Re-start 異世界生活って結構自分に合っている件

ロミにゃん

29 ちょっとした休日



「ふわぁぁぁぁあ」
「おはよう、ロミー、今朝は早いねぇ」
「おはよーロミちゃーん」
「おはよーございまぁぁぁぁぁあふぅーー」
「お、おはよう」

コンコン
誰かが部屋を訪ねてきている。

「どうぞー」

ガチャっとドアが開くとそこにはマリアさんが立っていた。

「ロミー!ありがとう!ナターシャの足枷を外してくれて!!!」
「ロミー、いつの間に外したんだい?」
「なんと!さすがロミちゃん」

マリアさんが、泣きながらお礼を言いにきてくれた。

ダダダダダダダダ!!!

「ロミー!ナターシャの事、ありがとうっす!」
「姉ちゃん!うぅありがとうなぁ!!!ありがとうぅ!!!」
「も、もう、大袈裟です!!!ロミーはまだ疲れてるんで、後にしてあげて下さい!」



わぁわぁわぁ、まだベッドの上だというのにみんなが押し寄せてくる。
二度寝しようと思ったけど、寝れなくなった。

そんな騒ぎの中バニラが上城さんのベットに、座るのが見えた。

「わ!バニラ!ちょ、びっくりするじゃん、やめてよ。わ、わ、近寄らないでよ!」

なに?バニラが近づくと、なんでそんなに逃げるのかな?


「ロミーありがとうっす」
「ありがとうぅうぅ、」
「ありがとうありがとう」

「わわぁ!肩乗らないで!首ぃぃいい!なめないで!ぎぃやぁぁあ」

は?なにこのカオス。

私の眉間のシワに気がついた桜子さんが、理由をつけてキースさん達を追い返し、ジャックがバニラを上城さんから引き離してくれた。



「まだ眠くて何も考えれないってのににぎやかだ・・・」
「ご、ごめんね、ロミーさんまだ眠いよね、ちょ、バニラ!向こう行ってくれよ」
「なんだよ俺は何にもしてねぇぞ」
「桜トイレ行きたい」
桜子「え!?ワンワン散歩行く?」
「桜、私が案内するよ」



うーん、うーん、なんかみんなして、朝から本当に騒がしい気がする。

「輝、一緒に風呂入ろうぜ」
「いや、遠慮しておくよ、ちょ、本当にほっといてくれないかな、」
「なんだよ男同士だ裸の付き合いは大事だろ?ぎゃはは」
「ほ、本当に、頼むから、ほっといてよ」

なんか、上城さんがよそよそしいんだよなぁ。

ってかバニラもちょっかいだしてて、うちでも、ウザく感じちゃうかも。
さすがに上城さんの嫌がりっぷりは可哀想になってくるくらい。


「こら!バニラいい加減にしなさい。上城さんが、困ってるよ」
「じゃーお前が構ってくれよ」

そういうと、人間の姿になり私のベットに入ってきた。

「やめろ!あっちいけ!」
「だとよ、輝。やっぱりお前にちょっかい出すしかないだろぉ」
「も、本当に勘弁してよ!!!ロミーさん本当に助けてください!夜中中ずっとすり寄ってきて、本当に寝てなくて疲れてるんだってば!!!!!」

バニラは一体何をやってんだ。
朝から意味のわからない事を!!!

「バニラぁぁもういい加減にしなよぉ」
「そもそもおあずけ喰らってる俺はどうなるんだよ」
「おあずけってなに」
「わぁ!わぁ!もう僕は朝食食べに行くね」

なんだかよくわからないけど、上城さんは慌てて部屋を飛び出した。

「やっと二人になれたなぁ」
「私も朝ごはん食べに行こうかな」
「その前に、俺にも喰わせろ」

バニラが顔を近づけてきた。
またキスする気かこいつ!

