落ちこぼれな俺と神聖精霊

ボラオ

急な帰省

トントントントントントントン。
何処から懐かしい、、、料理の音楽が微かに耳に入る。夢か現実か、どちらかと聞かれればどちらとも言えない。しかし、この音を聞くだけ空腹を感じる。気が付けば、嗅覚も久しぶりの料理の香りがしていると言う事に空腹を感じていた。つまり、この2つの現象が今のとてつもない空腹の根源であると言う事だ。思い返せば、あの地獄のような2週間の食事はもはや食事ではなく作業だった。最初の1,2日は良かったが、3日目からはもう飽きていた。癖のある野生の肉、塩の味がない焼き魚。つまり、味は天然、自然そのもの。修行で疲れた体を回復させる食事は楽しむという概念は消えていた。食材への感謝はしていた。ただ、それでいて固定されたメニューを食べるのはどことなく、作業に近いように感じていた。そして、昨日は夕飯を食べる前に倒れて、、、あれ?じゃあ、ここは何処だ?馴染みのあるベッド、枕、布団、、、でも昨日は広場で倒れたはず、、、そして、空腹が 満たされそうな匂い、、、まさか、、、俺は目を開けた、、、、そこは、知っている天井。そして、上体を起こして台所がある所へと向かった。俺の予想は的中!

つまり、、、そこに居たのは、、、

「フユカ、、、」

俺の声が聞こえたようでフユカは振り向いて俺と目を合わせた。

「起きたんですね、先輩。もうすぐで朝食ができるので、着替えて待っていて下さいね!細かいことは後で良いですよね」

そう言って、止めていた手をまた動かした。俺はその後ろ姿を見て『ああ』と、返事をして言われた通りに着替えて待った。
しばらくして、、、。

「お待たせしました。先輩!今日は、青菜のお浸し、味噌汁、先輩の好きな蒸し鶏に、野沢菜の漬物、ご飯です!どうですか?特にこの蒸し鶏には秘密があるんです!食べて当ててみて下さい!」

笑顔で、そう言っていた。俺はその笑顔を見る事が出来て凄く嬉しかった。そして、言われた通りに食べる。

「いただきます」

そう言って、先ずフユカが推していた蒸し鶏を食べる事にする。蒸し鶏は食べやすいようにスライスされていた。箸で掴み口に入れる。ここまでは普通。しかし、歯で噛んだ瞬間に口の中に閉じ込められていた香りが爆発した。ただ蒸しただけじゃない。この香りは、、、一体、、、レモン?生姜?

