Re-start 異世界生活って結構自分に合っている件

ロミにゃん

32 シルバーズ伯爵はただのチャラ男です



キース夫妻とナターシャが各テーブルを回って丁寧に挨拶をしている。

「ねぇねぇロミちゃんが外したこと伏せられたわね」
「パニックを防ぐためかな?」
「たしかに、それはありそうだね」

キース夫妻との挨拶を終えたエミリオン・シルバーズと司祭様が私達のとこにやってきた

「あ、し、司祭、と、エミリオン・シルバーズ様どうも・・・昼間、行けなくてすみませんでした。」
「・・・いえ、私もお呼びしておいて、失礼いたしました」

目撃してしまった事を思い出すと気まずい・・・

「ロミー、神殿に来ていたのだろう?(ニコニコ)」
「あ、いえ、えぇーーっと、広すぎて迷子になっちゃってぇぇぇ、そ、それで疲れちゃってぇ、帰りました」
「そうか、君とは一度ゆっくり話がしたい(ニコニコ)」

なになになになに!?エミリオン・シルバーズ、こ、こぇぇええ
笑ってるけど、釘指す感じ!?
威圧感半端なーーい!!!
二人がいるところを見ちゃったのバレてる!?

「ロミー様、ジャック様、輝様、桜子様、今少しお時間いただけないでしょうか」
「昼間、ロミーとは話せなかったからね、その話もしておきたいんだ」
「離れの鍵をお持ちしたっす。ご案内するっす」



マルスにとりあえずついていった。
道中、司祭様とエミリオン・シルバーズのお付きの者達が人払いをしてくれている。
前もって部屋を用意するように言われてたみたいでマルスに宿屋の離れのコテージに案内してもらった。
木の温もりを感じられる作りだ。

コテージ入ると直ぐにエミリオン・シルバーズが声を出した

「わざわざすまない。君達は特別な存在だ。落ち着いた場所で話をしたくてね。本当は昼間にロミー、君と話がしたかったんだが、ちょっと手違いがあってね、(ニコニコ)」

完全に私を見る顔が怖い・・・よく分からないけど・・・

「先ほどのナターシャの足枷についてです。ロミー様が外された事は知っております。ですが、この世界で、奴隷の足枷を外す方法は、この枷は魔法を使用して作られた道具故、枷のついた部位を切断するしか方法は無いと考えられております。今回のようにキズ一つなく足枷を外す方法は無いと思われているので・・・」

「それで、今朝キース夫妻とナターシャと話し合いの結果事実を伏せることにしたのだよ。知っている者は少なくてよい。」

やっぱりそんな感じだったんだね。
その方が私としても助かる。
私が外した事がわかれば、きっとみんな黙っていない。
とくに利用したくてたまらない連中が。

「それと、今回無事に帰還できた礼として、報酬は昨日受け取っていると思うが、それとは別にロミー、君に受け取ってもらいたい物があるんだ。」
「わ、私にですか?」
「はい。ロミー様」
「な、なんでしょうか」
「これだ」

手渡されたのは豪華な装飾が施された何かの鍵だった。

「鍵?・・・こ、これはなんの鍵でしょうか???」
「私の別邸の鍵だ」

その場にいたみんなが驚いた。

「え???エミリオン・シルバーズ様の別邸の鍵ですか???」
「時々私も遊びに行かせてもらうよ。好きに使うといい」
「!?」
「ど、どういう事でしょうか?ロミーさんに鍵を渡すというのは、ロミーさんにあ、愛人になれという事でしょうか??」

!?
上城さん!何言ってるんですかぁぁぁあ!!
私は動揺して、何を言ったらいいのかわからない!

「シルバーズさん、すみませんが、お断りさせていただきます」

ジャックさんがかわりに断ってくれた!!!

「そうよ!この世界では、貴族の愛人になる事が凄いことかもしれないけど、絶対ダメ!」
「・・・あははは。すまない、確かにそう取られても仕方ない。よくある話だが」

よくある話なの!?

「少し前までわたくしが、使わせていただいておりましたが、今は神殿におりますので、使われていないのです」

「だから、命の恩人である君にこの鍵を受け取ってもらいたいのだ。皆とここを使うといい」
「私達も使わせていただけるってことは、ロミーちゃんは愛人にならなくていいのね?」
「うーん、ロミー、君さえよければいつでも私の元へ来るといい。私は君をもっと知りたい」
「な!?」

上城さんが私の前に立ち塞がり、ジャックさんが私の肩をぐいっと引き寄せ守ってくれた。
それをみて、エミリオン・シルバーズは笑っている。
何を考えているのかイマイチ読めない奴だ!

