ドラゴンテイマーになった僕は鶏を育てて暮らす。

ノベルバユーザー313493

1 1話 僕と王

 「よろしく頼むよ」


 「かしこまりました」


 「では今晩からは屋敷の周囲の見回りをお願いします」


 「わかりました」


 「任せときな」


 ドラゴンを新たに呼び門の前にいてもらう。さらに門番の皆には屋敷の周りを歩いて警備してもらうことにした


 「これでもしまた襲撃があっても大丈夫だろう」


 最近襲撃が起きやすくなっているようなので警備を強化してもらったのだ。ついでにメイドと料理師の三人は窮屈だが一緒の部屋で屋敷で寝てもらうことにした


 「そうですね、むしろ関係ない人が門の前の竜をみて討伐願いを出さないか心配です」


 「それの方があり得るわね」


 「確かに」


 部屋に戻って眠りにつく、ほんと何もないといいんだけど。おそらくそうは行かないのだろう。この先の事を考えると胃が痛くなる思いだ


 「いつになったら結婚式できるかな」


































 「旦那様お客様がおみえです」


 こんな時間に?僕が朝風呂に入っているとヤルタさんがそう伝えてきた


 「すぐ行きます」


 風呂から上がり応接室に入った  


 「これは、コンポさんわざわざ遠いところありがとうございます」


 コンポさんが来たと言うことは、この前の人たちの尋問が終わったのだろう


 「いえ、それで結果なのですが」


 なんだろう、尋問の結果を伝えるだけにしては妙に深刻な表情だ


 「全員自害してしまい」


 は?


 「本当ですか?」


 「はい、即死だったようで監視をしていた兵士曰く「大いなる王帝国の為!」とか言っていたようで」


 そうか、いよいよ本格的に危ないのかも知れない


 「わかりました。ありがとうございます。せっかくなので朝食をとって行かれませんか?」


 「よろしいのですか?」


 「勿論です」


 「でしたらご一緒させて頂いてもよろしいでしょうか」


 「はい」


 ヤルタさんに一人分追加で作って貰うようにフランシェルさんに頼んでもらう


 「お疲れでしょう、もしよければ一緒にお風呂などどうですか」


 「ご一緒させて頂きます」


 風呂はどれだけ入っていてもいい。最高だ。風呂から上がると食堂へ行く


 「おはようココナ、マヤ」


 「おはようございます司さん。お兄様もお早うございます」


 「お早うございます。コンポ様ようこそお越しくださいました」


 おお、マヤがお姫様対応してる。ちょっと感激だ


 「他の皆は?」


 「流石にお客様がいるのに使用人を同じ席に座らせるわけには行かないでしょ」


 「そういうものか」


 「私はそれでもかまいませんよ」


 「そうですか?でしたら」


 ヤルタさんに全員分用意するように頼む。少し渋っていた気がしたが直ぐに用意してくれた。少しいづらそうだ


 「皆さんいつも通りで大丈夫ですよ」


 そう、コンポさんが助け船を出してくれる。こう言うことだったのか、皆にも申し訳ない


 「いつも通りでお願いします。これも家の魅力の一つですから」


 「はい」


 そうして食事が始まる。思いの外コンポさんが積極的に話をふってくれるので皆もだいぶ慣れたようで最後の方は確りといつも通りに会話ができていた


 「朝からあんなに美味しいご飯を頂けるなんてありがとうございました」


 「いえいえ、こちらこそ楽しかったです。ありがとうございました」


 「では私はこれで」


 そう言って門をくぐろうとしたとき、森から魔法が飛んでくる。それを門番をしてくれている竜が察知して相殺した


 「今のは!?」


 「どうやら一人で帰るのは危なそうですのでマヤと送ります」


 「すみません。お願いいたします」


 ティアを呼んで森の中を警戒してもらう。イボルブにも暫くの間空から警戒してもらうことにした


 「マヤ、お願い」


 「わかったわ」


 テティーヌの街にとんだ


 「これは!?」


 空が赤く照らされている。外壁の内側からは煙がもうもうと立ち込めていた


 「二番隊は住民の避難を急げ!」


 「急いで屋敷へ」


 マヤに屋敷まで飛んでもらう


 「シュトロフさんは?」


 「恐らく二回に」


 急いで二回に行った


 「帰ったか」


 「父上何があったのです?」


 「今朝王都から来た兵士の一部が反乱を起こしたのだ」


 まさか!?兵士までもか


 「とりあえず事態を終息させましょう」


 「司くんか、すまない、手伝って貰えるだろうか」 


 「かしこまりました」


 窓をあける。まずは火をなんとかしなければ


 【雨乞い《コールレイン》】


 街にどしゃ降りの雨が降り注ぐ。瞬く間に火が消えて行く。これで動きも遅くなるだろう


 「兵士の見分け方は?」


 「背中に王国の紋章が入っているのが反乱したやつらだ」


 「わかりました」


 身体強化を四重にかけると窓から外にでる。街を走っているとなにやら剣を打ち合っている音が聞こえてきた


 「向こうか?」


 近くに行くと確かに背中に王国の紋章が入った鎧を着ている人とテティーヌ領の紋章が入った鎧を着ている人がいた
 王国の紋章が入っている人の背後に近づくと鎧に触れて電気を流す


