった方がいれば手を挙げて教えてください」  


 そう言って確認をとる。そう今日は工作の日なのだ。誰も忘れている人がいないことを確認すると魔王は説明を始めた。


 「ではまず少量の塩とサラダ油、水を入れてよく混ぜてくださ~い。まぜまぜ~まぜまぜ、
 次にそれを小麦粉に少しずつ入れてまとまるまでよ~くこねてください。こねこね~こねこね」


 お父さん、お母さん、子どもも言うとおりにする。皆笑顔だ、その様子をみた魔王も頬がものすごく緩んでいた。


 「できた方は前にある好きな色の食紅を持って行ってくださ~い」


 魔王がそう言うと子ども達は駆け足でとりにいく。しかし誰も何も言わなくてもしっかりと止まり列を作って順番に持っていっく。さすが魔王のお膝元で育った子どもたちだ。いいことと悪いことがしっかりとわかっている。 
 全員に行き渡ると説明を再開した。


 「では今持っていった食紅を作った物に混ぜてよくこねてくださ~い」 


 皆子ども達は必死でこねる。なんともかわいらしい。


 「色が馴染んだら、粘土の完成で~す。ケースを渡すので帰るときに持っていってください。
 お父さんお母さん、その粘土は全て食べられるもので作っているのでまんがいちお子様が食べてしまっても慌てずに喉に詰まらないかどうかだけを確認してください。では以上で今日のイベントはおしまいです。ご参加ありがとうございました」


 そう締め括るとお父さんお母さんから拍手がきた。そしてここからがほんとうの魔王のお楽しみタイムだ。


 「さあ~お前たち外で遊ぶぞ~ついてこい!」


 そう言うと子ども達は親に粘土を預けると一斉に外に飛び出して言った。それをあとからゆっくりと追いかけるお父さんお母さん。これがいつものイベントの光景だ。

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