スキル盗んで何が悪い!

大都督

第9話


 アース病に苦しんでいた村人の最後の一人を治療を終えた。
 直ぐにギーラに診断をしてもらい、診断を終えたギーラはまぶたを閉じ、眉間にシワを寄せ、突然地面の上に足を降ろし深々と頭を下げた。

 それを見た村人も同じ様に、土下座スタイルをとり此方に顔を向けている。


「ミツ様!」

「えっ! ちょっと皆さん止めてくださいよ」

「いえ、お聞きくださいませ。貴方様のおかげでこの村は崩壊の運命から逃れることができました」

「「「「「ありがとうございます!」」」」」」

「貴方様が望むことなら、この村ができることなら何でもご協力いたします」

「「「「「感謝いたします」」」」」

 村人揃っての感謝の気持ち。
 それだけで十分だと思うんだけど、感謝してる人の気持ちも無下に拒否るのも申し訳ないしな。

「では、ご飯でもご馳走になろうかな」

「解りました、この村に残る食料をお出しして……」

「まったまった!」

 駄目だ、よくよく考えたら貧困してる村に食料求めちゃいけない。


「そこまでして、無理やりに出されたご飯なんて食べれませんよ」

 皆のお礼をしたい気持ちは解る、でも実際子供と老人しかいないこの村に財産と言えるような物は無いに等しい。
 そこにバンがやってきて解決策を出してくれた。

「ならミツ君が倒したオークはどうだい?」

「バンさん、モンスターですよ……食えるんですか?」

 自分が訝しげな視線を送ると、バンはクスリと頬を上げ説明してくれた。

「ああ、食えるぞ。流石にゴブリンは食えないが、オークの肉は街とかでは普通に食われてるからな」

 あんなグロテスクなオークを食べるのか……

「そうだったんてすね……。では、皆さんせっかくですし一緒に食べませんか? 後余った分は村の皆で分けましょう」

「えっ! いいのかい?」

 自分には食料自体はアイテムボックスにも入ってるし、直ぐにお金がいるわけじゃない。


「君は5匹倒してるだろ、それだけでも結構な食料の量になるぞ」

 倒したオーク数をバンが答えると周りからざわざわと声が聞こえはじめてきた。


「オーク5匹も……すげぇ……」
「えっ! 一人で倒したの? 治療士様じゃなかったの!」
「たまげたわい!」
「に……肉が食えるのか!」
「ありがたや、ありがたや!」

 村人はまだ倒したオークの数を知らなかったのか、改めて注目を浴びると気恥ずかしいな。


「おれっちがオークの亡骸を確認してるから間違いねぇ」

「ミツさん凄い凄い!」

「いや〜、本当ミツ坊には驚かされる事ばかりじゃな。うむ、なら動ける者はオークの肉を村に運んできておくれ、血の匂いで狼が来てしまうかもしれないからね、気をつけるんだよ」

 自分の提案でギーラが村人に討伐したオークの回収をお願いすると。久しぶりの肉が食える事もあり皆やる気を見せる人達だった。

 その前に自分には気になる事もある。


「ギーラさん、オークに捕まっていた女の子をを見ていただけませんか」

「そうじゃな、あの娘もオークの被害者。見に行こうじゃないか、ミツ坊すまんが付いてきてくれんか」

 自分はギーラに軽く頷き、ギーラと共に捕まっていた女の子の様子を見に行くことにした。


「なら手分けするか、男共は肉を運ぶの手伝いやがれ」

「「「「おぉ!」」」」

「アイシャ私達は料理の準備よ」

「わかった、ミツさん美味しいご飯作ってくるねー」


 アイシャもお肉が食べれるとわかったのか、瞳をキラキラさせながらマーサのお手伝いをすることに。

「楽しみにしてるよ、よろしくね」

「フフ」

「ほれ、ミツ坊行くよ」

「はい」


∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴


 広場から少し離れた家、今はもう誰も住んでいない空き家。
 今は来客様にとギーラが管理をしている場所に寝かされいる獣人族の女の子

 早速ギーラが診察をしてくれている


「この子は獣人の冒険者だね、怪我は無さそうだ。しかし、えらく痩せてるね」

 ギーラは寝ている女の子の腕を持ち上げたり、首元を触り状態を確認している。

 自分も鑑定してみる。


名前  『プルン』    獣人/16歳


状態異常_栄養失調。


モンク  Lv2。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


【【連撃________:Lv2/10。】】


【【正拳突き____:Lv1/10。】】


【【喉鳴らし__:LvMAX。】】

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 怪我や病気は無さそうだ。
 しかし、状態表示が栄養失調と見た目通りの状態それは解るが、この子のスキルが取れる状態になってる、何故だ? 
 いや、別に取らないけどさ、今までは相手が瀕死の時にだけにスティールが出来てたのに何故今なんだろう?