「なぁ、これ、、、本当に蒸しただけなのか?だとしたらどうやってこの香りを出したんだ?」

その質問の答えは、、、、。

「一回生姜を溶かしたお湯で少し茹でたんですよ!そして、次にレモンを少量かけて蒸すんです」

「それは、、果たして蒸し鶏と言うのか?まぁ、美味しいからあまり大きい声では言えないけど、、、」

「細い所は気にしちゃダメですよ!それよりも、他のおかずも食べて下さいよ!どれも自身作なんです!」

こんな感じで、俺はフユカの手料理を堪能した。

「ご馳走さま」

「お粗末様です、先輩!」

そう言って、食器を持って行ってしまった。

「俺が行こうとしてたんだけどな、、、」

そして、俺はフユカに昨日の事を聞いた。どうやら、フユカだけじゃなくレオルやキュリアにまで迷惑をかけてしまったようだ。

「そうか、、、。ごめんな。どうやら修行で疲れていたらしい。」

「良いんですよ!気にしなくて!それより、先輩、今日は烈那さんを登録しに行くんですよね?」

「そうなんだけど、、、実を言うと場所が分からなくて、、、フユカ、案内してくれるか?」

「良いですよ!こっちでの登録もそこでしたのでバッチリです!では、プチデートを楽しみましょう!」

「デートか、、、悪くないな、、」

ルンルンなフユカを見ながら俺はそう言った。それをフユカに聞かれてしまい『先輩、今日はやめておきますか?』と心配させてしまった。俺はそこを冗談と言って話を終わらせ、フユカに腕を組まれながら校門を出た。街の道中ですれ違う男に痛い目で見られるがフユカに言うと凍らせますとか言い出しそうだったので黙っておいた。
そんな事を考えながら、おしゃれなカフェやレストラン、服屋などを見つけてはフユカが『先輩とのデートは、、、』と何やら計画を立てていた。そして、俺は思い出した、、、修行に行く時にフユカに約束をした事を、、、、。まずい、、、何も計画を立ててなかった、、、ここは、、どこかに出かけると言うよりも、、あえて出かけず一緒にいると言うのはダメなのだろうか。ダメだな、、、俺が退屈だ。いや、退屈ではないんだが、、、何というかフユカと約束したわけだし、、、ここはひとつフユカの行きたい所に行くと言うのはどうだろか。でも、それで困るのが『先輩に任せます。』って言われる事だな、、、、、。これが一番難題だ、、、。ここからが肝心と言う所でフユカに声をかけられた。

「着きましたよ!先輩」

そう言われて、さっきから下げていた頭を上げた。


「ここって、、、精霊騎士団・東日本静岡支部、、、だよな、、、」

俺はあまりにも驚いた為、フユカに聞いた。

「はい、そうですよ?精霊の登録はここでするんです。それでは行きましょう!」

「嫌な予感が、、、」

俺はそう言いながらフユカに引っ張られ自動ドアの入り口から入って、中の受付に向かった。受付担当の人はショートボブの若い女性だった。結構綺麗だな、、と思っていると、、、。

「むぅ〜、せ・ん・ぱ・い・!!そんなにそこの受付の人の方が可愛いんですか?」

そう言いながら頬をハムスターのように膨らませながら俺に体を寄せてきた。そして、組んでいた腕にこれでもかと力を入れてきた。段々と、本当に女の子なのかと思うほどの力になってきた。

「痛い痛い痛い!!フユカ!!頼むからそれ以上力を入れるのは、、うっ、、、やめっ、、って、、痛い!」

痛み耐えながら言った言葉にフユカの返答は、、、。

「そうですか、、、でもこの痛みよりも遥かに私の心の方が痛いです!やめて欲しければ二度と私と私のお母様と先輩のお義母と私たちの子供以外の女性をそういう風に見ないと誓って下さい。誓わないと言うのなら、、、ふふ、、、」

もはや、脅しを通り越して命令に近い。最後に浮かべた笑みは、完全にヤから始まるバーサーカーへとなっていた、、、。瞳はアイスブルーから紫に近い青色へとなっていた。これはマズイ、、、。

「わ、わかった!誓う!誓います!誓うけど、、、その、、俺には、、、いるんだよ、、、その、、妹が、、、だから、、、その、、妹も許容範囲に入れてくれると助かるんだが、、、」

俺は、脅しに従いつつも要求をした。恐る恐る、フユカがいる左側に目をやった。

「先輩に妹とが、、、って事は、、、義妹さんと仲良くなって取り込めば、、あっ!でも、、、もしブラコンだったら、、、私の家事力を見てもらって、、あるいは、、先輩を落とせれば、、、でも、、それだと、、、」

