if中二病が異世界転移したら━改訂版━

ノベルバユーザー313493

14話 宮廷魔術師団入団試験2

 「勝者ランベルト!」


 あぁ、負けちゃったな~。てかこの状況かなりヤバイかも血は多分あまり出てない。神経はヒリヒリ風に撫でられる度に激痛が走るけど多分あの高威力だ。多分焼けてるんだろう。


 実際竜次の腹には一円玉程の穴が空いているのだが完全に焼けて血は出ていなかった。それでも直ぐに危険じゃないと言うだけで放置していたら死ぬほどの重傷だ。あのとき、なにかが光ったと思ったときにはやられていた。最初からあの攻撃をされていたら直ぐに終わっていただろう。


 【彼の者に祝福を。癒しをもたらさん。エクスヒール】


 おお、腹の痛みが、全身の痛みがとれていく。


 「すみません。ありがとうございます」
 「アホか!私がいなかったら死んでいたぞ!」


 そういいながらボロボロのランベルトにも回復魔法をかける。


 「いや~助かった。ありがとなヒナタ!」
 「本当はお前なんぞ治したくなかったが。仕方がないからやっただけだ。だいたいお前達!あれは試験だ、相手を戦闘不能にしろと言ったが半殺しにしろとは言ってない。確りと反省するように!ランベルトは反省書を提出するように!」
 「は、誰がんなもん書くか!ささ、試験も終わったことだしそこのうるさい女置いて食いに行くぞ!」
 「ダメだ!竜次くん、今後の説明もある。今日のことは多目にみてやるから私と飲みに行くぞ」


 おぅ、これはいわゆる三角関係と言う奴か?‥‥‥いや違うな。


 「それだったら皆でのみに行けば‥‥‥」
 「竜次は優しいな、しゃあねぇほら、さっさと行くぞ」
 「なんだその言い方は!誰がお前となんか行くか」
 「あっそ、じゃあまたな」
 「ま、まて、仕方ない。説明する事も沢山あるし今回だけだぞ」


 て、ことで俺達はケイを加えた四人で飲みに行くことにした。俺は未成年だから飲んじゃダメだって?ん?そんな事知ったこっちゃない。ここは日本じゃないんだから!


 ━━━━━━って事で昼から酒盛りです。


 「竜次の入団を、祝してカンパイーイ!」
 「「カンパイーイ!!!」」
 「カ、カンパイーイ‥‥‥」


 テーブルの上には肉、肉、肉、肉だらけだ。唐揚げに焼き鳥、もつ煮などなんとも日本の居酒屋のようなメニューだが実はここ、元日本人が経営しているらしく、さっき会ったときにホッケが出せなくて残念だ、などと言っていた。どうやら父親が居酒屋を経営していたらしく本当は次ぐ予定だったらしい。しかしこんなところに来てしまって。当時はまだ中学入りたてだったと言っていたから十一才の頃の事だろう。かなり動揺したに違いない。ちなみに今はスキンヘッドが似合う壮年のおじさんだった。結婚し、子供もいるらしい。


 「いや~最後のはまじでヤバかった。俺あと一撃でも食らったら負けてたわ」
 「それは食らったらだろ。俺なんて腹に穴空いたんだからな。以前の知識だと既に死んでるわ!」
 「生きてるじゃねぇかよ。てかあれだなんだ急に消えたやつ。あれはすげぇよ」
 「ん、あれは魔装術を使ってやったんだよ。あれを防がれたらヤバかった。それに初見の一回しか通用しない」
 「いいんだよ。勝負に二回目があるのは練習だけだ。実践なら最強の武器になる。これから期待してんぞ!あと、ケイ。こいつを鍛えてくれてありがとな」
 「いいってことよ。久しぶりに面白いやつだったからな。俺も楽しめた」