「これは、起きるまで待ってるしかないですね」

「そうじゃの、無理やり起こしても体に負担かもしれん」


「ふぁ〜ぁ……。これは失礼」

 少し疲れが出たのか、女の子が大丈夫なことを知って安堵したのかアクビが出てしまった。


「ミツ坊、晩餐の準備ができるまで隣の部屋で休んでおきな。今日は流石に疲れてるじゃろう」

「そうさせて頂きます」

 確かに、もう結構長い時間ゲームで遊んでたな、予定の時間にもなりそうだし、そろそろ寝ようかな。


「ここの部屋を使いな、休む位はできるからね。準備ができたら誰か迎えにこさせよう」

「はい、じゃ〜すみません、少しだけ休ませていただきますね」

 ギーラはゆっくりと扉を閉め、広場に戻っていった。
 晩餐と言うことだ初オーク料理、楽しみにしとこう。



「さて、サポーターさんはいらっしゃいますかね」


 色々質問したいので、ゲーム止める前にサポーターに質問することにした。
 しかし、サポーターの声は聞こえず、変わりに突然また目の前が真っ白の世界に変わった。


「え?」

 目の前に映るのは何もない空間……。
 まったく何もない世界が広がっていた。
 まるで、戦闘民族が修行に使う様な空間にポツリと立っている。


「バグかな? せっかくいい感じにスタートできたのにここでリセットはキツイんだけどな」

〘ねえ〙

「取り敢えずリセットしないと再開もできないし」

〘ねえったら〙

「しまった……セーブデータとかどうなってるんだろう」

〘ちょっと!〙

「せめてオークを倒した所まではデータ残っててほしいな〜」

〘無視するんじゃないわよ!〙

 あえてスルーしていたのが気に触ったのか、見事なドロップキックを背中に食らった。


「あ痛っ!」

〘ようやくこっちにお気づきですか〙

「なんだこのチミっ子は」

 後ろを振り向くと視線の先には、見た目は小学生と思える程の小柄な女の子がそこに。
 しかし、その子の印象は体型だけではない……。
 光に反射する様な綺麗な銀髪の髪は腰まで長く、服装は真っ白なローブ姿。
 そんな人とは思えない姿の女の子が自分を見下ろしていた。