と、絶賛作戦を計画中だった、、、俺としては返答して欲しいんだけど、、。

「なぁ、それで返事は?」

俺は、バグり出したフユカに聞いた。

「へ?、、あ、、、えと、、、了解です!義妹さんも入れますが、、、義妹さんって、、、その失礼だと思いますが、、ブラコンだったりしますか?」

その質問の回答、、、答えづらい!何故かと言えば、去年は実家に帰ってないからどう言う状態か分からないからだ!中学までは確かに、そういった風だった気がしたが、、、。

「去年は実家に帰ってないから分からないけど、中学まではそんな風にも見えなくはなかったけど、、、どうだろうな、、それが何か問題なのか?」

「大問題です!義妹さんと仲が悪くなるとお義父様やお義母様との仲も悪くなって先輩と結婚できなくなる可能性が高くなるんですよ!!これは事件です!」

そう言って俺を見つめた。見つめたと言っても、ただ見てるだけじゃない!上目遣い!身長的に仕方ないが、、何だろう、、妹にもされた事は何回もあった、、しかし、フユカにされると心の芯にある物が動かされる。そんな気がする。というのは、初めてフユカに会ったあの日から感じていた。それが何かはもう知っている。けど、それは誤解ではないのか、、勘違いしているのではないのか、、、そう思う時がある。結局、結論は出ていない。そう思いながら、フユカと数秒間見つめ合っていると、、、。

「あ、あのー、、、お取り込み中すいませんが、、、受付の方を済ませていただけませんか?」

そう言ったのは、受付の女性だった。その言葉に俺とフユカは少し、恥ずかしさを感じて、顔を赤く染めた。

「えーと、精霊の登録に来たんですけど」

俺がそう言うと、、、

「あっ!あなたが団長の、、、話は聞いてます。ではコチラに」

そう言って俺とフユカは頭に?を浮かべて受付の人についていった。

案内されたのは恐らく最上階の部屋だろう。廊下をずっと歩いて一番奥の部屋に案内された。その部屋のドアには騎士団長室と、書かれていた。俺たちは受付の人に続いてその部屋に入った。

「げっ」

思わず口から溢れた。そこにいたのは男女4人。2人は知っているが、もう2人は全く知らない。

「お母様にお父様!?どうしてここに!」

俺が考えていると、フユカの言葉で理解した。してしまった。俺が、嫌そうな顔をすると、、、、。

「随分と遅かったな。 まぁ、いっか、、それより、お前の精霊の登録が先だな。何突っ立ってる!早くこっち来い!それと、そっちの子も」

「はぁー、わかったよ!烈那、出て来てくれ」
    
俺は怠そうに烈那を召喚して、フユカと一緒に親父達が座っているソファーの前にあるソファーに腰を下ろした。座ったときにフユカはやっと腕を解放してくれた。

「火属性の鳥、名前は烈那。一応、精霊武具と真霊武装を展開できる。」

俺は烈那を目の前にある机に乗せながら言える所だけ言った。

(烈那、頼むぞ)

(任せておけ)

俺は頭の中で烈那にそう言った。何を頼んだかと言うと、神聖精霊は精霊の出す魔力の量を調整する事ができる。俺はそれを烈那に頼んだのだ。

「ランクは、、、Aか」

親父が烈那に計測機のような物を近づけてそう言った。俺は内心やったぜ!とはしゃいでいた。

「まぁ、コイツが精霊と契約したって聞いた時は驚いたが、、、小鳥とは、、、。しかし、お前のその精霊、、、何か変だぞ!フェンリル、お前もそう思うよな?」

フェンリルという男は、身長は親父と同じくらいで体格は少し細く、銀髪のソフトモヒカンヘアー、顔はどこか優しさを感じる男だ。

「うーん、何というか、、、白虎と同じ雰囲気を感じるな、、、フローラはどう思う?」

フェンリルに続いて、その隣にいる女性が話した。

「確かに、放出されている魔力に違和感を感じるわね、、。まるで、半霊化でもしているみたいね、、、」

そう言ったのは、フローラという女性で、身長はフェンリルという男よりも少し小さいくらいで、綺麗な人。髪型はロングで色は銀に近い白。雰囲気はどことなくフユカに似ている、、、。そんな事よりもマズイ!このままじゃバレちまう!どうする!俺がそう焦っていると、、、。

「ねぇ、、火聖、、、あなた、何か隠してるんじゃない?変な意地を張らないで教えなさい、、、」

そう言ったのは、俺の母親、緋桜 フユミ。身長は170で、髪型はハーフアップでそこに三つ編みが加えられている。髪の色は茶色よりの黒。顔は、美人と言って誰もが納得する程。俺はそうは思わないが、、、。体格は細い。年は親父と同い年。

