昔話集~アレンジ版~
熊
むか~しむかし。あるところにそれはそれは心優しいお兄さんが暮らしていました。
ある日お兄さんが山の中を歩いていると罠に捕まっている熊に出会いました。
その熊は足に怪我もしているようで立ち上がることができません。
可哀想に思ったお兄さんは熊を助けてあげることにしました。
「どれ、直ぐ縄を解いてやるから動くなよ」
お兄さんは優しく縄をほどくと傷口にも手当てをして上げました。
それでもやはり熊は動けないようです。
お兄さんはそっと自分のおにぎりを置いといてやると、家へと帰って行きました。
あれから数日がたったある日。
ピンポーン。
「ごめんください。どなたかいらっしゃいませんか」
「はいはい少し待ってください」
お兄さんの元へ一人の猛々しい男がやって来ました。
「申し訳ない。旅をしているのだが暫く止めていただけないだろうか」
優しいお兄さんはよく男を家に泊めてやることにしました。
それから更に数日がたち━━━
「お兄さん、あちらの建物はなんですか」
「ああ、あれはむかし俺のお爺さんが使っていた作業部屋だよ」
それを聞いた男は少し考えるとお兄さんに貸して欲しいと頼みました。お兄さんはもちろんよく了解します。
「では、私が作業している間はけっして開けないでください」
それから暫くして男は幾つかの財布を持って出てきました。
「どうかこれを売って生活の足しにしてください」
お兄さんは早速財布を売りに行くと高値で売れました。それを持ってお兄さんは家へ帰ります。
「今日はずいぶんと豪勢ですね」
「ああ君のくれた財布がとっても高く売れたからね、すこし奮発してしまったよ」
「そうですか、それはよかったです」
それだけ言うと食事を食べ終えた男はまた作業小屋へ戻ってしまいました。
それからと言うものの毎日男は財布を渡してくれます。
お兄さんの家はあっというまでそこらの町で一番の大金持ちになりました。
そしてある日男が急に小屋から出てこなくなりました。お兄さんは心配になり声をかけて見ます。
何度声をかけても返事はありません。心配になったお兄さんは扉を開けようとしますが男の言葉を思い出してあと一歩のところで踏みとどまりました。
しかし、それでも心配なき持ちは変わりません。 
1日、2日、3日。
とうとう4日目になっても男は出て来なかったのでお兄さんは思いきって開けて見ました。
中は地獄でした。
赤赤赤━━━━━━━━一面の赤、血。
上を向くとちょうど鹿の首にかぶりついている。熊がいました。
「ああ。みてしまいましたか」
「なんだ━━━」
「仕方ない」
ガブッ。
「うぁぁぁ~」
熊はお兄さんを食べてしまいました。最後に残ったのはたくさんの血と、肉と、熊、それに七色に輝く一つの財布だけでした。
そして熊は人間の味を知ってしまいました。それからというもの声を聞いてやって来た人間が一人、また一人と食べられお兄さんのいた町は1日にして死の町となってしまいました。
おしまい
ある日お兄さんが山の中を歩いていると罠に捕まっている熊に出会いました。
その熊は足に怪我もしているようで立ち上がることができません。
可哀想に思ったお兄さんは熊を助けてあげることにしました。
「どれ、直ぐ縄を解いてやるから動くなよ」
お兄さんは優しく縄をほどくと傷口にも手当てをして上げました。
それでもやはり熊は動けないようです。
お兄さんはそっと自分のおにぎりを置いといてやると、家へと帰って行きました。
あれから数日がたったある日。
ピンポーン。
「ごめんください。どなたかいらっしゃいませんか」
「はいはい少し待ってください」
お兄さんの元へ一人の猛々しい男がやって来ました。
「申し訳ない。旅をしているのだが暫く止めていただけないだろうか」
優しいお兄さんはよく男を家に泊めてやることにしました。
それから更に数日がたち━━━
「お兄さん、あちらの建物はなんですか」
「ああ、あれはむかし俺のお爺さんが使っていた作業部屋だよ」
それを聞いた男は少し考えるとお兄さんに貸して欲しいと頼みました。お兄さんはもちろんよく了解します。
「では、私が作業している間はけっして開けないでください」
それから暫くして男は幾つかの財布を持って出てきました。
「どうかこれを売って生活の足しにしてください」
お兄さんは早速財布を売りに行くと高値で売れました。それを持ってお兄さんは家へ帰ります。
「今日はずいぶんと豪勢ですね」
「ああ君のくれた財布がとっても高く売れたからね、すこし奮発してしまったよ」
「そうですか、それはよかったです」
それだけ言うと食事を食べ終えた男はまた作業小屋へ戻ってしまいました。
それからと言うものの毎日男は財布を渡してくれます。
お兄さんの家はあっというまでそこらの町で一番の大金持ちになりました。
そしてある日男が急に小屋から出てこなくなりました。お兄さんは心配になり声をかけて見ます。
何度声をかけても返事はありません。心配になったお兄さんは扉を開けようとしますが男の言葉を思い出してあと一歩のところで踏みとどまりました。
しかし、それでも心配なき持ちは変わりません。 
1日、2日、3日。
とうとう4日目になっても男は出て来なかったのでお兄さんは思いきって開けて見ました。
中は地獄でした。
赤赤赤━━━━━━━━一面の赤、血。
上を向くとちょうど鹿の首にかぶりついている。熊がいました。
「ああ。みてしまいましたか」
「なんだ━━━」
「仕方ない」
ガブッ。
「うぁぁぁ~」
熊はお兄さんを食べてしまいました。最後に残ったのはたくさんの血と、肉と、熊、それに七色に輝く一つの財布だけでした。
そして熊は人間の味を知ってしまいました。それからというもの声を聞いてやって来た人間が一人、また一人と食べられお兄さんのいた町は1日にして死の町となってしまいました。
おしまい
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