if中二病が異世界転移したら━改訂版━

ノベルバユーザー313493

15話 宮廷魔術師団入団1

 「おはよう。待たせたか?」
 「いえ、俺も今来たところですから」
 「そうか、では早く行こう。今日は忙しいぞ」


 そういうと俺達は買い物に出かける。そう。今ふと思ったんだがこれってデートじゃね?デートだよな?━━━いや、違うな。少し、いやかなり期待したがこれは仕事だな。ヒナタさん。けっこう美人だからデートだったら最高だったが‥‥‥よし!気分だけデートということにしておこう。


 今日向かうのは南区だ。ここは以前も説明したが商業区と呼ばれている。中心に近づくほど高級な店が立ち並ぶ、ザザンさんの店の本店は中心から五番目にある店で実はかなりな高級店なのだ。前回行ったのはギルドの近くで主に冒険者を相手に商売している場所だったらしい。


 「竜坊なんだい。えらくかわいい子連れてデートかい?」
 「違うよ。バナさん彼女は職場の上司。これから仕事だからデートじゃないよ」
 「なんだいそうだったのか。すまなかったね」
 「いえ大丈夫です」


 それから‥‥‥


 「あっ!りゅーにーが彼女連れてる」
 「なになに、あ~、りゅーにーにあの彼女は不釣り合いだな」
 「りゅーにー優しいよ。カッコいいよ」
 「確かにそうだけどそうじゃないんだよ」
 「こらーこれから仕事なんだから邪魔すんなよ~。あと彼女彼女言った奴。彼女に謝れよ。俺達は別に付き合ってるわけじゃないんだからな」
 「そーなの?‥‥‥ごめんなさい」
 「「「ごめんなさい」」」
 「大丈夫ですから」


 そんな感じの事が何度も続く。やっぱり岡からはデートにみられるようだ。少し嬉しい‥‥‥まぁその度に訂正するのは面倒だが。


 「君はずいぶんと好かれているようだな」
 「え?あ、そうですね。毎日会ってある人たちですから」
 「確かにそれもあるだろうがそれだけではあそこまで人から好かれることはない。それはきっと君自身の人柄が良いからなのだろう。彼らを大切にしなさい。住民の信頼は守る上で不可欠なものです、そしてなにかあったときに本当に必要なのはああゆう存在です」


 真剣な表情でそう。言うヒナタさんの顔はどこか悲しそうな羨ましそうなふいんきを醸し出していた。


 「そうですね。俺もそう思います」


 今の俺にはそうゆうしかない。何もわからないから。そんな事を少しもどかしく感じながらも店に向けて歩く。
 その店は周りとは明らかに違う、どこか一般人が入るのを躊躇わせるようなふいんきを醸し出していた。


 「ここですか、なんか俺場違いな気がするんですが。こうゆう場所はもっとこう貴族の方とかが来るような場所なんじゃないかと」
 「は?なに言ってるのさ。君はもう貴族だよ」
 「へ?」
 「あっ、言ってなかったか。宮廷魔術師団は全員貴族だ。平民の出だったとしても士爵の位が与えられる。まあ正式には二日後にある謁見で与えられるんだけど」


 あー、テンプレか。そうか、貴族か、俺が貴族、似合わねー。じゃあランベルトも貴族か、やべぇイメージつかねぇわ。


 「わかったらさっさと行くぞ」


 そう言うと中に入る。店の中は広々としており、壁には武器や防具が並べられていた。


 「これはこれはヒナタ様本日はどのようなご用件で」
 「早急にローブを仕立てて貰いたい」
 「ほう、ではそちらの方がそうですか?みたところかなりお若いようですが」
 「ああ、間宮竜次だ」


 ヒナタさん、いや様?殿?に紹介して貰ったが一応自分で挨拶をしておく。挨拶を済ませると直ぐに採寸をした。宮廷魔術師団にも全員統一されたローブがあるらしい。他にも得意の武器を用意してもらえるんだとか。しかもこれら全てが支給品だそうだ、さすが皇帝直属の護衛部隊と言ったところだろうか。ものは明日出来上がるそうだ。


 「次は家だ。一応観てからの方が決めやすいと思ってな。だから次は家に行くぞ」


 そう言うと今度は北区へ向かう。北区は貴族のみが入れる区画なのでどんな感じなのだろうか。


 「なんか変な期待してるみたいだから先に言っておくが別に普通だぞ」
 「いや、貴族の普通と平民の普通は全然違いますから」
 「まぁいいさ。早く行くぞ。百聞は一見に如かずだ」


 半ば諦めてついていく。なんとなくこの人の事がわかってきた気がする。なんと言うか簡単言うと子供?人の話を聞かないのだ。


 「わかりましたよ‥‥‥」


 俺は屋台で串焼きを何本か見繕うと持っていく。そろそろお昼でお腹がすいてきた頃なのだ。


 「これ美味しいんですよ。一本どうですか」
 「ああ、すまないな。もうそんな時間だったか」


 串焼きを手に道を行く。飲食店以外はどこもお昼にしようと店を閉じ始める。この世界でもご飯は朝昼晩の三食だ。地球ではたしかエジソンがトースターを売るために一日三食を宣伝したらしいがこっちにもそんな感じの事をした人がいたのだろうか?


 「ん、美味しいな‥‥‥」
 「ですよね!もう一本どうですか」
 「ん、もらおう」


 俺達は串焼きを食べながら北区へ向かった。道中野良犬に串焼きを持っていかれたヒナタさんがめっちゃ怒って犬を追いかけ回すなんていうこともあったが無事到着した。


 まじで、犬空気読めよ‥‥‥


 北区は塀で囲まれており、東と西の門からしか入ることが出来ない。唯一の門にも一等将校が四人以上常に待機しているという厳重さだ。


 「通行許可書の提示をお願いいたします」


 ヒナタさんが一枚の紙を見せると将校は門の脇にそれて道を開けてくれた。


 「凄い厳重ですけど俺も通ってよかったんですかね」
 「そりゃ伯爵の付き添いなんだからいいに決まってるだろ」
 「へ?」


 本日何度めの驚きだろうか‥‥‥あ、二回か。そんなでもなかった。


 家は壁側にあるらしく俺達は壁側に向かって歩いていく。中に娼館があったのは驚いた。


 「着いたぞ」


 周りの家々を眺めていたから気が付かなかったが着いたらしい。


 「って、でか!!」
 「なにをいってるこれでも小さいぐらいだぞ」


 そう言われた家は外から見た感じだと高校の体育館並の大きさがあった。は?これで小さいぐらい?確かにさっきまで観てきたのよりは小さいが2LDK暮らしだった俺からすれば十分に大きい大豪邸だと言える。


 「まあこんなもんだ。じゃ次行くぞ」


 まあ最悪ランベルト見たく騎士団の宿舎にでも住めばいいさ。俺は学習する男だ。ヒナタさんが話を聞かないのは解っているから疑問は後回しだ。


 「次はどこへ?」 


 そう聞いたとたんにヒナタさんがニヤリと笑った気がした。


 ‥‥‥ん、なにか嫌な予感がする。


 「宮廷魔術師団総団長の家だ」







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