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ドラゴンテイマーになった僕は鶏を育てて暮らす。

ノベルバユーザー313493

22話 僕とスルトとクロノス

 【岩拡散弾ロックディフュゥージャン


 眼前に無数の岩の礫が生まれる。それら全てに回転をかけていく。一度にはできない。一つづつ確実に全ての奴に掛け終えると発車した。スルトの体が岩の礫を受けてちりじりになっていく。その中に一つ、ここからでは豆粒程度にしか見えないが黒い物体があるのに気がついた。


 「あれか」


 見つけるがいなや全力の氷針弾アイスニードルブリッドを、撃ち込んだ。しかし核はそれを避けるとすぐさま体を復活させてしまった。さっきからスルトにそそぐ魔法の数が目に見えて減っている。これはスルトの攻撃によるものだけではない。既に戦闘開始から1時間が経過しようとしている。その間魔法を放ち続けているのだ。魔力切れになるものが出てもおかしくないのだ。僕の魔力もあと一時間程度で切れてしまうだろう。それまでになんとか倒さなくては。


 「これを使うか」


 刀を握る力を強める。正直刀なんて一度も振ったことはない。しかしあの核に当てるには超近距離からの超威力の攻撃が必要だ。


 (やるしかない)


 【身体強化】


 【身体強化】


 【身体強化】


 【身体強化】


 【身体強化】


 【身体強化】


 体が耐えうる限界まで身体強化をかけた。


 そして飛ぶ。


 【岩拡散弾ロックディフュゥージャン


 スルトの体がちりじりになる。


 「見つけた!」


 地面を蹴る脚にさらに力を込める。復活する前のスルトに肉薄すると大上段から刀を振り下ろした。それを核は簡単には避けて見せる。


 【水球アクアボール】 


 再び炎を纏い復活しようとしたスルトにぶつける。辺りを水蒸気が立ち込めるが黒い核を目で捉えるとそこへすかさず刀を振るう。


 キィィン


 水蒸気が晴れるとそこには刀が浮いて僕の攻撃を防いでいた。


 「うそ!?」


 驚いていると徐々に核を中心に炎が纏われていく。それはさっきまでよりも明らかに小さい。そして凄い熱量だ。肌が痛い。下がろうとバックステップをとる。
 するとは剣を右脇に構えて迫ってきた。


 逃げられない。


 【水球アクアボール


 スルトに向かって放つ。それをスルトは剣を振ることで消し飛ばしてしまった。しかしこれで足がとまる。


 距離はとれた。


 そう思った瞬間スルトの剣先に物凄い熱が集まっているのがわかった。そしてそれが放たれる。
 音がした瞬間に反射的に首を曲げた。するとさっきまで顔があったところを焼けるような熱さが通り抜けた。


 背中に嫌な汗が流れる。


 さらにまた剣先物凄い熱が集まる。また来る。今度は横に跳んだ。


 「んな!?」


 こんどは熱線が分散して進む。そのうちの一発が肩に当たる。


 「ぐぁぁぁぁ!!!」


 左肩から血は流れていない。


 出来る限り距離を取る。


 スルトは悠然と剣を構えて歩いてくる。まるで狩人に追いかけられている気分になる。
 全力で街壁に戻ると息を整える。左手の感覚はまだある。まだやれる。でも速さも力も足りない。これ以上身体強化を掛ければただではすまないだろう。しかしここはやるしかない。


 【身体強化】


 ミシッ


 【身体強化】


 ミシッミシッ


 【身体強化】


 【身体強化】


 キッーン 


 鼓膜が破れてしまったみたいだ。しかしお陰で余計な音が消えた。音が聴こえないのは恐らくかなり危険なことなのだと思う。それでも僕にさ今はメリットに思えた。
 【岩拡散弾ロックディフュゥージャン


 魔法発動の瞬間スルトの下へ跳んだ。
 スルトの体がちりじりになる。


 (成功してくれよ)


 【氷刃アイスブレード


 核の上を通るように放つ。予想通り核はしたに避けようとした。核はまだ空高くにある。しかし


 【重力切断グラビディカット


 核のある位置の重力が一瞬無くなる。核が一瞬にして下に落ちる。


 「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


 落ちてきた核を上から叩き切る。核から物凄い量の熱が溢れ出る。


 【氷槍弾アイススピアブリッド


 核が凍りつく。


 ピキッ 


 核にヒビが入った。もう少し。


 【身体強化!!!】


 バンッ! 


 核が壊れ弾け跳んだ。


 「よっしゃぁぁぁぁ!!!」


 おもいっきり天高くガッツポーズをする。そしてその瞬間力が抜けていき意識がとんだ。


 ここは・・・


 目を開けると一面真っ暗だった。僕は一度ここに来たことがある。


 「やぁずいぶん早かったな」


 忘れようがない、僕のある意味あの世界での産みの親みたいなものだ。


 「久しぶりです。ここに来たということは僕はまた死にかけてるんですか」


 「そうかもしれないね、あんな無茶をしたんだ。体の細胞がボロボロになってるし普通だったら死んでるよ」


 つまりは死んではないということか。よかった、生まれ変わって一年しないで死ぬのは流石に嫌だ。


 「そういえば名前はなんていうんですか?」


 「私かい?私の名は最高神クロノス」


 クロノス、クロノス、クロノス。うん覚えた。


 「クロノス様、なぜ僕はここに来たんです?」


 さっきから疑問に思っていた。こと、ここは生と死の狭間。しかし、厳密には限りなく死に近いつまりここにはほぼ死が確定した人しか来られない筈なのだ。


 「それは君がスルトを倒したからさ」


 「どうしてそれがここに来ることに繋がるんですか?」


 「あれは私の前の最高神が増えすぎた人類を間引くために作ったいわば神の使徒。そして転職の試練」


 転職の試練、つまりはあれを倒すことで転職することができるのか。


 「ということは――――――」


 「そう。君はこれから転職する」


 そう言ってクロノス様は一つの黄金のゴブレッドを出した。


 「この中の物を飲むことで君は転職を果たす。何になるかは君次第だ」


 手元に流れてきたゴブレッドを掴む。中には透明の液体が入っていた。


 ゴクン


 これを飲めば僕は転職する。驚異的な早さだろう。まさかこんなに早く転職できるとは思ってなかった。


 一息に飲み干す。


 左手の手の甲が輝きだす。


 光が収まると――――――――


 「は?」


 「どうしたんだ?」


 「いや、変化がないんです」


 そう。手の甲に現れた職業は前と変わらずドラゴンテイマーを示している。一つ変わった事と言えば新たに職業スキルが生まれそこに眷属召喚というものが増えていた。


 「みせてくれるかい」


 僕は左の手の甲を見えやすいように掲げた。


 「なるほど、いや面白い。職業はしっかりと変わっているよ」


 「本当ですか!?」


 「あぁ、君は正真正銘のドラゴンテイマーになったんだ」


 「本当ですか!?」


 「あぁ、だが足りないね」


 確かに足りない。このままでは職業の力を発揮することはできないだろう。


 「私からのサービスだ」


 そう言うとまた左の手の甲が輝きだす。そしてそこにはテイムの文字が刻まれていた。


 「ありがとうございます」


 「いいさ、さてそろそろ時間だ。元気でね」


 そう言うと視界が白み始める。


 「ありがとうございます」


 そして意識が途絶える。










 しっかりと俺を楽しませてくれよ


 

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