「いや、何を言ってんだよ!烈那はどう見ても普通の精霊だろ?フユカも言ってくれよ!」


「はい、先輩の言うとおりですよ!」

事件はフユカがそう言った時に起きた。

「フユカちゃん、、、本当の事を言ってくれないかしら?」

作戦通りにいけば、バレる事はない。ただ、相手は俺の親。つまり、この状況において、フユカに集中されると非常にマズイ。

「だから、烈那はh−」

「火聖には聞いてない!私はフユカちゃんに聞いているんです!それで、フユカちゃん正直に話てくれる?」

と、不利な状況になってしまった。今のうちに言い訳でも考えておこう、、、。

「せん、、、ぱい」

そう言って涙が溢れそうな瞳をフユカは俺に向けた。その表情を見ると、俺は何もかもどうでも良くなり、何か都合が悪い事をされてたとしても許せてしまう。そんな風に思わせられてしまう。これは、ただの甘やかし。自覚はしているが、そういう性分であるのでほとんど諦めている。けど、その性分はフユカと出会ってから、更に悪化しているように感じていた。従って、俺が彼女にかける言葉は、、、。

「はぁー、そんな顔すんなって、言っても大丈夫だよ。今回は言ったって仕方ないからな!」

俺はそう言いながら、フユカの頭を撫でた。すると、次第に表情は明るくなった。

「それじゃ、先輩、、言いますね」

元気になったフユカは、そう言って嬉しそうな顔から真剣な表情になった。

「先輩の精霊、烈那さんは、、、ボタンと同じ神聖精霊です。嘘をついてしまい申し訳御座いませんでした。」

そう言って、立ち上がると頭を深々と下げた。俺は、その光景を見て、、、

「おい!?フユカが謝る必要はない!!俺がフユカに頼んだんだから!フユカのお義父・・・さんにお義母・・・さん、娘さんに嘘をつかせてしまい本当にすみませんでした」


俺はそう言って立ち上がると、フユカの両親の方に向いて深々と頭を下げた。その言葉に、フユカは、、、

「先輩が謝る必要は無いんです!私が自分の意思で決めた事です!そこに、先輩の責任はありません!」

「いいや、たとえそれがフユカの決めた事でも原因は俺だ!俺がフユカにさせたのは変わらないし、事実だ!」

俺とフユカがそう言い合っていると、、、

「まさか、、、火聖が、、、神聖精霊と」

「まぁ、俺は知ってたけどな!」

「そんな事よりも、、、お義父・・・さんにお義母・・・さんか、、、」

「あらあら、、、もうそこまで関係が進んでいたなんて」

と、ごちゃごちゃに反応している。すると、親父の言葉に反応した母さんが、、、

「ア・ナ・タ!!後で、ゆっくりとその話聞かせてくれるかしら?」

怖っ!そう思っていると、、、

「なぁ、火聖君!フユカとはどこまで行ったんだい?」

フユカの父親、フェンリルからそんな事を聞かれた。流石に、さっきまでうるさかった親父や母さんも静かになった。

俺はフユカと顔を見合わせた。すると、俺の代わりにフユカが答えてくれた。

「あのですね、お母様にお父様、、、私たち、、、まだ、付き合っていないんです。」

フユカは一旦ここで話を切った。そして、フユカは自分の両親の驚いた顔を見て話を続けた。

「というのも、先輩からの提案なんです。私と先輩が初めて知り合ったあの日。私がここに来た本当の理由を話ました。でも、先輩はそんな約束で私の人生を棒に振る事は出来ないって断わったんです。自分がした訳でもない親が勝手に決めた約束に、、先輩は私の事を思ってそう言いました。」

