Re-start 異世界生活って結構自分に合っている件

ロミにゃん

75 きっと勘違い




今度こそ、ジャックとロミーさんを引き合わせてあげないと!そう思い、提案をした。

「ロミーさん、ジャックのところへ行かない?」
「行きたいけど、自分の意志では動けないんです、安定すらしないんですよ、ほら、また、くるくるわらりだしたぁぁぁあ」
「・・・前回、手を掴めたよね?試してみない?」

ロミーさんの手をつかもうと自分の左手を伸ばした時、ロミーさんのアミュレットが光っているのに気がついた。
そう言えば、俺のアミュレットも光ってたな・・・あ、自分のは鏡の前に置き忘れたんだ。

「スカッと通り抜けちゃいましたね」
「ちょっと待ってて、アミュレット取ってくる!あ、また居なくならないでね」

アミュレットを取りに行って急いで戻ると、ロミーさんが、宙に浮いていた。

「わわわ、止まらない」

ふわふわしながら、ゆっくりとその場を回転しているし!

急いで自分の左手の人差し指にアミュレットをはめて、ロミーさんに手を伸ばした。

「あ!触れた!」

喜びで、ロミーさんが俺の左腕をペタペタ触っていて、ちょっとくすぐったい。
このまま、手を繋いでジャックの部屋まで行けないかだろうか。
考えるより、行動だ!ロミーさんの手をつかみ、直ぐに部屋を出た。

不思議な光景だな・・・
ロミーさんの身体はずっと浮いたままなんて・・・。

「輝、風呂上がりか?頭ベタベタだぞ」

アカギとネコッチが帰ってきたようで部屋の前でばったりとあった。
二人にはロミーさんが見えていないようだった。

「ごめん!俺、ちょっと急いでるんだ!また後で!」

二人と別れ、繋いだ手の先にちゃんとロミーさんがいる事を何度か確認しながら急いで三階へ上がった。

「上城さんって、私と話する時だけ、"僕"っていいません?」
「え?」

あ、そう言えばそうかもしれないなら・・・

「癖みたいなものかな?」
「谷口氏や桜子さんと話をする時は、もっとくだけてると思うんですよねぇ。私の時は、ずっと丁寧に接してくれているって感じがします。まぁ嬉しいんですけどねぇっ(ニコニコ)」

・・・なんて恥ずかしいことを言う子なんだよ・・・
照れて顔が見れないじゃないか!

「いや、でも半分無自覚だから、もし嫌ならもっとくだけた感じで行こうか?」
「うーん・・・でもやっぱり、他の人とは違うってのが、特別感あっていいんで、そのままがいいですね」

時々、ロミーさんといると勘違いしてしまいそうになる。

ジャックの部屋の前に到着し、ノックした。

「ジャック!俺です!輝です!入りますよ!」

ジャックの部屋はいつでもみんながロミーさんに会いに行けるようにと。鍵を開けた状態にしてあるため、今は出入り自由だ。

「ジャックー?私ですよー?って見えるかな?あ、私が寝てる」

ベッドに近づくとロミーさんの身体は眠っている。
やはり、不思議過ぎる・・・最初見たときは心臓が口から飛び出るかと思ったしな・・・

「ジャックいないのかなぁ?あ!シャワーの音がする!ジャック!」
「え!?待って!ダメだよ!何でそっちに!?」

ロミーさんは俺の手を離しシャワールームの扉に吸い込まれるように飛び込んでいった。
自分の意思で動いてない???

「・・・ぎゃ!!!わ!わ!わ!見てない!見てないからねっ!」
「なっ!?その声はロミーなのか!?目を覚ましたのか!?」

ドタバタッ!ガシャガシャーン!

