落ちこぼれな俺と神聖精霊

ボラオ

最期の晩餐

修行を開始して2週間と言う時が過ぎた。そして、今日は最終日。朝6:30から始まり今では、レオルとキュリアはフユカの動きについていけていた。いつもの広場では、それぞれの雫が飛び散っている。『はぁ、はぁ、、』と言う3人の息と、広場の芝生を蹴る音、それぞれが行き着いた武器が『ガァン!』と言う鈍い音と『ジリリリ』と言う武器が擦れる音だけが辺りを制する。会話はなく、ただの殺気だけが行き交っていた。その無言の実戦練習を1人の男の声が破った。

「はぁ、はぁ、、そろそろ全力で行くぜ!うぉぉぉ!土精霊魔法、、スポルセィ・ゼィア(土落とし)」

彼はそう叫びながらジャンプして、両手で持っている斧に魔力で土を作り固めて、ハンマーの様な形にして2人をまとめて狙った。『ズドオン!』と言う重さのある音が威力を物語っていた。そのため、広場の芝生がえぐれていた。約直径3メートル深さ1メートルの穴ができてしまっていた。

「あちゃー、手を抜いたつもりだったんだがな、、、、やっちまった、、、」

と言いながら穴を魔法で元に戻していた。

その光景を見ていた2人は、、、、

「レオルくんあなた加減ってのを知らないのかしら!それに私達が躱してなければ!今頃、ペシャンコよ!」

「そうです!それに朝なんですからやるならお昼からにしてください!他の生徒たちの迷惑になります!」


と、叱っていた。レオルはそれに対して

「スイマセンシター、キュリアさんにフユカちゃん!お許しをー」

と、土下座をしていた、、、それを見てフユカとキュリアは笑って、それにつられてレオルも笑った。さっきまでの無言が今では笑いが場を包んでいる、、、

「今日が最後か、、、」

レオルが空を見上げそう言った。

「そうねー」

キュリアがそれに応える。

「これで、先輩とデートできます!どこに行こうかなー」

フユカの顔は行く気満々だ!

「そういやー火聖、まだ来ないな!まさかまだ展開できてないとか、、」

「その可能性ある?火聖くんのことだからリュウジさんに勝つまでは戻らないとか言ってそう、、、もしかしたら道に迷っていたりして、、、」

「そんなことないです!先輩は極めてから戻ろうとしているか私の為にデートの下見をしているかのどっちかです!あぁー、先輩とのデートもしかして、ホテル!?いやでも、、、先輩との初めて、、と、共に過ごす夜、、、キャァー!」

と、妄想に妄想して暴走したフユカは顔を真っ赤に染めていた。

その光景を見ていた2人は呆れていた。しばらくそんなことが続いた、、、キュリアは広場にある時計で時刻を確認していた。

「9:45か、、、ちょっと休憩にしない?リュウジさんが何故、2週間って言う期間にしたのかも少し気になるし、、、」

その発言に2人も同じ反応を示した。

「確かにな、、、何でだろうな、、、」

「前々から気にはなっていましたが、、、ちょっと、警戒した方がいいかもですね。もしかしたらあの『カウントダウン』と何か関係している可能性も、、、」

「カウントダウン、、、カウント、、、もしかして、この2週間ってのはあの黒のローブをした奴が言ってカウントのことなんじゃ、、、」

レオルの言葉に反応し、キュリアも考えを言い出した。

「それじゃ、私達が学校に残って修行していのは、、、、」

キュリアの言葉の続きをフユカが言った。

「学校に襲撃してきた敵を対処するため」

すると、、レオルが疑問を言った。

「じゃあ、何故リュウジさんは火聖を連れていった、、、対処するならここで一緒に修行をすればより確実だったはず」

その答えをフユカが言った、、、

「おそらく、それは時間稼ぎと考えた方がいいかもしれないです。先輩の力をより引き出し、より使いこなすために、、、でも」

と最後一旦切った。その続きをキュリアが言った。

「修行を終えて向かったら全滅、、、それを避けるため、、、けど、それでも二つに分けた意味は、、、一体、、、」

キュリアが考えているとレオルが自分の考察を言った。

「多分だが、相手に悟られぬようにだと思う。学校に襲撃してくるならおそらく偵察に来ていてもおかしくはない。火聖の情報を出さないようにし、俺達は囮としてここで力をつけるようにした。でも2週間って言う期間は襲撃するとなると長い、、、なんで、、、」

謎を解いてもまた謎がマトリョーシカのようになり、謎が謎を呼ぶと言うのはまさにこの事、、、普段使わない頭をフルで活用させ、行き着いた答えはとんでもなかった!3人は今、同じことを考えいる。