〘チミっ子言うな!〙

「痛っ!」

 見た目は子供とは思えない程の思い蹴りが来る。
 取り敢えず落ち着かせないと。


「お嬢ちゃん、暴力はいけないよ」

〘まだ痛い思いしたいの〙

 女の子は顔に似合わす二重で大きく見える目を細め、睨みを自分へと向けてくる。


「すみません……えーと……どなた様でしょうか?」

〘……ふぅ〜。私はシャロット、この世界の創造者よ〙

「あ〜……。イベントかな?」

〘人の話を聞けい!〙

「痛い痛い、聞きますから蹴らないで下さい」

 軽い現実逃避をして見たら、今度は連撃で蹴りを頂きました。


〘全くもう、えーとあんた、名前何だっけ?〙

「えーと、キャラ名ですか?」

〘はぁ? キャラ名? あんた自分の名前も言えないの〙

 いきなり会って酷い言われようだな。


「ミツです、シャロットさんよろしくです」

〘シャロット様でしょう! 私は創造者様よ! ある意味神様よ!〙

「……シャロット様」

 もう蹴られたくないので素直に従っとこう。


〘宜しい、単刀直入に聞くわ。ミツ、あんたこの世界どう思う?〙

「どうって、まだ始めて数時間だけど。面白いと思いますよ」

〘嫌じゃないのね?〙

「はい、楽しんでゲームしてますよ」

〘ゲーム……。そうか、あんたはまだこれがゲームだと思ってたのね〙

「はい?」

〘言っとくけど、あんた元のの世界……つまり地球の住んでいた場所からは消えてるわよ〙


「……」

「……」

「……んー。そろそろ明日の仕事の為に寝ようかな……」

〘何現実から目を背けようとしてるのよ!〙

「いや……。むしろいきなり何を言い出してるんですか……」

〘ホントよ〙

「実際これはゲームでしょ? 魔法使えたりモンスター倒したり」

〘私がそう世界を作ったからよ〙

「第一に自分はちゃんと生きてます! ほら心臓だって動いてるし!」

〘確かに死んではいないわ〙

 質問にはすぐ答えてくれるチミっ子。
 話を続けてテンパった頭も徐々に落ち着いてきた。


〘あなたがコレに入ったときに光に包まれたの覚えてる?〙

 そう言うシャロットが指差した先にはeggの本体が浮かんでいた。
 指先に回りながらフワフワと浮かぶeggは大きさは小さくとも確かに自分の使っていた物に間違いはない。


「egg……確かに……。ゲームスタートの時に光がでてたような……」

 あれはゲームの演出かと思って気にもしなかった。
 なんせ痛みも無くその後は普通にゲームをプレイしたたのだから。

〘その光は私が出した導きの光よ〙

「いや、これが現実とか……。今の自分の姿見て下さいよ? 15歳の頃のですよ? これをゲームと言わずなんなんですか」

 リアルの自分は今の倍の年齢は行っている、今年30を過ぎたのだ。


〘それは、たまたまの偶然ね。私の作り出したナビの子があなたの容姿を決めたのよ〙

「現実に戻る事は……」

〘悪いけど無理よ〙

「このままあなたの作った世界に住めと……」

〘えぇ、悪いけどもう後戻りはできないのよ〙

「そうですか……。ところで目的とかあって自分を呼んだんでしょうか?」

〘別に無いわ。そうね、あえて言うならこのまま住むだけで良いわ。目的無くそのまま歳を取って行くのも問題ないわよ、実際さっきも聞いたけど、あんたこの世界楽しんでるわよね?〙

「それはゲームとして……」

〘じゃ! このままゲームと思って死ぬまで続けなさい!〙

「そんな無茶な」

〘無茶が起きるのが人生よ!〙

 勝手に連れて来といて、それで済むと思っているのか……。


「じゃー、このまま住むとしても何か迷惑料とか特典見たいな物は無いんですか? 創造主様なら何でもできるんでしょ!?」

〘あぁ、特典ならスキルをあげたでしょ〙

「なっ!」

〘あんた、既に解ってると思うけどさ! 結構レアなスキルを上げたつもりよ〙

「うっ、確かに……」

 相手のスキルを奪えるスキル。
 考えようでは凄いスキルなのは自分でも理解していた。


〘その辺の人間でも良いから鑑定して見なさい、スキル持ってても4〜5個。あんたの場合持ち放題じゃない。ある意味チート! 人生チートに変えてやったのよ!〙

「うっ……はい……スキルありがとうございます……」

〘解った!? 解ったならもういいわね、じゃ〙

 後ろを向いて消えようとしているシャロット。
 最後に聞きたいことがあったので呼び止めた。

「あぁ、最後に……。元の世界から自分が消えたこと事件とかになってるんじゃ?」

〘……言ったでしょ消えたって〙

 先程までとは違い、声のトーンが下がって返答をしてくれる。
 真面目モードのシャロットは神々しさが漂っているようだ。


〘言葉の通り、消えてるのよ。あんたの記憶も何もかもよ、だから問題になることは無いわ〙

「誰も……覚えてないんですね……」

〘そうよ〙

 家族である親は自分が幼い頃に事故で既にいない。
 唯一の身内である祖父も自分が二十歳を過ぎる頃に他界……。
 親戚である身内もいない、恋人もいない。
 友達もあまり会うことも無くなって毎日仕事に行く日々……。

 社畜となって年を取るだけの毎日……それを考えると人生やり直しも悪くないか……。


「なら……思い残しはありません……」

〘そう……悪いわね〙

「シャロット様」


 罪悪感でもあるのだろうか、シャロットは下を向いている自分の肩にそっと手をおいた。


〘まっ、あんたが世間から消えても1ミリも影響ないから安心しなさい、アハッハハハ!〙

「このチミっ子め……」

〘チミっ子言うな。最後に……これはゲームではないの、死ねば死ぬ、当たり前よ。敵との戦闘また争いごとには気をつけなさいよ。スキルをうまく使うことがこの世界で生き残る秘訣よ〙

