Re-start 異世界生活って結構自分に合っている件

ロミにゃん

77 消えた身体



ー次の日ー

「昨日は、本当にすみませんでした・・・」

今朝からずっと、ロミーさんが謝り続けている。

「い、いや、本当にもう大丈夫だし、怒ってないから、ね?」
「でもでもでも、」

ゴトンッ

ちょっと強めにコーヒーカップを机に置いて、読書をしているジャックが斜め前に座っている・・・
ロミーさんが俺にばかりはなしかけているから、ヤキモチ妬いているようだ・・・

「おはよー、あら、ジャックが食堂に来るなんて久しぶりじゃない!」
「あぁ、そうだな、おはよう」
「ロミーちゃんもおはよー」
「桜子さんおはよっ」
「ジャックすっかり雰囲気変わったわねー。落ち着きのある大人の余裕から、ちょっとワイルド系な大人の男に変身したわね」
「いや、これが本来の俺だよ。今まではロミーの好みにあわせてたってのもあるからな」
「ロミちゃん、どっちが好みなのー?」
「うーん、どっちのジャックもカッコイィごにょごにょ・・・」
「なぁに?途中から聞こえなーい」
「ありがとうロミー"私"は君が喜んでくれるなら何だってしたあげるよ(ニコニコ)」
「はわわ、キャラ切り替えるのやめてください!(赤面)」

三日月とバニラにもロミーさんの姿は見えているようで、アミュレットを付けている俺達だけロミーさんの姿が見えらしい。
ジャックは自分だけ見えない事に、ずっと腹を立てている。

そんな事より昨日の夢・・・と言うか、あれは俺の記憶・・・
ずっと忘れていたけど、俺はロミーさんと何度か二人で家で会っていたんだ・・・
プライベートな時間を共有する仲だったなんてな。
思い出したら、ちょっとロミーさんの顔をまともに見れなくなってしまっていた。
この事は、ジャックには言わない方が良いかもな・・・絶対、怒るだろうに・・・

でもロミーさんは、この事を忘れているようだから、ロミーさんが思い出すまでは黙っていた方がいいな。
変に勘違いさせても悪いし・・・
俺がロミーさんに感じている気持ちって、もしかして・・・

「・・・まさかな」
「何がですか?」
「いや、好きかもしれないって話だよ・・・」
「え、上城さん好きな人いるんですか!!誰の事をですかっ!!」
「輝・・・」
「うそでしょ、ロミちゃん」
「あ・・・」

・・・あれ?俺今なんて????

「ちっ、違う!そうじゃなくて!」
「詳しく聞かせてもらおうか、輝」
「やだー!上城君ったらだいたーん!」
「え!?なになに??何が大胆なの!?よく聞いてなかった!教えて桜子さん!」

俺は立ち上がりその場を逃げ出した。

俺はなんてバカなんだ・・・
ジャックとロミーさんに幸せになってもらいたいと思う傍で、ジャックの事を思い出さないでほしいと、心の何処かで思っていた自分に気が付いてしまったんだ・・・
でも、ロミーさんとジャックの時間は俺がロミーさんと知り合ってからの時間よりも長くて、二人の邪魔をしすのは気が引けて・・・
だから、自分の気持ちに気付かないフリをすると決めたのに・・・
記憶が戻った途端に、フタをしたはずの想いが溢れてくるとは思わなかった・・・

何やってんだ、俺は・・・

「上城さーん、どこ行くんですかー私は上城さんに引っ張られるから着いていくしかないんですよー」
「あ・・・そうだったね、ごめん」

逃げてもロミーさんのために、ジャックは必ずやって来る。
避けて通れるわけが無い。
自室に戻り、気を紛らわす為、窓を開け潮風を感じていると誰かがドアをノックした。

コンコンコンコンコンコン

「なになに?めっちゃセッカチなノック」

ロミーさんがフワフワと扉の方へ行き、頭だけ扉の向こうへ出して、外にいる人と話をしているようだ。
おそらくジャックだろうけど、まぁ、部屋に入ってくるんだろうなぁ・・・
避けては通れないしな。

 ガチャ・・・

「輝・・・」
「え?バニラ?人の姿してどうしたの?」
「・・・ロミーが、居ないんだ!」
「え、私ここにいるよ?」

???何を言っているんだ?

「やられた・・・」
「バニラ?汗凄いよ?」
「眠らされて、その間に何者かに連れ去られた・・・」

???