「「「もしかして同時に学校を狙う為(に)!?」」」

「「「あっ」」」

息ぴったりの発言に3人はリュウジの言葉を思い出していた、、、

『学校に関しては直ぐに意味なくなる』

この言葉の意味がここに来てようやくわかったのだ、、、

「って事は、全部の精霊騎士養成学校を襲撃するって事か、、、全部で何校あったけ?」

レオルがそう言った後にキュリアが慌てて数えだす、

「え、えーと、確か、北日本は北海道に一校で、東日本は、私達がいる静岡と東京にそれぞれ一校、西日本も京都と大阪にそれぞれ一校で、沖縄・庵美は沖縄に一校だから、え、えーと、6校かしら、、」

「だとしたら、他の学校を狙うのに2週間は十分に時間があるって事ですね、、、」

「けど、リュウジさんは一体どうやって2週間だってわかったんだ?」

「そんなの、後で聞けばいいわ!とりあえず今は十分に警戒しましょう」

キュリアはそう言って、辺りを見回す。

「そうですね、でも、コソコソしてもしょうがないので校舎に入って獲物が入るまで大人しく授業を受けましょう」

「そうだな」

「それもそうね」

と、レオルとキュリアはフユカの提案に納得して約30分後に自分の教室へと向かった。

途中、レオルはフユカに質問をした。

「フユカちゃんは本当に俺と火聖のクラスで授業を受けるのか?」

「そうですよ。そういえばレオル先輩も先輩と同じクラスでしたね。それがどうかしましたか?」

と、不思議そうに聞いてきた。

「いや、同世代の友達とか欲しくないのかなぁと思ってな、、、」

「うーん、できれば欲しいですけど先輩と一緒にいたいですし、、先輩がいればいいかなぁーって」

「そうか、変なこと聞いたな悪い。ただ、分かってるかもしれんがアイツの支えになってやって欲しい。強引にでもいいからアイツの隣で笑ってやってくれ!一年の時は必死でさ。アイツ、精霊と契約するまで夏、冬、春、の長期休暇に一度も家に行ってないから。それに、顔が死にそうだったからさ、頼んでもいいか?」

と、少し真剣に言った。

「もちろんです!それに、レオル先輩に言われるまでもないです!」

そう話していると教室に着いた。授業は始まっているが、遠慮なくフユカはドアを開けた。クラスメイトに会うのは久しぶりで先生に関しては事情を知っていたみたいだった。おそらく、校長から話しを聞いたのだろうとレオルとフユカは思っていた。クラスメイトに関しては火聖がいない事に心配していたが、授業は気にせず着々と進んでいった。事件は起こらないと、、、そう思われていた、、、が、しかし世の中はそう平和でない、、、3時間目の中盤に事件は起きた。それは突然だった、、、。

皆んなが教師の話しに夢中になっていると急に天井が爆発して、煙が辺りを埋め尽くした。当然周りを見ても分からない。クラスメイトの誰かが風の精霊魔法を使い煙りを吹き飛ばした。そこにあった光景は、、爆発した天井は穴が開いていた。2年生のフロアは最上階にある為青空が見えた。そして、煙りがなくなって周りを見渡すとレオルは、、、いや、正確にはレオルとフユカは、見たことのある黒いローブの人間が立っているのに気がついた。それを見てクラスメイトはざわめき始め、中には怯えていた人もいた。そして、レオルとフユカは顔を見合わせると頷き、先ずクラスメイトを逃がす事を優先にしていた。するとクラスメイトは我先にと教室から出て行った。教室に残ったのは、レオルとフユカ、そして黒いローブの人間。顔は影で見えなかった。レオルとフユカは相手の出方を待っていると黒いローブの人は辺りを見渡し、スマホを持って連絡した。

「ここに“ターゲット緋桜”はいない。ハズレだ。そっちは?、、、あぁ、わかった」

魔法によって低くなった声で連絡を終えたらしく教室を出て行った。

「なんだったんだ?」(それに、、、声を変えていた、、、)