「はい、ありがとう……って言うのも変だけど、助言ありがとうございます」

 そう、今まではゲームなんだから死んだらまた生き返って始まる物だと思いながら戦ってきた……。
 シャロット様の言葉を忘れずに! この先更に慎重に行動しなければ。


〘このままあんたにはナビの子を付けといてあげるわ、名前はそうね……。ユイシスとでも名乗っときましょう、仲良くして頂戴ね〙

「助かります、丁度聞きたいことがあったので」

〘じゃ、また会うかもしれないけど、会わずにこれが最後かもしれないわ。この世界を楽しんでちょうだい。第二の人生あっさり死んで終わらせないようにね〜〙

「ははっ……が、頑張ります」            

 シャロットからの最後の言葉を聞き。
 終わった途端目の前が真っ白な光に包まれた。

 目を覚ますとそこは先程座っていた木材のベットの上だった。


「はぁ……夢……じゃ無いんだろうな」

《はい、夢ではありません》

 自分の返答に答えるかのような速さでサポーターの返答が帰ってきた。


「いきなりだな……ユイシスだっけ? 改めてこれから宜しく頼むよ」

《はい、ミツ様のサポートが我が創造主様の望み、お任せください》

「うん、名前に様はいらないからね」

《それは何故でしょうか?》

「サポートするなら相手に気を使わせちゃ駄目だと思うんだ。自分もユイシスって呼ぶんだから、お互い固っ苦しいのは止めようよ」

《……解りました、では、ミツをこれからサポートいたします、これからよろしくお願いします》

「うん、よろしくね。因みにこれからもユイシスと話すときって今のままじゃないと駄目? 他の人から見たらすごい独り言を言ってる人に見えるんだよねきっと」

《思考に考えていただければ会話が可能です》

(えーっと、これで良いかな?)

《はい、話したいとイメージして頂ければこの通り会話が成立いたします》

(これは助かるよ。早速だけど聞きたいことがあるんだけど良いかな?)

《どうぞ》

 部屋の中とはいえ一人でブツブツと話してるところに誰か来たらおかしな人だと思われて大変だ。
 それにこの先の旅で命を大切にするなら、できるだけ目立たないようにしなければ……。
 いや、もう逆に開き直るのもありかもしれない。

 色々と聞きたいことが溜まってたから丁度いい
、今から質問タイムと入れ込もう。


(先ずはステータス画面。ノービスがレベルMAXになったんだけど、転職条件ってこれなの?)

《はい、ノービスはLv10がLvMAXです。それからお持ちのスキルとステータスによって転職が可能となります》

(スキルは何でもいいの?)

《基本転職の流れは最初選ばれた初期スキルで粗決まります。ミツの場合は他者とは違い、スキルを手に入れることができます》

(シャロット様のおかげでね)

《はい、よって、ミツの選べる転職はこの世界にある殆どが可能となります》

(職業って何個程あるの?)

《転職は全部で236職あります》

(に……にひゃく……)

《そのうち20職は女性限定の為、転職は不可能です》

 それだけの転職があるなら20職くらい何とも思わないよ。
 ちょっと気になるけど……。

《また他にもモンスター限定も数点あります》

(あ〜、あのゴブリンの【ドルイド】とかな? 因みに女性限定って何があるの?)

《例をあげますと【ヴァルキリー】【くノ一】【シャーマネス】【トロバイリッツ】【バニー】等などあります》

 なるほどね、聞いて納得したよ。
 そりゃ男は無理な職な物ばかりだ。
 


(しかし、スキルとステータスで転職か……選び放題だね)

《転職には複数形もございます》

(複数形?)

《例を申し上げますと【アマゾーン】と言う"上位職"があります、これの転職条件は特定の職とステータス、また複数の経験を極めませんと転職できません》

(上位職か……)

《また【シャーマン】【ソードマスター】【チャンピオン】などの"上位職"には大量のレベル(経験)が必要とします》

(上位職って言うくらいだもんね、今の自分は何に転職できるの?)

《【アーチャー】【シーフ】【クレリック】こちらから選べます》

 結構スキル持ってるけど転職は3つか、スキルはあってもステータスが追いついてないんだろうな。
 まっ、最初から多すぎても困るし丁度いいかな。


(オススメのジョブとかあるかな?)