慌ててシャワールームから出てこようとして、何かにぶつかり色々と床に落ちた音がして、ジャックが裸のまま出てきた。

「ロ、ロミー!?どこだっ!?」
「は、早く服着てよ!ジャック!!!」

ロミーさんは、目を両手で隠して、叫んでいる。
俺の時と違うのは、どこも隠さずでてきたところか・・・
わー、たぶんコレ、ロミーさんもろに見たんだろうなぁ・・・はは。

「???ベッドで眠っているじゃないか!どうなっているんだ!?」
「ジャック?私ココだよ?」

ジャックにはベッドの上で宙に浮いているロミーさんの姿は見えていないようだ・・・

「こ、声は聞こえるのに何故、いや、幻聴か!?」
「うそ、ジャック、私が見えないの!?マジかー。"上城さんにしか見えない"のかなぁ???」

ロミーさんの言葉にピクリと反応してゆっくりと振り返り俺の方を睨みつけてきた。

「・・・どういう事だ。輝」

うわー、物凄くイラッとした表情だ・・・

「いや、さっき、突然俺の部屋に現れたんですよ!身体はスケスケで、その辺をふわふわと浮いてます。でも、すぐにここに連れてきました。」
「本当に、いるのか???」
「ここだよー!私はここだよー!ぎゃ!まだ服着てないの!?は、早くパンツくらいはいてくださいよぉ!!!!!」

ロミーさんの顔が真っ赤に染まっていた。





「で、なんで、上半身裸なんですか?」
「声は聞こえるが、本当に姿は見えないな・・・輝、君も頭ふきな、ホラ」

新しいタオルを貸してくれて、自分の髪をふいた。

「何で、俺じゃなく、輝なんだ・・・」

小声ではあったけど、はっきりと聞こえた・・・
ロミーさんの事を想う、ジャックの元へロミーさんが現れていたら、ジャックの心もだいぶ救われただろうに・・・
ここ1ヶ月のジャックは、ずっと部屋にこもりっぱなしで、ロミーさんの看病を続けていて、食事もちゃんと食べているのかどうかわからないほどだった。

「ジャック、痩せました?ちゃんと食べてる?ってか、シャツ来てくださいってば」
「・・・君に、触れたい・・・」
「わ、わ、私にですか?」

慌てる姿のロミーさんが見えるのは俺だけ・・・

「ロミー、今まで、ずっと輝の元にいたのか?」
「ずっとじゃないですよー、さっき起きたばっかりなんで。あ!もしかして、ヤキモチ妬いてます?」
「ロミーさん、煽るのやめなよ」
「・・・」

チラッと俺を見たジャックの目、本当に怒ってるのがわかる。
俺は、二人にしてあげることにした。

「ロミーさん、二人でゆっくり話をしなよ。僕は戻るよ・・・」
「え、行っちゃうんですか?」
「・・・輝、気を遣わせて悪いな」
「いえ、ロミーさんが、本当に恥ずかしがってるんで、シャツ、来てあげてください。ロミーさん、またね」

手を振って、俺は部屋を出た・・・

パタン。

・・・・・・・・・はぁ・・・。

扉にもたれかかって、深くため息をついた。
・・・ジャック、ロミーさんの姿見えてないけど、話しができるだけでも、だいぶ嬉しそうだったな。
俺の前に現れたのは、納得いってなかったみたいだけどな・・・
まぁこれで、だいぶ、元気になってくれるといいけどな。
本当はもっとロミーさんと話をしたかったけど、ジャックが妬いてしまうしな。
二人にするのも何か、ちょっと嫌だけどな・・・

・・・・・・

今、二人になるのが嫌だと思ったのか!?
いや、俺は・・・。
そんな訳がない。だってロミーさんは俺の部下で、守るべき存在で・・・
は!?俺、今、顔真っ赤か!?




階段を下りていると、ジャックが部屋から勢いよく飛び出してきた。

「輝!!ロミーさんの声がしなくなった!どこにいるかわかるかっ!?」
「え?」

俺が振り返ると、目の前に残念そうに笑うロミーさんが居た。

「わっ、おわ!」

驚いて、俺は階段から落ちた。

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