落ちこぼれな俺と神聖精霊

ボラオ

事情聴取とこれから

ここは、満喜日町にある精霊騎士養成学校。その会議室に火聖とフユカ、レオル、キュリアの4人と、フユカの精霊ボタンと火聖の精霊烈那の2体はいた。だだっ広い会議室の入って右の隅に座らされていた。一番右端から火聖と烈那、フユカとボタン、レオル、キュリアの順に座っていた。そして、向かいの席にはさっきのタンクトップ男と校長、更に、、、親父、、、いらねー!まぁ、いいや、、、フユカの事はどうせ覚えてないだろうし!適当言って誤魔化して後で照れ隠しとか何とか言って言いくるめればフユカ何て怖くねぇ!だが、フユカが自分から言うとなると難しい、、なんか疲れた。そんな事を考えていると、校長から話しを切り出した。因み校長は歳は50後半、身長は150前半で体型は年相応と言った感じ。髪は、、、カッパというか天使の輪っかと言うか、、、触れないでおこう!いや、もう遅いか、、、

「君たち、いや、火聖くんを襲った男はどうやらこの前の火事の事件とは関係なさ そうだったそうだ、、、だが、意味深な事を言っていた、、、『あの方の計画の準備はもう既に整っている、もうすぐ実行される!精々その日が来るカウントダウンがもうすぐ終わる事を怯えながら待つといい!』と、おそらく近いうちにまた襲撃に遭う可能性がある。その為に君にやってもらいたいことがある、、」

そう言って校長は俺を真剣な目で見た。

「やってもらいたい事とは何ですか?」

俺は割と真剣な声色で聞いた、、、が、アイツが割り込んできた、、、

「へー、こんな小鳥の精霊使いでいいのかよ!校長、、、それに、申請もしてない。まぁ、どうせランクは良くてCだな」

親父だ、、、しかも、その口から放たれた言葉ときたら、、、腹立つ!が、しかし、ここで耐えなければバレてしまう、、、さらに、こんなヤツのことなんて無視だ!うん!よし!実行!そんなことを考えていると、タンクトップのオッサンが閉じていた口を開けた、、。

「キトラ、、、お前は仕事に戻れ!ハッキリ言って邪魔だ、話が進まん!そうそう、校長も一緒にどうぞ!俺が説明しとくんで!」

と、この人もこの人で結構面倒くさそうだなー、まぁ親父がいなくなるならいいがな!

すると、親父は、、、

「はぁー、リュウジお前ってヤツは、、確かに仕事は山の様にあるが、、まぁ、ここはお前に任せた方が適任か」

そう言って、会議室を出て行った。そして、校長はと言うと、、、

「キトラめ、、、逃げよったか。はぁー、しょうがない、、ではリュウジよ後は頼んだ」

出て行った、、、仮にも世界最強の親父と校長、、、この二人を動かすなんて、、、相当な実力を持っていると言うことか、、、リュウジってオッサンすげーって思っていると、、

「ふぅー、これで邪魔者は消えたと。良し、先ず火聖の質問に答えよう、、、やってもらいたい事とは、、ざっくり言うと襲撃の対処だ、、理由はお前が狙われているからだ」

そうサラッと言った事に驚くのはほんの数秒後、、、あまりにもサラッと言われた為に反応が遅れてしまった、、、

「はっ!?何を言って、、、俺が狙われているのに、俺が対処するって、、詳しく説明してください!」

「そうです!何故先輩なんですか!それは私の仕事です!」

フユカも納得できない様子で大きな声を出して言った。

「それは確かに俺も思う!何故、火聖が?理由を教えてください」

「私も、緋桜くんたちと同意見です。」

レオルとキュリアも説明を求めた。すると、、、

「だから、ざっくりって言ったろ!話しを最後まで聞け!」

そう言った後、本題に入った、、、

「先ず、何故お前が狙われているのに自分で対処するのか、、、例えば、学校に襲撃者が来たとして、火聖、、、お前は間違いなく自らが囮になって他の生徒が逃げる為の時間を稼ごうとする。そうなれば、力の差は歴然。確実にお前は死ぬ。ここで質問があるヤツはいるか?」

そう言って、俺たちの顔を見た。当然、さっきの話しは仮定だ、実際に学校に襲撃してくるわけではない。だが、可能性としては有り得なくない。寧ろ高いと言っても過言ではないだろう。そして、たとえ学校でなくても襲撃した場合に人がいれば同じことだ。そのことをこのリュウジという人はサラッと言った。それを俺は、思い知らされた。そして、俺の返答は無言と言う名の肯定。他の3人もそれには同意だった。

