地球で独身貴族を貫いたお爺さん(元ラノベ作家)は異世界転移して賢者になるそうですよ

ノベルバユーザー313493

十の神聖魔武具とギルド登録

 「はぁ~やっぱ高級な宿は違うな!でもじいちゃんのあれの方が気持ちいけどな」
 「そうか?なんなら今夜もやろうか」
 「いや、今夜はいいよ。じいちゃんも魔力尽きちまうだろ」
 「ん、そんな事ないぞ。あれだけなら消費量よりも回復量の方が多いからのう」
 「いや、実際そうなんじゃ」


 ほんと、驚くことに消費量を六としたら回復量は十って位なんじゃ。


 「このペンダントを使えば三つくらい同時に使っても回復の方が多いんじゃよ」


 そういって大助はポケットから一つのペンダントを出した。


 「凄いですね、通常でも大賢者クラスの回復量なのにさらに倍以上になるなんて。少し見せてもらってもいいですか」
 「ああ、いいぞ」


 聖はペンダントをじっくり眺めると一ヶ所をみて大助に返した。


 「赤羽さん、それは絶対に他の人には見せてはだめです」
 「どうしてじゃ?」


 確かに魔力の回復量をあげられるのは凄いがこう言う世界では珍しくないと思うのじゃが。


 「それは、十の神聖魔武具オクトテルームと呼ばれるもののうちの一つ、第三武具土星ザフキエルです」
 「嘘だろ!?」
 「神話の中のものじゃないの!?」
 「私もそう思っていたが、実際に実物があるのだから仕方ない」
 「なんじゃ、そんなに凄いのか?」


 まさかこんなに驚かれるとは・・・確かに前世のワシが残したものだから安価な物ではないのかもしれないが。そんなにか?


 「凄いってもんじゃないぜ、それはダアト神話に出てくる武具、創世の武具の一つだ」


 おお、なんか凄そうな名前じゃな。


 ダアト神話、それはこの世界で最古の伝説。神ダアトの創世のお話だ。
 ダアトは十個の武具を生み出した。


 第一の武具
 冥王星メタトロン(羽)


 第二の武具
 海王星ラジエル(靴)


 第三の武具
 土星ザフキエル(ペンダント)


 第四の武具
 木星ザドキエル(槍)


 第五の武具
 火星カマエル(兜)


 第六の武具
 太陽ミカエル(胸当て)


 第七の武具
 金星ハニエル(弓)


 第八の武具
 水星ラファエル(剣)


 第九の武具
 ガブリエル(本)


 第十の武具
 地球サンダルフォン(籠手)


 それらの武具はどれも強力で一つで世界を滅ぼせる程と言われており、全て揃うと世界を創れるとまで言われている。


 「あ~驚きすぎて腹減ったわ、メシにしようぜ」
 「そうだね、そうだね。レイも目玉飛び出るかと思ったよ」
 「疲れたから風呂に行きたいな」
 「おっ風呂があるのか、いいのう。ワシもあとでいってくるかの」


  大助達はワイワイこの後の予定について話ながら食堂へ行きご飯を食べる。大助の知らない食材なんかがいっぱいあったが、どれも見た目、味ともに良かった。さすが高級宿だ。
 夕飯を食べ終えた彼らは風呂に来ていた。もちろん男女べつべつで、だ。


 「ふぅ気持ちいいのぅ」
 「ああ、最高だ。それにしてもじいちゃん年のわりに筋肉あるな」
 「そうかのぅ?」
 「よっしゃ、ならやることぁ一つだな」


 ガジルは風呂から上がると石の壁を入念に調べ始める。そしてある場所で止まると大助を読んだ。


 「これこそ男のロマンだろ!」
 「確かに!」


 大助も風呂から上がるとガジルのもとへ向かう。そう━━━━


 「「覗き!」


 大助とガジルは石の壁にある僅かな隙間から向こうを覗く。


 「やっぱいい体してんな!」
 「確かに!」


 大助はじっくりと堪能すると冷えてきたので風呂に戻った。


 「何者!?」


 グヒァッ


 大助が風呂に戻って直ぐ。ガジルが倒れた。


 「どおしたの聖さん」
 「いや、あそこから視線を感じたような・・・気のせいだったようです」


 聖はもう一度壁を確認すると湯船に浸かった。やはり気持ちいい。
 たっぷり一時間以上浸かると大助達は風呂から上がった。


 「お兄ちゃんどおしたの?」
 「ああ、ちょっと転んじゃってな」
 「大丈夫?いたくない?」
 「ああ大丈夫だ」


 ガジルは目を反らしてそう言う。嘘が下手な男だ。


 「赤羽さん、マッサージしましょうか」
 「いやいいよ。ありがとう」
 「いいですから」


 そういうと聖は大助の耳元で「今度は止めてください」と、呟くとベッドに寝かせた。


 「私、結構マッサージ上手なので」


 聖はゆっくりと腰から順に大助にマッサージをする。
 ん、確かに気もちええのぅ。これが脅迫じゃなければもっといいのじゃが・・・
 気がつけば朝になっていた。


 「今日は何をするんじゃ?」
 「そりゃまずはギルドに登録だろ!」


 こんな年寄りでも登録できるのだろうか?
 しかし、ギルド登録・・・夢にまでみた冒険者生活!
 ああ、生まれてよかった!
 ありがとうお母さん!
 ありがとうお父さん!
 ありがとう運命よ!!


 「でもでも、おじいちゃんギルド登録出来るのかな?」
 「そうですね、見た目からしたら安全のためにまず無理ですね」
 「んなことやってみなきゃわかんないだろ!実際じいちゃんめっちゃつぇぞ」
 「それはそうだが・・・」


 うっ、なんか嫌なふいんきになってきた。


 「ま、まぁ試しに行ってみればいいんじゃよ」
 「そうですね」


 ギルドはかなり広い作りになっておった。扉を開けると正面には受付が3ヶ所、左を見ればボートに幾つもの依頼とおぼしき張り紙。右側にはバーカウンターやテーブルが並ぶ酒場だろうか、とにかくギルドってかんじじゃ。


 「赤羽さん、彼のギルド登録をお願いしたい」
 「はぁ・・・構いませんが、危険ではないでしょうか」
 「その点は問題ない。なんなら試してもらっても構わない」
 「そうですか、では少々お待ちください」


 受付にいた人が奥へと行き別の人となにやら話している。
 暫くして受付の人が誰かを連れて戻ってきた。


 「初めまして、私はここの支部長をしておりますカミラと申します。あなたが赤羽さんでよろしいでしょうか」
 「そうじゃ」
 「そうですか、失礼かも知れませんが登録はお辞めになられた方が良いかと、見たところそれほど鍛えているようすでもなく、私共としましても無茶をして死なれては困りますので」
 

 カミラさんの言うことはもっともじゃ、しかしワシもけっして弱いわけではないようじゃし。ギルドに登録するのは夢でもあったからのぅ。


 「その点は問題ないぜ」 
 「と、申しますと?」
 「じいちゃんはめっちゃ強いかなら」
 「そうだよ!そうだよ!おじいちゃんほんとっ~には強いんだから!」
 「はぁ・・・ではそうですね、私と模擬戦してみましょう。それで問題ないと判断すれば登録をさせていただきます」
 「わかったよ。では早速やろうかのぅ」 


 大助達はカミラさんに連れられて町外れの草原に来ていた。


 「ではいつでもどうぞ」


 

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