そして、ここからは俺が話すという意図でフユカの頭に手を置いた。

「けど、その後に、、フユカの俺に対する想いが親が勝手に決めたからではなくフ ユカ自身がそう思っているという事を聞いて、、、でも、互いの事は全然知らないから、、、先ずは友達からという事にしたんです。そして、互いの事を知ってもフユカの気持ちが離れず、俺がフユカの事を好きになったら、結婚前提の交際をするという事にしました。」

一通りの説明は終えた。4人の反応は、、

「貴方達ね、、、」

「火聖君って、意外と乙女というか純情なんだね、、、俺としては結婚してくれるなら順番は構わないのに、、、、」

「あらあら、、、フユカ、いざとなったら既成事実を作れば大丈夫よ!火聖さんも別に責任さえ取ってくれれば基本的に何をしても大丈夫なのよ?それにフユカの事を思っての行為なら、火聖さんって実は、既にフユカの事が好きなの?」

と、うち3人はほぼ同じような事を言っていた。そして、フローラさんが言っていた事はやばい事なのでここで言っておかねば、、、

「あのですね、、、フローラさん、、、既成事実を作るにしても、俺とフユカはまだ学生なので問題が色々あるんです!それに、フユカが結構タイプなのはこの際言っておきますけど、それでも、まだ知らない事が山程あるんです!フユカがいつまで待ってくれないのは分かってます!でも、それでも、まだ知ってなおかないといけない事が互いにあるんです。ですので、もう少し待ってくれないでしょうか。」

俺の言葉に、フローラさんとフユカが反応した。

「あらあら、、、さっきみたいに私の事をお義母・・・さんと呼んでも良いんですよ?」

「先輩!私は先輩が私と結婚したいって言うまで待ち続けます!けど、もしかしたら薬とかありとあらゆる手段を行使するかもですので覚悟しておいて下さい!」


「くす、、ああ、わかった。それと、、、お義母さんはちょっと、、、」

薬、、、俺はそう言おうとしたが、やめておいた。

「火聖とそっちの嬢ちゃんは一体どういう関係なんだ?そういえば、聞くのを忘れてたが、フェンリルにフローラ、何でここにいるんだ?そう言えばフユミもどうしてここに?」

この言葉に俺とフユカ以外が反応した。かなり怒って。

「キトラ!!まさか、あの約束を忘れてはないだろうな!」

「あらあら、、、キトラのそういう所が駄目な所よ。覚えてないの?」

「あなた、、、本当に覚えてないの?」

と、3人は同じような顔をして、怒りを通り越して呆れてしまった、、、

「フユカ、、、うん?銀髪、、、火聖、、結婚、、、あっ!」

と、何かに気づいたようだ、、

「思い出した!!火聖の許嫁か!そうだった!!そうか、そうか、、、、でも、それと、お前らがいる理由は?」

その質問の答えは、、、

「はぁー、駄目だこりゃ、、、」

「キトラ、、、お前、、、自覚なしか」

「私とフェンリルは、いつまでたっても火聖さんとフユカの今後についての連絡が来ないから来たんです。フユミの場合は、家にあまり帰って来ないから心配で来たんですよ。あと、火聖さんの姿も見にね。」