「それじゃあ、次だ。具体的に何をするのか。それを説明する。」

そう言って一旦言葉を切った。

それは、次に進んでいいのかという確認だった。俺たちはそれを態度で返した。

「じゃあ、説明をする。火聖、お前は俺と個人授業だ!その為学校に登校しなくていい。そっちの二人は銀髪ちゃんに精霊武具の“向こうにあるモノ”を教えてやって欲しい。期間は2週間だ。」

先ず、声を出したのはレオルだった。

「ちょっ、なんで俺たちもやるんですか!」

その質問の返答は、、、

「火聖が動けば間違いなくお前らも動く。そうなれば必然的にお前らも自分で対処できる程の実力がなければならない。銀髪ちゃんに限っては実力はあるが、火聖に気をとられて不意打ちでやられる、、、従って、お前らにも強くなってもらわなければ困る。死人は少ない方がいいからな。他には?」

レオルは確かにと、嫌々だが認めざる得なかった。フユカやキュリアも納得している。だが、俺には疑問がいくつかあった。
一つは大方の予想はついているので、俺はそれとは別の疑問を聞いた。

「何故、俺は学校に行かなくていいんですか?単位が取れないと困るんですが!それと、何故2週間何ですか!精霊武具はそんな簡単に会得できるわけがないし、ましてやその先にあるモノ?それが何かは知りませんが2週間という極端に短い時間では流石に無茶を通り越して無謀だと思います!説明してください!」

俺の疑問は、最後には決めつけになっていた。そして返答は、、、

「何故2週間か、それは俺の第六感だ!それと、学校に関してはもう直意味はなくなるからだ。次に、精霊武具とその先に関してだが何も難しい話しではない。現に俺とキトラは学生時代に1週間で精霊武具のその先まで行って使いこなし、極めたからだ。別にお前が勝手に無理だと思って逃げ出すのは構わんが、諦めていいのか?」

そう言った後、その男は鼻で嘲笑った。その表情はまるで、親父のようだった。うざい!ムカつく!この感情が湧き上がったらもうこれは進むしかない。逃げるなんて言う選択はない!

俺は、不敵な笑みを浮かべて宣言した。

「アイツが1週間なら、俺は4日、、いや、3日で身につけて、極めてやる!それに、学校を休んでも何もないなら好都合!覚悟しておいてください、リュウジのオッさん!」
   
   すると、、

「3日ねぇ〜、まぁ期待はしないでおこうとするか!そっちの3人はどうだ?やるのかやらないのか、どっちだ?」
   
俺を軽く馬鹿にして、フユカたちはどうするのかをリュウジのオッさんは聞いた。

「先輩がやるなら私はやります!」

フユカに続いて、

「火聖と俺は親友だ。火聖がやると言ってやらないなんて言う選択肢はない。」

「緋桜くんに先を越されてたまるもんですか!もちろん私もやらせてもらいます」

と、レオル、キャリアも発言の内容が少し気に入らなかったがそう宣言した。

「良し、じゃあ火聖行くぞ!銀髪ちゃんはここでコイツらに教えてやってくれ。」

その言葉にフユカは納得しない。

「え?先輩について行ってはダメなんですか?どうして私はお留守番なんですか?そうやって、私と先輩の仲を引き裂こうと言う考えは見え見えです!どうして私から先輩を奪うんですか?絶対に許さない!先輩は私だけのものです!」

絶賛、ヤから始まるモードが発動しています。目から光なんてものは消され、その代わりに全身に黒いオーラのようなものを纏わせている。実はさっきから気配は感じていた、、、が、絶賛気づかない振りをしていたら気づいた時にはもう時すでに遅し。
流石にレオルやキュリアは怯えるのを通り越して呆れていた。そして、リュウジのオッさんは、、、

「おい、さっき説明しただろうが!はぁー、火聖、交渉を頼む」

賽を投げた!?嘘、、、どうすればいいんだ!?とりあえず、話してみることにした。

「ふ、フユカ?別にこの人は俺たちの仲を引き裂こうとなんてしてない、、、だからレオルとキュリアにここで指導してやってくれないか?」

ダメ元での交渉、、、結果は、、、、、、

「嫌です!私は先輩と一緒にいたいんですよ!それが無理なら無理です!」

はい!予想通りでございます!

しかし、そんなお困りの時に役に立つのがこちら!そう、烈那!

(烈那、どうすりゃいいんだよ!ボタンに聞いてくれ!)

俺は烈那に最後の希望を託した。

(しょうがない少し待っておれ)

そう言って数分後、、、、

(分かったぞ!フユカを抱きしめてこういえ!愛してる!2週間の間だけ我慢してくれ、そうしたらデートをするから!そう言えば、イチコロだ!さぁ!早く言うだ!)