「猫の姿にになりなさい」
「は?」
「早く!」
「わ、わかったよ」

渋々バニラが猫の姿に戻り私は抱っこして、軽くキスをした。

「なっ」
「だってキスがしたいんでしょ?猫の姿ならいくらでもキスしてあげるよ。ちゅ、ちゅ、ちゅー」

バニラは予想外だったようで、ちょっと暴れている。

「ば、はかっ!そんな何回もキスするな!」
「おあずけとか言ってたから、して欲しいんでしょ?嫌なの?」
バニラ「い、嫌じゃない!もう一回しろ!」
「はあ?素直じゃないなぁ。可愛い猫ちゃんでちゅねぇー♡ぶっちゅー」

満更でもないご様子の猫のバニラが可愛い。


しかし、なんかモヤモヤするんだよなぁ、
ストレスが溜まってるのかなぁ
イライラする








一階に降りると、みんなが朝食を食べていた。

上城さんがキョロキョロと落ち着かない様子だった。

「バニラなら部屋で寝てますよ」
「ほ、ほんと?よかった」
「何か、うちのバニラがすみません」
「うん、そ、それで、、あの後、き、キスしたの?」
「はい。何回かしてあげたら満足して寝ましたよ。なんか私も身体がすっごく軽くなりましたぁ」
「な・・・そ、そう・・・」
「ただ、やましい気持ちでキスしたがってると思ってたんですけど、そうじゃなくて、私の為にしてくれてたみたいなんですよ。」
「よ、よかったね、で、でも人前ではあまりしない方がいいと思うよ。驚いちゃうし」
「???そうですね、気をつけます」


上城さん一体どうしたのかなぁ。




朝食を食べながら今日の予定は特に無くて、もしも、叶うのなら、私は一日中寝ていたい。
連日の動きっぱなしで疲れたから。
でも、そうはいかないのはわかってる。

ガランガラン、
ジャックと桜子さんがワンワンの散歩から帰ってきたようだ。

「名前は決めたのかい?」
「うーん。まだ考えてるんです」
「おかえりー」
「おかえり」

わんわんの名前について話してるみたい。桜子さんの使い魔として契約すれば、冒険で役に立つと思ってわんわんの名前は桜子さんに決めてもらうつもり。
それにペットセラピー的効果を得られると思って。
散歩時々私にもさせてもらおうかな。
散歩を終えて帰ってきたわんわんは宿屋に入るなりすぐに人の姿になった。

「俺を連れて行けばいい」

寝ているはずのバニラが人の姿をして隣にいて一瞬びっくりした。
どーも、わんわんが人型になると対抗心?でバニラも人型になるっぽい。

「輝くん朝風呂どうだい?」
「あ、行きます」
「いてらー(手を振る)」

私と桜子さんは二人に手を振り朝食を続けた。
ひさびさに桜子さんと二人になった気がする。と言っても、バニラとわんわんがいるんだけど。
桜子さんは、わんわんの名前の候補をいくつか考えているようだけど、決めあぐねてるようだ。

「そう言えばナターシャは?部屋を出た後は見てないのよねぇ」

カウンターの方を見ても居ない。
そういえば、マリアさんの姿も見当たらないや。

「あの女達なら神殿にいったぞ」
「そうなの?」
「正式な養子としてあの女を迎え入れるために司祭に報告しに。」

ほほぉ!それはそれで、おめでたい!
これでやっとナターシャはキースさんとマリアさんの子になるんだ!

「何か、お祝いにプレゼントしてあげたいなぁ」
「ロミちゃんケーキとか作ってあげたら?」
「おぉ!いいね!市場に材料買いに行かなくちゃ!」
「私も何かプレゼント選ぼうかなぁ」
「今日は桜子さんとデートだね!」