「あっ、なーるほど!そう言う事か、済まん。忘れてた!てへぺろ!許して!」

フローラさんの説明を理解すると、笑いを取りに行ったのかつまらん事を言ったので誰も反応しなず、生殺しにした。冷めた目で。これにも、親父はションボリした。

「と、とりあえず火聖はSランク精霊騎士確定か、、、リュウジのやつ、全く、、。こんな事されたら、火聖をいじれないじゃないか!」

ブツクサと、文句を言いながら書類に何か書いてさっきの受付の人に渡し、その人は部屋を出て行った、、、。

「火聖がS、、、はぁー、、火聖、、、お前、、これから面倒になるぞ!まず、人工島の学園に通うとなると間違いなく人気が出るな、、お前だけの力で、、」

そう嫌そうに言った、、、

「いや、別に口外しなければ分からないだろう!それに人気が出ると、、、」

俺はそう言いながら、フユカを見た、、、

「先輩に、、、人気、、、これは盲点でした!!えーと、どうすれば、、、刺せばいいのかな?それとも凍らせて、、、」

「ダメダメ!!それ犯罪だから!ダメ!」

危ない事を計画していた、、、

「それに、俺やフユカが口を滑らせない限り大丈夫だから!」

俺の言葉に対して、親父が反応した。

「それは、無理だ!」

「どう言う事だ!?」

俺は、親父に説明を求めた。

「何故なら、Sランクの精霊騎士は登校日の集会で名前を読み上げられる予定になっているからな!」

その事実を知って俺は驚きと同時に恐怖した、、、。

「さ、ささ、、刺される!?」

俺が発狂する一歩手前で、フユカにいつもと同じ声で話しかけられてた。

「安心して下さい!大丈夫ですよ!そんな事はしませんよ!」

フユカはそう言って笑顔になった。俺はそれを見て、心を落ち着かせた。しかし、その笑顔を見て落ち着くのが間違いだった、、、フユカは、そう言った後に耳元で囁くように、、、ヤから始まったモードの低い声で言った、、、。

「安心して下さい、、、先輩を刺したり何てしませんよ?でも、、、私の先輩に手を出した雌豚を生きて返すわけには行きませんし、お掃除駆逐しないと行けません!    一つ残らず全て!うふ、、ふふふ、、あははははは」

怖い、、、恐怖でしかない、、、俺が怯えていると、、フローラさんが助け舟、もとい人工島での俺の自由がなくなる案を提案した、、、。

「あらあら、、、フユカ、そんなに心配なら、フユカが呼ばれた時に火聖さんの事を話せば数を減らせる筈よ!そして、こう言うのです!『もし、私の先輩に手を出したら、、、ふふふ、、、全員、、、血を見ることになります!覚悟、しておいて下さいね?それと、先輩も人気になったからって浮気、あるいは、そう見えるような行動をした場合、、どうなるか分かってますよね?それと、愛してます♡』と。そうすれば、、誰も手を出すことはないでしょう?」

「流石、お母様!それを採用させもらいます!!」

と、フユカが嬉しような顔をした。それよりも!何あれ!めっちゃくちゃ似てるんですけど!!流石わ親子!と言うべきか、、声や、息づかい、言いそうなセリフ、、、まさに、フユカのそれ!!気合い入ってたなぁ、、、凄かった、、そして、サヨナラ、、、俺の自由!いらっしゃい!鎖で繋がれた日々!そう思っていると、親父が話しかけてきた。

「なぁ、火聖、お前達はこれからどうするつもりだ?予定とかあるか?」

「いや、一応用事は済んだし、決めてないけどフユカが行きたい所あったら行こうと思ってたけど何かあるのか?」

と、俺は言った。

すると、周りが、、、

「先輩!?それって、、、デートですか!まさか、あの先輩がそんな事を考えていたなんて、、、。どこに行こうかなぁ!遊園地?いやいや、ここは新しくできたデパート!ああ、映画も捨てがたい!迷っちゃう!」

「デートか、、、」

「あらあら、、、そこはやっぱり、ホテルじゃない?フユカ」

「火聖、あなた、、もしかして、、、」

「デートか、、、イチャイチャしやがってこのリア充が!爆ぜろ!」

と、ほぼ同じ反応、、、親父に至っては過ぎたネタを、、、母さんは、、、何か考えていたが考えている事は大抵一緒だった。

「で、なんだよ!なんか用があったのか?」

俺は、親父に聞いた、、、

「いや、、まぁ、、なんだ?、、、去年お前が帰って来なかったから、せっかくの連休なんだから家に来ないか?って話だよ!」

意外だった、、、親父がそんな事を言うなんて、、、俺が驚いていると、、、

「火聖、、、もしかして、、、メール、、読んでないの?メールの返事が返ってこないってあの子言ってたけどまさか!」
  
母さんがそう聞いてきた。てか、えっ!?メール?何それ!そんなの知らないんだけど!俺がそう考えていると、、、

(火聖!あれだ!去年送られてきただろ!妹から!)

