Re-start 異世界生活って結構自分に合っている件
53 チャラ男ウザいし
リオン私になにか言いたそうに見ている。
上城さんが私の前に立っているため、リオンは仕方なくソファに腰掛け、溜息をついた。
「えーっと、」
「ロミーさんは、僕の後ろにいて、シルバーズさんが何するかわからないからね」
あー、キスされたって話したからかな?
私を守ってくれているんだ!
上城さん、久々になんかちょっと頼もしい!
「ふふ、もう信用されるわけないね」
「悪いが、私も君を信用できないな」
「ロミー、私に幻滅したかい」
「え?幻滅もなにも初めからリオンはクズじゃん」
「ま、真顔で答えたよこの子」
「だって、すぐに体触るし、ウザいし、キスするし、ウザいし。私チャラ男嫌いだし」
「ウザ・・・チャラ男と言うのはよくわからないが、君に嫌われているとは、ちょっとショックを隠せないよ」
は?1ミリも好きなんて思ったことないけど、なんで、好かれていると思ってんだコイツ!どんだけ、自惚れてんだ!
「べーーっだ」
リオンは顔に手をあて、溜息をついている。
ジャックが私と上城さんの肩をポンッとタッチして、前に出て行った。
「リオン、我々はシルバーシティに戻るまではきちんと、仕事をするよ。その後の事はおいおいだね」
「はぁ、、こうなってしまっては、君達との信頼関係はもう築けそうにないな。」
自分のとった行動が失敗だったと、大きく肩をなでおろしため息をついている。
本当にショックそうにみえる。
「リオン、そんなのこれから築いていけばいいじゃん、たった一度の失敗がなんだ!男ならそう簡単に諦めんな!ばーか!」
私の言葉に男性陣は面食らっている。
「あははは、女性に"ばか"と言われるのも初めてだよ、ますます君の事が好きになったよ。ロミー」
「うっげぇぇええ。リオンに好かれても全然嬉しくないんですけど!!!」
リオンはまた真剣な表情した。
「先程は、すまなかった。」
立ち上がり深々と頭を下げて、リオンが謝罪した。
「・・・どうせ本気じゃなかったんでしょう???私達を脅すのだって、迷っててたくせに」
「・・・ロミー、君には参ったよ。お見通しというわけか」
リオンは髪をかきむしり、溜息まじりに言った。
「あんまり国絡みの派閥だの、規模がデカくなると、流石の私でも、ついていけなくなるから、その時の判断はジャックと上城さんに任せてもいいですか。リオン、その時は、私じゃなくてこの二人を通してね。ふぁぁぁあ、そろそろ寝てもいいかな。」
「ロミーは、マイペースだねぇ(ニコニコ)」
「ロミーさん、いいの???こんな中途半端に終わらせて」
「それより私もう眠いし。貧血だし。疲れたし、明日も早いし。あ、私、シルバーシティ帰って寝るね。ココは安心して眠れそうにないし。かと言って、あっちもあんまり安心できないけどね。ははは」
リオンに発言されないように、早口で話をした後、私はすぐに部屋を出た。
「輝、ロミーを頼むよ。私はリオンと話をするから」
「わかりましたっ」
「リオン、腹を割って話をしないかい。お酒でも飲みながら」
上城さんがスタスタ歩く私を走って追いかけてきてくれた。
「ロミーさん、待って。僕も一緒に行くから。」
「あー!もう!面倒くさい!リオンがちゃんとお願いしてくれれば、べつに私は協力してあげるのに、あ、でもやっぱり戦争は嫌だけど」
「うん、わかるよ。ロミーさんは本当はとっても優しい人だからね」
階段を降りて玄関ホールに向かうと兵士達が扉の前を塞いでいて、そこにはフィンもいた。
「ロミー様、ここに留まっていただけませんか」
「フィンのお願いなら聞いてあげたいけど、うーん、やっぱりヤダ」
「そうですか・・・今夜はどちらに御宿泊予定ですか」
「ナターシャに会いに行く約束したし、ナターシャの宿に泊まろうかな」
「かしこまりました。明朝お迎えに上がります」
「あぁ、迎えは必要ないよ。自分でここに戻ってくるから。ジャックにも宿にいるって伝えといて」
「かしこまりました。」
深々と頭をさげるフィンにちょっぴり申し訳ないとも感じつつも私はポータルを使って、シルバーシティへ戻った。
ーシルバーシティー
宿屋への道のりを星を眺めながら歩く。
22時半かぁ寝るにはちょうどいい時間だなぁ
キャタルスシティの空は都会の空って感じで、星空はほとんど見えなかったけど、やっぱり、シルバーシティの空は綺麗だなぁ。
それにこっちは暖かい。
「ロミーさん、ちょっとお願いがあるんだけど・・・」
「はい、なんでしょう?」