 酒をのみ始めると俺達は試合の話になり徐々にヒートアップする。あそこでこうしてればとかあれはなんだとか。そんな感じに、そのなかで一人蚊帳の外になっている人が‥‥‥


 「ねぇ、そろそろ仕事の話したいんだけど」
 「はぁ?おめぇ酒飲みに来てんのに仕事の話とかマジあり得ないわ」
 「確かに、仕事も大事だがよ、酒の席に仕事の話を持ってくるのはどうかと思うぜ」
 「まぁまぁ、じゃあ俺少しだけ席外しますね。すこし酔いがまわってきたんで外の風に当たってこようと思います」


 俺は話が出来るように席を外す。丁度この居酒屋にはテラス席があるのでそこへ行った。どうやらヒナタさんも俺の思惑に気がついてくれたようでついてくる。


 「すまないな、気を使わせた」
 「いえいえいいですよ。こちらこそすみませんね」
 「では早速説明に移らせて貰う。私達宮廷魔術師団の仕事は皇帝の護衛だ。とはいっても実際に護衛するのは第一団で他は基本はする事がない。では我々はなにをするかというと大規模戦闘のときの切り札として戦場で戦闘を行う。第一団のように他の団にも役割があり、第二団は戦闘、第三団は物資の補給などの後方支援だ。戦闘時以外は我々は基本自由だが月に二回ある集団演習には参加して貰う事になる」


 取り敢えず基本暇と言うことでいいだろう。解らなければランベルトに聞けばいい。


 「一ついいですか」


 ヒナタが頷くのを確認すると続ける。


 「なぜ俺が魔術師団なんですか、あの時俺は一回しか魔法と呼ばれているものは使ってないと思うんですけど」


 そう、ずっと疑問に思っていたのだ。なぜ俺が魔術師団なのかと。強いだけなら今すぐにとはいわなくても騎士団長直属部隊にでも入れればいいと思う。それなのになぜ‥‥‥


 「そうだな、確かに魔法と呼ばれているものは一回しか使っていない。なにか勘違いしているようだが宮廷魔術師団の魔術は魔装術をさす。宮廷魔術師団に入団する条件は二つ、一つは魔装術を扱えること。そして二つ目が団長補佐クラス。もしくはそれ以上だ。君は十分に魔装術を使えている。さらに宮廷魔術師団の団長クラスと渡り合える実力もある。だから君は十分に宮廷魔術師団にはいる資格を得ているんだよ。
 ここだけの話相性で考えたら私は君よりも弱いからな。技術だけなら直ぐにでも団長になれるレベルだ」


 そうゆうことか‥‥‥てか、やっぱり魔法にも相性があるんだな。ってことはヒナタさんが得意なのは遠距離と言うことだろう。確かにスピードの速い俺やランベルトじゃかなり離れていないとあまり有利ではないかもしれない。しかし、と言うことはだ、最初にコロッセオで言ってたランベルトより強いとか言うのは嘘だな。


 「さて、本当は早く終わったから装備関係を揃えたかったのだが、まぁ仕方ない。明日の朝九時の鐘が鳴るまでにまた闘技場にこい。それから装備を揃える事になる。あとは‥‥‥そうだ。一応宮廷魔術師団には家が与えられるがどうする?」


 家か‥‥‥風呂とか台所とか付いてるのかな。


 「それも明日でいいですか」
 「構わない。私はこれで失礼する事にするから一応奴等への連絡を頼んだぞ」
 「わかりました。ではまた明日」
 「ああまた明日」


 俺は入り口の前でヒナタさんを見送るとランベルト達のもとへ戻った。


 「よぉ。はなしぁ終わったか」
 「ん、あぁ。終わったよ。ヒナタさんは先に帰るって」
 「あぁそうか、わざわざありがとよ」
 「さぁ。もっと飲めや。今日は俺の奢りだ!!」


 こうして、今日はケイの奢りで夜中まで飲み続けた。もちろん、俺は烏龍茶だけど。お酒の味はまだ俺にはよくわからなかった。




 

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