と、烈那が俺の記憶を見て教えてくれた。

(ああ!思い出した!)

「あぁ、、あれか、、、まぁ、去年は色々忙しかったからな、、、送れなかったんだ!」

「そう、、でも、この間送ったメールは見たのよね?」

その質問に俺は答えれなかった、、、、何故なら、この間、それがいつの話か分からないからだ、だが、一般的にここ最近の話だろうから、、、恐らくは、、、

「フユカ、メール届いてたか?俺のスマホに」

「え、、、と、、確か、中までは見てませんが届いていた気がします!先輩、いくら修行中だったとはいえ、スマホは常に持ち歩いて下さい!そうすれば2週間会えなくても電話やメールでやり取りできたんですから!あと、はいどうぞ、もう何で机に置きっぱにしてるんですか!私が持ってきて正解でした!」

そう言って、フユカは教えてもいないパスワードを入力してロックを解除してから俺にスマホを渡してくれた。内心ビビったが、それでもメールの内容を見てないって所に俺は感動していた、、、。

すると、、、

「ねぇ、、貴方達って、、、はぁー」

「「「付き合え(なさい)よ!」」」

と、言われたが、もう一々何か言うのも疲れるからスルーして、、メールを見た。

以下がその内容である





送信者:氷菜(ひな)
   
件名:学校から帰って来なかったお兄へ

本文: お兄!去年はどうして帰省は愚かメールの返信もしてくれなかったの?
\\\٩(๑`^´๑)۶////
今年はちゃんと帰省してね!o(`ω´ )o
それと、この前お父さんがお兄と会って話たって意地悪な事を言ったので、その日の夕飯はお父さんの分だけ作らないで反省させました!偉いでしょ!
( ̄▽ ̄)エッヘン
帰ってきたら、ちゃんと褒めてね
(*≧∀≦*)


                           – END −





「そうか、、、それで、、、親父が俺に帰って来るように言ったのか、、、まぁ、自業自得だけど、、、」

同情の余地なし、ザマ〜!そう思っていると、、、

「あの〜、先輩?先輩の義妹さんが食事を作っているんですか?」

「ん?あぁ、まぁどっちも仕事で帰るのが遅くてな、、、」

俺がそう言うとフユカは何かを考えていた。

   
「それがどうかしたか?」

俺が聞くと、、、

「あ、あの、、、先輩は、、、帰省するんですか?」

「えっ!?、、、まぁ、、去年と違って忙しくもないし、、そのつもりだけど」

俺は、突然の質問に驚いたが、ちゃんと答えた、、、すると、フユカは瞳を涙目にさせ、更に上目遣い、そして抱きつくという3コンボを繰り出して若干赤面になりながらこう言った、、、

「先輩、、、、私も、、、ついて行っては駄目ですか?その、、、義妹さん1人に家事をさせるのは大変なので、、、と思ってて、、、それに、、、先輩と一緒に居たくて、、、やっぱり、、駄目ですよね」

俺は、相当、、この目に弱いらしい。
さっきもこれでやられたばかりなのにも関わらず、、、、恐らく、何回やっても、同じ事をしてしまうのだろう、、、俺はそう思いながら、フユカの頭に手をのせて言ってしまった、、、。

「駄目な訳ないだろう、、、それに、、修行に行くとき約束したろ?帰ってきたらデートするって」

すると、フユカは、、、

「先輩!!大好きです!愛してます!結婚しましょう!」

と、多少ふざけながらも喜びを表情、動作、声色で表現していた。フユカの嬉しい気持ちが物凄く伝わってきて、その笑顔につられて俺まで笑顔になった。

その後の周りの反応は騒がしかったが、無視し、駅で待ち合わせをする約束をして、俺とフユカは一旦寮に戻りフユカの支度を待って、30分後に駅に向かった。



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