Re-start 異世界生活って結構自分に合っている件

ロミにゃん

23 落ちる



岩場を下り、みんなの所へ向かうと、ザワザワとアレは誰だ誰だ?と声が聞こえてきた。

「え?え?え?バニ子!?」
「バニラ?凄く若いね」

なにも言ってないのになんでみんながバニラだと直ぐにわかったのか・・・腑に落ちない!!!
みんながバニラを取り囲んでいる。
まぁいいか。
私も少し休憩したい所だったし、あっちで寝転ぼうかな

一人群れから離れ崖の近くまで行ってみたると、ボロボロの橋が架けられている。
崖の下から風が吹いていて岩場にも光石が沢山あるので、なんとなーく底の方が見えた。

あれは、第5層かな?
ここから下りれたらショートカット出来るんだけどなぁ・・・
自分一人なら飛び降りるかも、途中でFlyを使ってね。

「すごい風だねぇ」
「あ、上城さん、5層が見えるんですよ。ショートカットでここから下りれないかなぁと思って」
「わぁ本当だね、かなり高いよ?本気じゃないよね???」
「あはは、」
「はは」

「・・・」
「・・・(いや、これ絶対飛ぶつもりだよね?か、勘弁して)」

水分補給を済ませて市場で買った、日持ちするお菓子なんかを皆んなシェアしている。

私は先程から眼の奥がズキズキする。
だいぶ魔法使ったからかなぁ?目と目の間を摘み、試しに、イメージで魔法を使ってみる事にした。
目を蒸気で温めたいんだよねぇこう、じんわり蒸す感じ。

じわ〜っと・・・

「!?っ冷たぁぁぁぁぁぁいああああーーー!!!」

失敗!!!やはりそう簡単にはうまくいかないか・・・

バニラがざまぁ!という笑みを浮かべている!!!
くそ!猫の時の表情より、今の人型の表情の方がリアル過ぎて、私の心へのダメージはデカイ!!!

同時に美少年過ぎて、嬉しいんだけど、イラッとする!!!
自分で美少年になれば良いのに。と思ってしまったが為に、余計に!!!




「そろそろ出発しようか」
「そうしましょうか」

みんなが立ち上がり橋の方へ向かっている。向こう側に渡るには、ボロボロの橋を渡るしか道はない・・・
橋の近くまで行くと結構年季の入っている感じだ。
一人ずつ渡ったほうがいいかな??

「私が様子見で先に渡りますので、半分くらいまで、行ったら次の人が渡ってください」
「私が先に行こうか?」

「私に行かせてください。モンスターが居ないかを含めて向こう側の様子を調べたいので」
「うん、わかった。無理はしないようにね」
「はい」

ロープに手をかけ一歩目を踏み出した。

ピシ!キシ!と、ロープのしなる音、木の板の軋む音が響く・・・
大丈夫、かな?私は慎重に2歩目3歩目と、ゆっくりと進んだ。

「気をつけてね!ロミちゃん!」

足元に物凄く意識が集中していて、みんなの声が聞こえていなかった。
順調に進み真ん中あたりに来た時、後ろから物凄い衝撃音が聞こえた。

ドゴォォォォォォォオン!!!!!
突然近くで岩が崩れる音がした

驚いて振り返ると、さっきの岩場の上に手配書のケンタウロスが居る!!!!
岩場を突き抜けて出てきたようだ!!!
バニラがとっさにキメラに変身し、ケンタウロスに飛びかかった!

「時間稼ぎは任せろ!お前たちは橋を渡れ!!!」

バニラの言葉でパニクったみんなが一斉に橋に集中する!!!

「ダメ!!そんなに一気にきたら橋が崩れる!!!」

私の声など誰にも届かない!
橋に目をやるとウィンドウが開き、橋の強度が見えた。

"強度24%"全員来たら100%ロープが切れる!
何とか橋の強度を上げないと!!!

「"healing circle"」

すると桜子さんが一か八か橋に回復魔法を使用した。

"ロープの強度63%"

よし!これで、とりあえずは、向こう岸まで渡りきれる!!!
バニラがケンタウロスの左目辺りに鋭い鉤爪で一撃食らわせた時、ケンタウロスが激昂した!!!