本当にこれで良いのか?そう思いながら俺は言われたとおりにフユカを抱きしめて言った。

「フユカ、、、愛してる。2週間だけ我慢してくれないか?我慢してくれたらデートをするから!な!これじゃダメか?」

俺はそう言ってフユカに聞いた、、、答えは、、、

「もぉ〜先輩ったら!しょうがないな〜そんなに私とデートに行きたかったんですか?それならそうと言ってくれれば良かったのに〜!!ちゃんと約束は守ってもらいますからね!」

顔を赤らめ、嬉しそうに言った。お許しが出た!これだけで凄い疲れた、、、

「良しやっと終わったか、、、じゃあ、火聖行くぞ」

こうして俺はリュウジという男に、レオルとキュリアはフユカに修行をつけてもらう事になった。そして、俺はリュウジという男について行き、気がつけば正門まで来ていた、、、当然だが俺は行き先を知らない。もうすぐで正門を出てしまう、、、そうなれば部屋から着替えを持って来れない。なので、俺はこの男に聞いた。

「何処に行くんですか?それと、部屋に着替えを取りに行っていいですか?」

俺の問いの返答は、、、

「行き先は教えん。着替えは要らん。黙ってろ、煩い。」

こっちを向きもしないでそう言った。俺はそれを聞いて溜息をつき、黙ってついていく。会話はゼロ、、、あるのは俺の溜息と両者の呼吸の音、そして足音だ。黙ってろと言われたが、今の今まで無言が続いて体感にしてみれば1、2時間だ。耐えらない!それだけならまだいいが、、行き先も分からず、学校を出てからはずっと山道を歩いている。ずっと下を向いて歩いていた為、顔を上げて見渡せば見知らぬ森の中、、、道なき道、、、つまり獣道をひたすら進み、周りはどんどん暗くなってくる。しかし、それはほんの少しだけだった、、、木や草、葉を掻き分けながら進むと急に景色が開いた!そこは野原になっていて、空は紅色に染まっていた。時刻はおよそ午後の6時代だろう。風も少し冷たくなっていた、、辺りを見回すと、テントがあった。二つ。なるほど、、、まぁ、別に嫌ではない。ここにくる途中に川もあったから水の心配はない。飯は、現地調達ってことか?そんな事を考えているとここまで無言でくる事になった根源がそれを破った。つまり話しかけてきたのだ、、、

「構えろ!今から始める!言っとくが、休ませてる暇はない。早いとこ精霊武具のその先まで展開できるようにならないと俺に殺されるぜ?」

そう言って、距離を少し取り殺気を放ってきた。俺はそれに応えるように構えて、目で訴えた。

「行くぞ!」

その一言で俺の修行という名の地獄の日々が始まった。



その頃、フユカたちは寮の近くにある広場のような場所に集まって、こちらも修行を始めていた。


「いいですか?先ず、レオル先輩は精霊と心を一つにしてください。そうすれば精霊武具を展開できるようになります。キュリア先輩は精霊武具を展開したら、精霊武具に魔力を込めて自分の心にあう武器を想像してください。」


「心を一つに、、、心を一つに!良し!オーガ行くぞ!」

「グワァー!」

「リリィー行くよ!来てシャワーテンペスト!、、、あとは、魔力を込めて。心にあう武器を、、、、武器を、、、」


レオルは熊、キュリアはリスの契約精霊と力、心を一つにし修行を始めた。彼女たちの修行1日目は魔力を使い切る一歩手前でお開きとなった。

「かぁー、難しいなぁ、、、もうちょっと魔力を調整するのと、心を一つにしないとな、、、オーガ、待ってろよ!明日は必ず精霊武具を展開してやるぜ!」

「あーもう限界、、、ただでさえ精霊武具を展開するのに魔力を削られるのに、更に魔力を持っていかれるなんて、、、けどリリィー大体わかったから明日はその先にあるものを掴んでみせる!」

「レオル先輩もキュリア先輩もコツは掴んでいるのであとはちょっとした微調整をすれば大丈夫です!遅くとも1週間以内には展開できるようになっていますよ。余った時間はひたすら使いこなせるように実戦で身につけましょう!今日はオーガさんもりリィーさんも先輩達も疲れているので休んでください!明日からは朝の6:30から開始しますのでしっかり休んでください!因みに明後日からの学校も休みます!ではお疲れ様でした。」


そう言って、フラフラと倒れそうになりながらも自分たちの部屋へと向かった。

その時、火聖もまたボロボロの姿になり近くの川で頭や顔を洗い頬を両手で叩いた。周辺には『パチン!』という音が響き渡りリュウジがいるところまで来て言った。『もう一本』と、、、

リュウジという男が何の為に火聖達に近づいたのか、、、感で言った2週間と言う期間、、、その後に一体何が待っているのか、、、彼らはまだ知らない。『カウントダウン』が意味する事を、、、

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