 「アババ」


 「これは?北條様!ありがとうございます」


 「この人を縛っといてくれる?」


 「はい!かしこまりました。ありがとうございます!」


 こうして何人倒したかわからない100人は倒した筈だ。一段落して屋敷に戻った


 「お疲れ様」


 「ありがとう」


 「いえ、そういえば敵は何人いたのですか?」


 「200程度だった筈だ」


 ってことは半分以上は倒したわけだ


 「でしたら半分以上は倒しました」


 「本当か!?」


 「はい」


 「と、なると王都が心配だ」


 確かに、反乱がここだけだとは限らないもしかしたらオーシェントなど他の領でも反乱があるかもしれない


 「そうですね、僕たちは王都へ向かいたいと思います。ここはもう大丈夫ですか?」


 「はい、司くんのお陰で大丈夫そうだ」


 「なら僕たちはこれで」


 マヤの魔法で王都へ行く


 「これは・・・」


 既にここも街から火が上がっている。外まで兵士の声が聞こえてくる
 王都を囲む外壁の内側から聞こえてくる声には怒気がはらんでおり、外には兵士は一人もおらずそこには街から逃げ出してきたと思われる人で溢れかえっていた


 「マヤ」


 「城まで飛ぶわ」


 もう一度転移魔法で直接城まで飛ぼうとする


 「な!?なんで飛べないの!」


 「なら下から行くしかない!」


 門を潜ると中はひどい状態だった。壁には負傷した兵がもたれかかり死臭が漂う。体から蛆がわいている兵もいる


 「ここからなら・・・マヤ、ココナつかまって」


 首に手を回してしがみついたマヤとココナを更に抱き込んで固定する。そして身体強化に爆発まで利用してお城のテラス、王帝陛下が演説した場所に跳んだ


 「陛下が行きそうなところは?」


 「王族だけがしる脱出用の通路がある。そこにいるかもしれない」


 声が震えてる。家族が殺されそうなのだ、怖くないわけがない。これだけ平静を装えているだけでもすごい


 「ならそこを目指そう」


 部屋を出て寝室へ向かう。壁をトントントンと叩くと床がずれ道が表れた


 「急ごう」


 階段をかけ降りる。中は複雑な迷路になっているようでマヤの記憶を頼りに進んでいく


 「いない」


 かなり進んでいる筈なのにいない。本当に王帝陛下はここを通ったのか、本当は外で捕まってしまったのではないかと心配させる


 「大丈夫」


 「そうですよ、きっと大丈夫です」


 「ええ、そうよ。大丈夫」


 そして通路を抜けた


 「いない」


 マヤがそう呟いた


 「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


 「マヤ!」


 「マヤさん!」


 とうとう心に来てしまったみたいで絶叫が止まらない


 「この声は―――――――マヤ!?」


 岩の裏からサウランさんがやって来る


 「父上?お兄様!?よかった・・・」


 マヤはサウランさんと王帝陛下、コルビナスさんを見ると安心したようで気絶してしまった


 「それで何があったんです?」


 「ザガンが、副将軍が反乱を起こしたのです」


 「ザガンがですか!?」


 ザガン、聞いたことだけはある。なんでも剣の名手にして魔法の達人、職業魔法戦士のスキルで魔法を体や武器に纏わせる事ができるという王帝国騎士団序列二位の騎士だ


 「ああ、突然の喉元に剣を突きつけられて、王なのに逃げることしかできませんでした」


 「それは仕方がないのでは」


 「それではダメなのです。私は自分の命惜しさに民を見捨てて逃げてきたのです。もう戻っても王になる資格はない」


 「そんなことはないです!」


 「ココナ?」


 「私は知ってます。あなたが王帝になってからも街へ行って不満はないかを聞いていた事を。


 私は知ってます。あなたが街を綺麗にしようとゴミ拾いをしていた事を。


 私は知っています。貴方が誰よりも国を想っていることを。


 あなたより優れた王がどこにいるのです。民に寄り添い、民の為の政治を行う。武力に優れた誰とも知らない王なんかよりも優しい王がいいに決まっているのです!さぁ立ちなさい、反乱は私たちが沈めます。貴方は街を、国を建て直すために努力するのです」


 凄い気迫だ、だが言っている事はわかる。どこの馬の骨とも知らない奴よりも優しい王がいいに決まっているのだ。王が戦に強い必要がどこにある。そんなのは騎士に任せればいいのだ


 「さぁ国を取り返しに行きましょう」

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