横に犬と猫がいるけどね。

「ねぇ、今日はロミちゃんと二人で出かけたいから、バニラ、わんちゃんの面倒見ててくれる?」

「はぁ!?なんで俺が!」
「それがいい!宿屋でお留守番しててよ!」
「バニラ兄と一緒なら俺は待ってる」
「偉いわねぇよしよーし」

わんわんは、頭をなでられご満悦のご様子。
バニラはものすごーく嫌そうな顔。

私達は朝食を済ませて二匹を置いて出かけた。
上城さんとジャックにはナターシャのお祝いにプレゼントの買い物にでかけてくる。とだけメッセージを送って。






本日の天気はとても良く、色とりどりのテントがより一層可愛く見える。
オレンジやマンゴー、イチゴなどのフルーツをふんだんに使った、フルーツタルトなんてどうかなぁ?
それと宝石みたいにキラキラしたゼリーで固めた可愛いケーキと、あとはナターシャの大好物の生搾りジュースをいくつか用意してぇ・・・
メニューを考えるだけでわくわくする。

桜子さんはナターシャに洋服をプレゼントするようで、織物屋を物色している。
桜子さんは、裁縫のレベルを極め"仕立屋"を習得しているので、材料さえ揃えば、自分で作る事ができる。

よく、夜会イベントで、ドレスを仕立ててもらったりもした。

スイーツだけじゃ残らないしなぁ。
何か残る物を私もプレゼントしたいなぁ。

「桜子さん、ちょっとあっちのテントのお店見てきますね!」
「はーい。終わったら連絡するから、自由行動にする?」
「そうですねぇ!とりあえず、そうしましょうか!」


桜子さんと別れて、色々なお店を見ていると、赤子を抱く母親の心地よいハミングが聴こえて、つい足を止めてしまった。

♪〜

市場のどこかから聞こえてくるステキなWind chimeの音色と重なって、心地よい。
ゆっくりと赤子を揺らしながらポンポンと、優しくリズムをうつ、心地よいメロディーのハミングは癒し効果抜群。
見ているだけでも癒される。

この世界も大勢の人々が暮らしているんだよね。
私のいた世界とは時間の流れがゆっくりに感じるなぁ。
数日前まで忙しない毎日を送っていたのが嘘みたいに感じるし・・・
辛いこともあるけど、私はこの世界の方が自分に合っているような気がする。
この世界にずっと居たい。そんな風にも思ってしまった。



市場の人に、プレゼントに適した素敵なアクセサリーのお店が無いか聞いて、目的のお店にたどり着き、沢山のアクセサリーの中から、ナターシャにとっても似合いそうな色の宝石をあしらった素敵な髪飾りを見つけた。

ナターシャが髪につけたところを想像してたら、ニヤニヤしてしまう。
プレゼント用に包んでもらった。


買い物を済ませ、ふと市場を行く人々を見てみた。
流れる人の波の中、ぼーっと眺めるのも悪くない。
私は神殿の方へ何となくお店を見ながら歩いていると、ばったり上城さんに合った。

「あ!上城さん!お買い物ですか??」
「あ、ロミーさん。えっと、はい。僕もナターシャに何かプレゼントをと思って」
「私はケーキを作る予定です!!あと髪飾りを買いました」
「いいね、僕もロミーさんが作ったケーキ食べていい?」
「勿論です!!」
「じゃー、僕はもう少し回って行くから」

上城さんと別れてまた歩き出した。

突然アミュレットが光、司祭様からの連絡が入った。

「ロミー様フィオナです。お加減はいかがですか?」
「司祭様!おかげさまで良くなりました!」
「良かったです。今、キース夫妻とナターシャさんが帰られたところです。お時間ありましたら、神殿までいらして頂けないでしょうか?」
「私、一人ですか?」
司祭「はい。ロミー様にお話ししたい事があります」
「わかりました。すぐに行きますね」
「お待ちいたしております・・・」


司祭様からの呼び出しか、なんの話だろぉ
神殿までは一本道。向かいつつ、通り道のお店をチェックする。

途中、こないだみたいに急なキャンプになった時用に、食材や食器なども買っておいた。

神殿の階段を登りながら、桜子さんにメッセージを送る。
『司祭様にちょっと呼ばれたから行ってくるね』送信っと。よし。


私は神殿に入った。




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