「三日月達にはこっちに帰ってきてる事、内緒にしてもいいかな?迷惑かけっぱなしで申し訳ないけど、ちょっとまだ顔合わせ辛くて」
・・・確かに。上城さんも気疲れしちゃうだろうしね。
「私も賛成です。明日も早いですし、その方が良いと思います」
「ありがとう」
宿屋に到着して中に入ると、ホールには誰もいなかった。
奥の洗い場の方から話し声が聞こえ、覗くと、ナターシャとマリアさんが洗濯をしているのが見えて声をかけた。
「ヤッホー、ナターシャ!遊びに来たよー」
「ロミー!!!輝!!!」
「すみません、マリアさん、僕等ここに宿泊したいのですが」
「おやおや、訳ありかい?こないだの部屋でよければちょうど空いているよ。ナターシャ、今日はもういいよ、ロミー達と話しておいで」
「マリア!ありがとう!!」
3人で二階の部屋に行き、月の見える場所に腰掛けた。
「ロミー、ロミー、五日ぶりですね!」
嬉しそうに話すナターシャの笑顔が眩しいです。
「私、キャタルスシティ行ったことあるんですよ!この街よりも大きかったでしょ!?煙がモクモクしてて、皆んな橋からジャンプして空を飛んでて、すごくなかったですか!?」
キラキラした眼で語るナターシャはグイグイ近づいてくる。
「うんうん、凄かったよー!私も今度、橋の上から飛び降りてみたいなぁって思ってたよー」
「えぇ!?ロミーさん、それは・・・」
30分ほど経った頃マリアが部屋にやってきた
コンコン、ガチャ、
「ナターシャ、ロミー達は疲れてるだろうから、そろそろ行くよ」
「えぇ!!うーん、でもロミーの邪魔したくないし、今日は大人しく帰ります。また遊びにきてくださいね!」
「もちろんだよー!仕事が終わったら帰ってくるから、また一緒にご飯食べようね。マリアさん、明日は早く出るので食事はいりません」
「そうかいわかったよ。ゆっくり休んで行ってちょうだい」
ベッドに寝転がり、今日のことを考えた。
リオンが脅してくるなんて、思わなかったなぁ
でも無理やりじゃなくったって、私達の事を少しくらい
「頼ってくれても良かったのに」
「くすくす、心の声が漏れてるよ」
「あ、すみません、ボーーーッとしてるとつい、独り言が・・・」
「大丈夫だよ。あんな事されたのに、怒らない君は凄いよ」
「そうですか???」
「僕は君が羨ましいよ。いろんな意味で」
「いろんな意味ですか・・・それ、褒めてます???」
「くすくす、そろそろ僕は寝るよ。アラームかけておこうかな。」
「おやすみでーす」
ーキャタルスシティ ジャックサイドー
なぜ、こうなった・・・
ガチャガチャ、ガシャン!
床にワインが零れ落ちた。
「だいたい、ヒクッ、僕はこんなにもロミーを愛しているのに、彼女が僕の愛を受け入れないのが悪いんらぁ!!!」
「あーぁ、リオン・・・飲みすぎだよ」
口調まで変わってる!
どれだけ酒癖悪いんだ!!!
でもリオンがまさかロミーの事を想っているとは・・・
ただの遊びだと思っていたからな
初めて女性にフラれたショックでパニックを起こしていたとは・・・
それでロミーを抑えつけようだなんてね
考えが子供過ぎる。
「ロミーをどうしても手に入れておきたかったからって、脅すのはいかがなものかと・・・そんな事しても女性の心は余計に離れていくと思うんだが・・・」
「あーりーえーなーーーい!僕のこの美しさが理解できらいとわっ!!」
「あーあーあー!こぼすから!もうお酒はやめておきなさい!!」
何故こうなった・・・
腹を割って話そう。とは言ったが、ここまでぶっちゃけられても、おじさんには手に負えない・・・
失敗した。
「ジャック殿はどうなのら!ロミーを愛しているんだろう!?」
「・・・!!?リオン君、さすがに飲み過ぎのようだね、ほらベッドに運ぶからもう寝る時間だよ」
「おい、顔が真っ赤だぞ!!おろへぇ!質問にまら答えてらいぞぉ!ヒクッ」
ちょっと粗めにリオンをベッドに下ろして布団をかぶせ、私はリオン君が散らかしたお酒を片付けた。
「お前達に邪魔されても私はロミーを必ず手に入れるからぁ!覚悟しろぉぉお!・・・」
・・・ふぅ、やっと寝たみたいだね。
まだ日も浅いというのに"愛してる"だなんて、おじさんにはちょっとわからないな。
ロミーはこの世界で私と会ったのが初めてだと思ってるんだろうな・・・
"ロミーを必ず手に入れる"ねぇ・・・
まぁ少なくとも、リオン、君には絶対無理だよ。
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