「バニラ!凄い熱だよ!?わ、わ!」

ドサっとその場にバニラが倒れ、俺は直ぐに駆け寄った。
ロミーさんの言う通り、物凄い汗をかいていて体が熱い!
直ぐにベッドに寝かせてると、すぐ近くにいた執事のクラウドさんがバニラを診てくれて、一先ずバニラは眠ったようだ。

「上城君!バニラが倒れたって聞いたけど!?」
「あぁ、三日月、突然倒れたんだ」

ロミーさんが三日月を呼びに行ってくれたようだ。
ルシファが心配そうにバニラの眠るベッドへ乗り隣に丸くなった。

「バニ兄ぃ、辛そうだ・・・クゥーン。早くロミーの元に連れて行ってあげないと」
「ロミちゃんなら三階にいるでしょ?ロミちゃんの側に連れて行けばいいの?」
「ロミーは"居ないよ"」
「私ココに居ますけどー?」
「ロミちゃんならいるじゃない・・・」


ドゴォォォォォォォオン!!!!!

突然、物凄い衝撃音が聞こえ、屋敷全体が大きく揺れた!!!

「なっ!上からか!?三日月、上に行こう!!」

三階はロミーさんが眠っている!一体何が!?無事でいてくれ!!!
屋敷に居た他のみんなとも合流して、三階へ走った!

ロミーさんが眠る部屋に入ると、テラス含め部屋の壁が大きくえぐられて無くなっていた!!
パラパラの天井や壁が崩れ煙が立ち込めている。

「ジャック!?一体何があったんですか!?」
「くそくそくそっ!やられたっ!!!」

近くにあったテーブルを激しく何度も蹴り付け、暴れているジャックを横目にベッドの方をみるとそこにはロミーさんの姿は無かった。

「ロミーさんは!?」
「連れていかれたっ!!!くそっ!くそっ!」

ガン!ガン!ガン!

「ジャック、落ち着いて下さい!説明してくれないか!」
「あいつだ!谷口が、ロミーを連れ去った!!!」

は?谷口が?何故?

「え!?谷口君が!?何で!?」
「初めからアイツは信用出来ないと思ってたんだ!アイツ!イレギュラーと繋がってたんだ!!!」

???谷口がイレギュラーと?蒼野さんと?

「もう一人、見たことのない男がいた!そいつが谷口に指示を出していた!俺が側に居ながらまたしてもロミーを離してしまった!!!」
「ジャック!私ココに居るよぉ!落ち着いて!」
「声しか聞こえないのに、落ち着けるか!」
「・・・」
「ジャック!ロミちゃんにまであたらないで!」
「・・・くそっ!」




ー数時間後ー

なんとかジャックを落ち着かせるのにだいぶ時間がかかったけど、どちらかと言うと暴れすぎて疲れた?感じに近い、今は俺の部屋で、休んでいる。

シルバーズさんが不在時とは言え彼の屋敷が襲撃されたとあって、今はレオリオンさん率いる第一騎士団の人達が屋敷の中と外を警護している。

「私が留守の間に、その様な事が起きていたとわな・・・クラウドに今、ロミーの行方を探させている、手掛かりがわかり次第、連絡させる。」

ロミーさんを連れ去ったと言う、谷口と謎の男はシルバーズ家を襲撃した指名手配犯として既にハンター協会では情報が挙げられているそうだ。

「しばらくは私がお前達と同行する」
「え、レオさんが俺達と?」
「団長には許可を得ている。しばらく休暇を取った」
「・・・俺は反対だ」

疲れて眠っていたジャックが目を覚まし、レオさんが俺達と同行する事に反対している。

「イレギュラーとやらにこれ以上、我々の世界を好きにさせられないからな。お前達が何と言おうと、この国の代表として私が同行させてもらうぞ」

 レオの意思は固く、ジャックはそれ以上何言わなかった。

「あんたの強さなら、申し分無いが、俺は今、誰かをかまってやれるほど余裕がない。」
「私の世話なら気にするな。ロミーの捜索には全力で協力する。好きに私を使うといい。エミリオン、私の部下を何人かお前の護衛につける」
「いえ、兄さん、その様な事までして頂かなくても・・・」
「フィオナにもその倍の護衛をつける故に心配するな」

レオさんって本当は弟の事を心配しているんだろうけど、不器用なんだろうなぁ。

「か、感謝いたします」
「司祭様の親衛隊としての機能しない今、俺達騎士団の仕事だ。と、言うか私個人で動いているがな」

話をしていると、突然アミュレットが輝き出し、司祭様からの通信が入った。

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