落ちこぼれな俺と神聖精霊

ボラオ

火聖の悩みと1ヶ月間のチャンス

今俺は、ガッタンゴットンという音を立てながら進む鉄の塊に揺られていた。そう、電車に乗っている。因みに、フェンリルさんとフローラさんは王族の仕事があるとかで帰国した。まぁ、そんな事は今はほって置いて、、、。突然だが悩みがある。今、俺は窓際の座席に座っていて、親父と母さんは真正面、そして、、、悩みの根源は俺の隣、つまり通路側に座っているのだが、寮から出る時から今の今までずっと腕を組んで引っ付いて離れてくれないのだ。しかし、今回の悩みはそこではなく、、、。何というか、、、フユカに対する俺の気持ちというか、、、つまり、、、俺が修行中に自覚したフユカに対する気持ちについての事だ。嫌という程自分の力不足や経験不足、そして仲間の存在の大きさについて思い知らされたとき、俺を心の中で後押ししてくれたのは紛れもなくフユカだった。それに気づいた日から修行中でさえフユカの事が気になって仕方なかった。正直、腕を組んでくるのも嫌ではなく、寧ろずっとこうしていたいという気さえしている。なので、俺はこの1ヶ月の間に告白をし、フユカさえ良ければ、、つ、つつ、、、つ、付き合う!!という計画を立てている。でも、どうすれば、、、俺が悩んでいると、、、。

(火聖よ、、、バカなのか?)

何と烈那が話しかけてきた。

(れ、烈那!って、バカって何だよ!それより、ボタンに聞いて欲しい事があるんだ!頼めるか?)

(そのままんまの意味だ。聞いて欲しい事?取り敢えず、話みろ!)

烈那がそう言ったので、俺は内容を話した。

(フユカの好きなタイプとか、フユカが好きな告白のシチュエーションとか、あとはフユカのs(あー、うるさい!うるさーい!)
   

俺が聞きいて欲しい事の内容を言っている途中で烈那が騒ぎ出した。

(お、おい、、、どうしたんだよ!急に!)


烈那は、、、

(火聖、、、まさかだとは思うが、フユカの好みに合わせて告白をすれば付き合う事ができるとか、訳の分からん事を企んでいないだろうな?)

俺にそう聞いてきた。そして、当然答えは、、、、、

(えっ!?それじゃダメなの!?それじゃあどうす    れば、、、、)

と、ガッカリしてしまった、、、すると、、、

(はぁ、フユカのタイプは火聖って、一番知ってるだろ!何故、そんな事を一々聞く!告白だって、ここでしてもOKがもらえるとわかっているだろ!火聖、どうしたんだ!一体どうした?)

と、少し怒り気味で言った。

(そ、それは、、、フユカが本当に俺の事を好きか不安で、、、でも、そんな事を聞くのは恥ずかしくて、、、だからボタンに聞いて欲しくて、、、)

(はぁー、ったく、、少し待ってろ)

しばらくして、隣にいるフユカが俺の顔を見てきた。

目が合う、、、俺は自分の顔が紅くなるのが分かった。そして、フユカが、、、

「先輩、、、先輩は、私の事をどう思っているんですか?」

急な質問、そして、内容、、、俺は、、

「俺は、、、フユカこそ、、、どう思っているんだよ!」

俺は、フユカに聞いた。少し、ムキになって、、、


「そんなの、決まってます。大好きで、愛しているに決まってます。私は答えましたよ?次は先輩の番です。」

そう言って、フユカは瞬き一つせず俺を見つめた。その目は俺を焦らせるような目ではなく、俺を包み込んでくれるかのような優しい目だった。俺は、きっと、怖かったんだ。自分の支えであるフユカとの距離を縮めようとして、失敗するのに。でも、フユカは怖くても進む勇気があって、、、俺を、、あの日からずっと、、好きでいてくれている。そして、その気持ちは日に日に増しているようで、、、俺も、、、。だから、、、俺の気持ちは、、、。

「俺、、、俺も、、大好きで、愛してる。だから、ずっとそばにいたい。フユカの隣に。だけど、フユカに傷ついて欲しくない。だから俺が守る。だから、、、だから俺と、、、俺と、付き合ってくれ!」

場所は電車の中、電車の揺れる音でフユカにしか聴こえていないだろうその告白は、俺の人生初の告白だった。

返事は、、、。


「嫌です。嫌に決まってます。先輩とは付き合う気はありません。」

拒否だった、、、。そして、フユカは二コッと満面の笑みでそう言った。俺は、今の顔は、、、涙が溢れてくしゃくしゃになっていた。男なのに情けない。けど、今は泣かずにはいられなかった、、、。

 

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