レオルがそう言うと、フユカは慌てて言った。

「あっ!あの方向は、、、もしかして!?キュリア先輩が危険です!私達も行きましょう!」

と、言って走り出したのでレオルもフユカに続いて走った。


その頃、キュリアは、、、

「はぁ、、はぁ、、、この!」

そう言って矢を放った。その矢は目の前にいる黒いローブを着た大柄な男を射ることはなく虚しく空を貫いた。

「天井が爆発したと同時に俺が近づく気配を感じて他の生徒や隣のクラスまで避難を呼びかけたのは称賛に値する。が、力の差を理解していないのは減点だぜ?」

声は魔法か何かによって高くなっていた。そう言って辺りを見渡し、考え込んだ。


「うーん、なぁ、緋桜火聖の居場所を知ららないか?」

目の前の男はそう聞いた。

「緋桜くんに何か用?」

とりあえず、情報を集めるためにあえて質問は答えず探りを入れる。

「用か、、、いや、、、うちのリーダーがそいつの写真を見てにやけているからどのくらいの強さか気になってな、、、言っとくが、リーダーはそう言う趣味はないぞ!」

途中、誤解を招くような説明があったが最後の方で訂正があった。

「強さ、、、ね、、結構強いんじゃない?本気で戦っているところを見たことないから分かんないけど、、、ところで、そんな事の為に学校に来たの?」

キュリアがそう言うと、、、

「いや、、それもあるがメインはそれじゃない、、、無駄話しはここまでだそろそ実行しないとな、、、」

その発言にキュリアは何の事か分からない状態だった。

そして、『ドカーン!』という爆発があちこちで起きていた。その爆発はどうやら学校の敷地内で起こっていて、校舎は揺れてキュリアはバランスを崩し尻餅をついた。
そして、突然爆発した為驚いていた。

するとそこに、男子と女子の2人が駆けつけた。

「キュリアさん!?大丈夫ですか!」

「キュリア先輩!?」

レオルとフユカだった。どうやら、レオル達が追っていた黒いローブの人間は見失ってしまったがキュリアと合流した方が良いと判断した為、Aクラスに向かっていたらしい。

「大丈夫よ、、、たださっきの揺れと爆発は、、、一体、、、」

そう言いながら立ち上がった。

「レオル先輩、あの大柄の人はさっき見た人よりも強そうですね」

「確かに、、、しかも、、、、俺達じゃ無理そうだな、、、」


レオルがそう言うと黒いローブの男は、、

「ふーん、、なるほど、そっちの銀髪の女の子が、、、まぁ、計画優先だからな今回は無視か、、、しょうがない、、安心しろ、、、目的は人を襲う事じゃない!大人しく避難したらどうだ?」


「そいつは無理かな!」

返事をしたのはレオルでも、キュリアでも
フユカでもない、、、その声は空から聞こえて来た!!では、一体誰が答えたのか、、、

「「「先輩!?(火聖!?)(緋桜くん!?)」」」

「あ?緋桜、、、火聖、、、」

この場にいる全員が声の主を認識したの同時に火聖はちょうど4の間に着地した。窓側には黒いローブの男、廊下側にはフユカ達、、、その間に火聖が立ち、辺りを見渡す。

「随分とまぁ、良くここまで壊してくれたなぁ」

最初の一言は校舎が半壊し、所々に亀裂が入っている事についてだった。そして、もう一人上から降って来た。

「勝手に、話しを進めるな!」

そう言って火聖を拳骨しながら着地したのは、リュウジだった。

「いった!何すんだよ!リュウジ先生!」

「「「リュウジ先生!?」」」

その言葉に3名気になっている者がいるが火聖もリュウジも無視である。

「さっきの発言は撤回させてもらう。力の差は歴然、、、どうせもう撤退するんだろ?ならここはひとつ見逃してくれないか?」

と、リュウジが黒いローブの男にそう言った、、、

「まさか、“暴風”と言われていたアンタにそう言われるとは、、、まぁ、こんだけ“壊せば”計画通りだろう、、、国の学校のセキュリティーがザル過ぎてこんな有り様じゃあ、、、逃れる事は出来ないしな、、、」

そう言葉を残し窓側をぶっ壊して出て行った。それと同時にまた爆発が起きて校舎かま崩壊し始めた、、、

「先輩!どうしましょう!このままだと私達瓦礫の下敷きに!」

すると、リュウジ先生が人差し指で小さく円を描いたのと同時にリュウジを含めた5人が宙を浮いた。そして、、指を『パチン!』と鳴らしたの同時に物凄い勢いの暴風がリュウジ達を包みそのまま、他の生徒が避難している精霊の森まで運んだ。その体感は宛らジェットコースターのピードを3倍に上げ、そのスピードのまま自が回転をする。風に包まれても掴まるものはなく故に風が包んでいる範囲内でぐちゃぐちゃに掻き回されいる。従って『イヤァー』とか『キャァー』や『じぬぅ〜』などの絶叫が響き渡り、着いたら着いたで、リュウジと火聖以外は吐いてた、、、その光景を見ていた他の生徒や教師は可哀想な目でレオル達を見ていた。

この後、しばらくして生徒全員の無事を確認して、幸いにも寮は無事だった為とりあえず寮に帰る指示があった。俺達はと言うと、、、当然の如く、リュウジ先生と校長でその場に残って詳しい話しをする事になった。他の生徒には原因や詳しい情報が分かり次第連絡をすると言う事だった。もちろんそれは嘘だ。リュウジ先生と校長は分かっていた。そして、調査をしに来たと言う精霊騎士も。しかし、それは生徒の不安を煽らない為だ、、、仕方のない事だろう。

そして、校長が喋り始めた。今回の《同時襲撃事件》の事を、、、

    

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