if中二病が異世界転移したら━改訂版━

ノベルバユーザー313493

22話 宮廷魔術師団入団8

 「すみません。火薬ってますか」
 「はい、ありますよ」
 「じゃあそれを一キロほどお願いします」
 「一キロですか?銀貨20枚になります」


 お金を払うと火薬を受け取って森の中に戻る。と、いうのもさっき試し撃ちをしようとしたのだが、弾が無いことに気がついて急いで買いに行ったのだ。
 急ぎながらも丁寧に弾を作る。試しなので火薬の量は一発づつ違う。全部で五十発分の弾を作り終えると一発弾を込める。


 パン!


 森の中を銃声がこだました。弾は狙った場所の少し右側にあたった‥‥‥が、全く木に傷がつくことはなかった。どうやら弱すぎたらしい。
 今度は火薬の増やしてもう一発、


 パッンン!


 今度はしっかりと狙った場所にあたった、あたったが少し傷をつける程度の威力しかなかった。
 何度も変えて試してみる。


 パッンンン!


 パッンンンン!


 パッンンン!!


 バッンンンン!!!


 そして、何発目だろうかようやく木に穴が空いた。これまでとは比べ物にならない程の威力だ。


 「なんとか形にはなったな」


 日がだいぶ傾いてきていたので俺は銃をしまうと街へ戻った。あとは宿に戻って弾を量産するだけだ。
 量産の為、宿に戻る前にザザンさんのお店へ向かった。


 「おや、こんにちは」
 「ザザンさん来ていたんですか」
 「はい、少し用があったもので。して、間宮さんはどうされましたかな」
 「火薬を調達しようかと思いまして」
 「そうでしたか、如何程ご用意いたしましょうか」
 「五キロほどお願いします」
 「そんなにですか。何に使うのか聞いても宜しいでしょうか」
 「すみません。まだ秘密にしていて」
 「そうですか、では金貨一枚頂戴致します」


 俺は金貨と引き換えに火薬の入った袋を六つ受け取った。


 「一つ多いのでは」
 「いいのですよ、遠慮無く持っていって下さいませ。ですがもし、気が向いたら使用法を教えていただけると嬉しいものです」
 「そうゆうことでしたら。いつかお教えできるときが来ることを願って」


 そう言って店を出ると意外な人に会った。いやこの国の人間なのだから以外ではないか。


 取り敢えず声をかけてみる。


 「こんにちはヒナタさん」
 「ああ、間宮君かどうした」
 「いえ、声をかけて見ただけですが。どちらへ行かれるのですか」
 「なに、流行りの劇を観てみようかなとな」


 ふっ!ヒナタさんも劇とか観るんだ。全く想像つかない。


 「おい、いま失礼な事を考えてただろ」
 「そんな事ないですよ」


 これが女の勘という奴か、危ない危ない。ランベルトみたく殺されるところだった。


 「どんなやつなんですか」
 「なんでもミュージカルというもので、時代物だったか」
 「へ~それは面白そうですね。ご一緒しても宜しいですか」
 「構わない。好きにするといい」


 劇場は以外と立派な造りだった。


 「なにをしている置いてくぞ」


 俺は少しの間見とれていたようだ。ヒナタさんに呼ばれてかけていく。


 中に入ると丁度舞台が始まっるようで、一人の男性が舞台に上がってきた。


 『ようこそお越しくださいました、物語舞台は七十年前のカムストロフ。そこにはある貴族の横暴に苦しめられている沢山の人々が居ました。これはそんな彼らの闘いのお話です。果たして彼はどのようにして貴族に立ち向かうのか‥‥‥どうか最後までお楽しみに下さい』


 そう挨拶を終えると男性が舞台から降りる。それと同時に幕が上がった。


 「面白かったですね」 
 「ああ、歌いながら劇をやるというのはなかなかに斬新で面白かった」
 「はい、とくに最後の二種類の歌を同時に歌うやつ、あれ凄くよかったです」
 「確かに、一つ一つは騒音の様だったが二つが合わさって素晴らしい音色を奏でていたな」
 「はい、それに歴史なども学べてとても為になりました」


 そう、本当に為になった。あの二つを合わせるというやり方、あれは付与魔法に通じるものがありそうだ。


 「さて、用も済んだことだし私はこれで失礼する」
 「はい、ありがとうございました」


 思わぬ収穫を得た俺はいつもより少し早足で宿に帰った。


 「ご馳走さま」


 急いで夕飯を食べ終えると部屋へ戻る。
 部屋に戻った俺はタカスギから一枚の王金貨━━神聖石オリハルコンを取りだし固有波を聞く。


 %&%&%&%&%&


 この騒音に音を加えて━━━━


 ♪━━━


 音にする!


 取り敢えずできた。あとは付与だけだがこれはこれで一度おいといて別の物で今度は付与を試してみる。そのために俺は鉄を出した。鉄も同じように騒音を音にする。それに俺は水を出すだけの魔法を付与する。
 付与はイメージを与えると言うことらしい。取り敢えず水を出すというイメージを与えるイメージをしてみる。
 見た目では何も変わったようすはない。取り敢えず魔力を流し込んでみる。やっぱり変化なし。なんか付与魔法は壁にぶつかってばかりな気がする。やっぱりわからないのだ。固有波がわかったら今度は付与がわからない。なんとか遠征までには完成させたいのだが‥‥‥


 考えてたら眠くなってきたのでその日は直ぐに寝た。それから解決しないまま四日が経ってしまった。


 「ぐぁぁぁぁぁ」


 最悪だ、あと一日、遠征までたった一日しかないのに全く、これっぽっちも進展がない。タカスギは教えてくれないし。
 あぁぁぁ!!最悪だ。


 そもそもだ。与えるってなんだよ。


 イメージをあげるとかイメージつかねぇし。


 これ俺がダメなんじゃなくてあの本が悪いんだろ絶・対・に!!


 こうなったら何度目かの気分転換に出掛けよう。最近は行き詰まると街をブラつくことにしている。というのも前回は街で解決のヒントを得ることが出来た。
 露店の串焼きやアクセサリー、それらを冷やかして歩く人々、どれがヒントになるかわからないのだ。


 高そうな馬車が前からやってくる。


 「おや、竜次さんではありませんか」
 「ザザンさん、どこか行かれるのですか」
 「はい、少し隣町まで商談に。そうです!もしよければ護衛を依頼しても宜しいでしょうか」
 「急ですね、護衛は既に依頼されているのでは?」
 「もちろんしていますが良いのですよ。護衛はいくらいても邪魔になりません。それに話し相手も欲しかったですし」


 隣町か、確かフェラドとか言ったっけ。馬車なら片道半日もかからない筈だ。


 「どれくらい行かれる予定ですか」
 「日帰りを予定してます。どうでしょうか」


 ならやはりフェラドか‥‥‥


 「それでしたらお受け致します」
 「そうですか、そうですか、よかったです。ではどうぞ此方へ」


 俺はザザンさんに誘われるがまま馬車に乗り込んだ。目指すはフェラドだ。





「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く