《【アーチャー】を極めますと【ハンター】に転職できるようになります。【シーフ】を極めると【アサシン】に転職できるようになります。
また【アーチャー】【シーフ】両方を極めると上位職の【ニンジャ】に転職できるようになります》

(いきなり上位職か、これはラッキーだ)

《転職を希望されますか?》

(そうだね、今はアーチャーに転職しよう)

《【アーチャー】にジョブが変更されました、ボーナスとして以下のスキルから2つお選びください、既に習得済みのスキルは非表示となります》



*小鳥の目
*鷹の目
*罠仕掛け
*罠解除
*忍び足
*ダブルショット
*急所撃ち


 最初選ばなかったスキルから選べるのか。
 選ぶなら鷹の目だな、フクロウの目と悩んだくらいだし。
 せっかくだ次のスキルは小鳥の目にしとくことにした

《〈鷹の目〉〈小鳥の目〉以上2つでよろしいですか》

(いいよ)


《〈鷹の目〉を習得しました〈小鳥の目〉を習得しました。条件スキルの対象を獲得しました〈連射〉を習得しました》



鷹の目
・種別:パッシブ
弓の射程距離が上昇する、スキルレベルが高いほど遠距離から攻撃することができるようになる。


小鳥の目
・種別:パッシブ
周囲の危険を感知できるようになる、スキルレベルが高いほど周りの危険を感じることができるようになる。


連射
・種別:アクティブ
矢の連射が可能となる、スキルレベルが上がると連射スピードが上がっていく。


(条件スキル、名前の通り何かしらの条件で獲得できるスキルだろうね。)

《はい、条件スキルは一定のスキルの取得すると新たに取得できます》

(解った覚えとくよ。次なんだけどステータスの+(数)ってなんでついたの?)

《ノービスのレベルMAXボーナスです。職を極めますとステータスボーナスがプラスされます》


(なるほど、転職の職業のMAXは統一レベル10になるのかな?)

《はい、上位職を除けば、統一MAXはレベル10となります》


(そう言えばさっき、オークに捕まってた人だけど瀕死状態じゃ無いけどスティールできる状態になってたのは何故かな?)

 《スキルのスティールレベルが上がったためです。
対象となる人物、または生物が何かの状態異常になれば、スキルを奪うことが可能レベルとなりました》

(状態異常……。たしかに栄養失調は状態異常で表示されていたな)

《また、既に持っているスキルを別の対象者から奪うと、経験を追加し、レベルを上げることが可能となります》

(それは良い、同じ種類モンスターから同じスキルをかき集めれば一気にレベル上げることもできるんだ)

 あとは〜。一通り知りたいことは聞けたからもう大丈夫かな。

(ありがとう、また質問あったら聞くね)

《はい》
 
 ユイシスとの会話が終わった。
 改めて、今この体が生身だということを確認する為に色々やってみた。

 先ずは軽く準備運動、次に拍手、頭を掻く、鼻をつまむ、腕を組む、瞬きを繰り返す、口を大きく開ける、耳を引っ張る、手をじっと見る、文字を手に書く、息を止める、息を吐く。

 一つ一つの動作に違和感はない、むしろ若返ってる分体が動かしやすい、視力も前世より見える。
 チミっ子様も適当にこの体をくれた訳じゃ無さそうだ。いや、体はユイシスが作ってくれたんだから感謝はユイシスにかな。

 そんなことを考えてると、外から何やら香ばしい匂いがしていることに気づいた。


「匂いか……。当たり前だけどね……五感全てそりゃあるよね」

 もっと早く気づくべきだったかもしれない。

 この世界初めて見上げた青空の光。

 アイシャをモンスターから助ける時にゴブリンをナイフで刺した時の感触。

 アイシャを村へと連れて行く時に引いた手の暖かさ。

 ゴブリンの住処にしていた洞窟内の臭い。

 ドンやマーサに引っ張られた腕とほっぺたの痛み。

 明らかにeggのゲームでは経験できないことばかりだ。本当……鈍感な自分に苦笑してしまう……。

 暫くするとガチャリと扉を開けアイシャが顔を出した、どうやら晩餐の準備ができたことを伝えに来たようだ。


「ミツさん、起きてるかな?」

「起きてるよ……。どうしたの?」

「広場にご飯の準備ができたよ、みんな待ってるから行こう!」

「本当だ、何だかいい匂いがしてくるね」

「私オークのお肉初めて、凄く楽しみなの、ミツさん早く行こうよ!」

「自分も初めてだよ、オークは……」


 自分はアイシャに手をひかれ広場へと向かった。

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