「ふふふ、別邸の場所は後で私の部下に案内させる、あと使用人は何人欲しい?足りなければ手配させよう」

「使用人ですか・・・憧れるけど、どうしよう」
「使用人がいるってことは、相当大きな家って事ですか??」

「そうだねぇ20部屋くらいはあったろうか・・・各部屋にシャワールームもあるが、共同の内風呂と外風呂と広い庭と、」
「20?え!?」
「ホテルレベル!?」
「そ、そこにロミーが!?」
「君達もそこに住むんだよ。代表はロミーだが、君達もちゃんと住めるように部屋はある」

みんなもとても驚いて目が点になっている。

「フィオナからも聞いているから、ロミーには特別広い月光浴ができるテラスのあるとても素敵な部屋を用意した。」

本当にそんな豪邸に住まわせてもらっていいのだろうか!?
人助けたらご褒美に家貰えるって、どこの世界の話なの!?

「そろそろ、戻りましょう」


レディーファーストで司祭様から外に出て付き人が司祭とパーティー会場に戻っていった。
私と桜子さんが出た後にジャックと上城さんがでてきた。

「そうだ、ロミー、もう一つ渡したい物があった、いいなか?」

そういわれ私はコテージの中に戻ると、エミリオン・シルバーズが、バタン!とドアをしめ、腕を掴まれ壁に押し付けられた。

ドンッ
!?壁ドン!これはまさしく壁ドン!私の顔のすぐ横にエミリオン・シルバーズの腕!!顔も近ーい!
左肘を壁につき、頭をなでられた。

「ちょ、エミリオン・シルバーズ!!やめてください!」
「私を呼び捨てにするのは君が初めてだよ」
「近いです!近いです!」
「ロミー、あの時、見ていたのだろう?」

やっぱりバレてた!
私はまた思い出して赤面した!!恥ずかしくて顔を逸らすと、顎くいされ、引き寄せられた。

「ん!は、離してください!」
「私が近づいて嫌がる女性はフィオナと君くらいだよ」
「司祭様がいるのに他の女に手を出していいんですか!!」
「ふふふ、貴族の嗜みだよ」

女遊びが貴族の嗜みなのか!!!
くそ!自分のこと絶対、"美しい"とか思ってるんだよ!こいつ!!!

「私とフィオナがしていた事を見たか???」

二人がしていた事・・・はぁぁぁぁぁあん!!!また思い出して顔があっつい!

「そうだ、ロミー、私のことは、親しみをこめて"リオン"と呼びなさい」
「いえ、エミリオン・シルバーズでいいです」
「呼ばないと帰さないよ。ふふ、気の強い女性も嫌いじゃない。このまま唇を奪うのも悪くないのだが・・・」

そういうと、顔が近づいてきて私は慌てて名を呼んだ。

「リオン!リオン!リオーン!!」
「くすっ。いい子だ♪」

顎くいされたまま、私の唇はエミリオン・シルバーズに奪われた。

「!?ばっ!なにすんだ!このクソ野郎!!!」

精一杯の力を使って私は顔を引き離した。
リオンはとても驚いている。

「口付けをして、そんな暴言を吐く女性は初めてだよ。ますます君が気に入ったよ。ふふふ」

私はリオンを突き飛ばしコテージをでた。

ムカつくムカつく!ムカつくムカつく!

「むきぃぃぃぃぃいいいいい!!!」

顔を真っ赤にして怒り狂う私にみんなが驚いている。
ムカつくムカつく!ムカつくムカつく!

「だ、大丈夫??どうしたの???」

リオンが微笑みながらコテージからでてきた。

「ロミー、ご馳走さま♪」
「ムググググ」

余計にムカつく!


「ご、ごちそうさま!?」
「また続きをしよう。ロミー」
「ムギィィイ!クソ断るっ!!」

顔を真っ赤に染め怒り狂う私を見てジャックは何かを察して私の肩を抱き寄せ、リオンを目で牽制した。

「おやおや、ロミーには立派なナイトがいるようだね、悪ふざけが過ぎたようだ。私もパーティーにもどるとしよう、それじゃ♪」

リオンが立ち去った後、私は、何故だか涙が溢れてきてしまった。
顔を伏せていると、ジャックさんが気づいてアイマスクの上から涙を拭き取り抱きしめてくれた。

「もう大丈夫だよ。彼はいったよ」

震える私を優しく頭をなでて慰めてくれる
ジャックさんの手は落ち着く。
この感覚、不思議と初めてじゃ無い気がする。

「な、中で何があったの?」
「上城くん、そーゆー質問は野暮よ」
「そうだな、野暮だね」
「え、あ、ロミーさん、ごめん・・・」
「少し、ロミーと休憩してから戻るよ、二人は先に戻っててくれ」
「そうね、ロミーちゃんはジャックに任せておけば安心ね、よろしく。上城君、戻るわよ」
「え、あ、うん、よろしくお願いします。ロミーさん先にもどるね」

ジャックは優しく私の頭を撫で続けてくれた。

「少し座ろうか」

抱きしめられたままコテージの前の階段に二人で座った。

「す、すみません、もう大丈夫です」

離れようとした瞬間、私を抱きしめるジャックの手に力が入り、離して貰えず、私は顔を上げジャック見ると表情が見えないように遠くを見ている。耳が赤い???

少しだけ、私もそれに身を委ねた・・・





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