スキル盗んで何が悪い!

大都督

序章


 何処にいるんだろう……


 目を開けた先には、見たことのない世界が広がっていた。


∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵


「お疲れ様でした。」


 仕事が終わり、付き合い残業なんて興味がない自分は、サッサと着替えて帰宅する。


「おつかれさん、明日は合同朝礼だから早めの出勤、忘れないようにね。」


「わかってますよ。」


 帰り際、上司とのすれ違いざまの会話だ。
 そんな言葉を聞きながらも、体は帰宅の足取りを止めない。


「早く帰ってゲームしようっと。」


 少し急ぎ足での帰宅をし、簡単に風呂と晩飯を済ませた。

  自分が急いでいる理由。それは、今大人気の新作ゲームをしようとしてるからだ。

 『Egg』それが自分が今やろうとしているゲームだ。
 Eggは今までのゲームとは違う。
 一番の違いは操作方法。今回は頭で考えるだけで、自由にキャラクターを動かす事ができる最新技術が取り入れられている。

 コントローラーはバイクのヘルメット、それにも似た感じの物を被り、卵の殻をイメージしたマッサージチェアほどの大きさの機械に入る。


「扉を閉めてっと、あ~何だろう落ち着く。」


 Egg自体の値段は高くは無い。

 しかし、8畳程の狭い部屋に、地味に場所を取るゲーム機。普通コレを買おうと思う人はいない。

 遊ぶ人は基本、ネットカフェやゲームセンターでの共有機を使うだろう。

 じゃー、何故自分がコレを買ったかと?


「さて、寝る時間も考えてと、明日は早めの出勤だし4時間はできるな」


 そう、これがもし共有設備の場合だったら、予約は勿論、使用時間が限られてしまう。

 楽しくても時間が来れば次の人に変わらなければならないし、人が少ないからと言って長時間続けると財布が軽くなってしまう。

 自分はそんなことが面倒になったので、買ってしまったのである。


「仕事行く前にダウンロード&インストールしといたから、すぐにプレイ出来るようにしといて良かった。さてと、キャラメイクは真面目にやらないとね。ネタキャラ作るのはゲームに慣れてからとして……あれ? もしかしてこのゲーム、キャラメイク機能無い? あ〜なるほど、自分の顔をそのまま使うのか」


 流石に30過ぎの顔をファンタジーで使いたくはない、少し調べてみると写真からでも使えるみたいだ。


「なら、10代の頃の写真を使ってっと……よし!」


 始めよう、これから。想像もしなかったゲームの物語を。

 スタートと同時に、ヘルメットのLoading画面には、目を瞑りたくなるほどの真っ白な画面が映し出された。


「えっ! 眩しっ!」

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