ブゥォォォォォオオオオオ!!!!

凄まじい咆哮で、地面が激しく揺れ、天井や壁の岩が一部崩れた!!!

「"sealed"」

私と桜子さんはとっさにsealedを使った!!!
大きな岩が橋に直撃しロープの一部が切れ、大きく橋が揺れている!!!
向こう岸のロープを何とかしないと橋が落ちる!

"橋の強度30% ロープの強度20%"

橋の強度はどんどん下がっている!
私は橋を先に渡り向こう側からロープを魔法で引っ張れないかと思い、勢いよく走り出した!!!
すると、向こう岸の壁がさっきの揺れで崩れた時にできた穴からモンスターが湧いて出てきた!!!

マズイ!引き返す!?

「ダメ!こっちからもモンスターが来てるわ!!!」
「ロミーさん!!挟まれたっ!!」

まだ橋の手前で応戦していたジャックさんが、銃を乱射しながら、みんなを橋に向かわせている!!!

無数のモンスターの中に弓を持ったゴブリン達がいて、今にもこちらに攻撃を仕掛けてきそうな状態だった!!

どうすればいい!?
渡る事も引き返す事も出来ない!!!

下の方に第5層の光が見え、一か八かの行動に出る事にした!!!

「みんな!!!ロープに身体をしっかり絡ませて固定して!!!「ロープを切ります!」
「!?」
「死にたくないよぉ!!」
「ロミちゃんには何か考えがあるのよ!従って!!!そうよね!?」
「重力魔法を使います!多少荒技な為、一か八かにはなりますが、どの道この橋はモンスターの攻撃を受けたら落ちるのは確実です!!!」
「俺はあんたに従うぞ!これまでだって、あんたに助けられたんだ!従ったほうが生存確率は高いに決まってる!!!」

赤い月さんの掛け声で、みんながロープに身体を絡ませて準備をしてくれた

「ロミーさん!全員橋に乗ったよ!!!」

ジャックさんは攻撃を続けていてロープにまだ身体を固定できていない。

"ivy"

桜子さんが魔法を使って橋の下からシュルシュルと蔦が生えてきてジャックさんや私たちの足に絡みついた!!

「ありがとう!!桜子さん!」

グゥオオオオオン!!

ケンタウロスの声でモンスター達が一斉に攻撃を仕掛けてきた!!!
ジャックさんとアイコンタクトでタイミングを計りロープを一気に切り離した!!!

キャーーーーー!!!
ワァーーーーーー!!!

パニック状態の中、私は魔法を使う!!!

"gravity circle"!!!
フワッと橋全体の落下が緩やかになった!

でも上からの容赦ない攻撃が続いている

"flare bullet"〈迎撃弾〉をジャックが使用し、
"sealed"を桜子さんが使用して、
私は魔法を跳ね返す"reflect"〈反射〉を使用した!

為魔なく続く攻撃を、何とかしのいだ。





100mくらいは降りたかな?
そういえば、バニラは!?
まだケンタウロスと戦闘してる!?
衝撃音と共に、4層から激しい爆炎が見えた!!

「爆風が来るっっ!!!体を低くして!!」

息を吸うだけで喉の奥まで熱い!!!
爆炎の隙間からキメラの姿のバニラが飛び降りてきた!!!

落下しながらシュルシュルと、猫の姿に戻り私の顔に降ってきて、受け止めきれずにそのまま倒れ込んだ!!!

「どわぁ!!!ぎゃ!」

その衝撃で、重力魔法が解けてしまいまた橋は急激に落下し始めた!!

キャーーーーー!!!!!
ワァーーーーーー!!!!!

その時私は早く魔法を使おうと必死に杖を振り上げた!!!
バニラは気を失っているのか中々顔から離れてくれず、魔法を使えないっっ!!!

無情にも5層の地面が近づいて行く!!!
必死にもがけばもがくほど、私は焦って魔法がだせない!!!!!!

"fly"!!!!!

ジャックさんがと数人にとっさ魔法を使って、引っ張り上げようとしてくれた!

ガクンっ!と衝撃があったけど、落下速度は然程変わらなかった!

ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!
一か八か、私はとっさに橋よ浮けぇぇぇぇえ!!と願った!!!



すると、落下速度はフワッとゆっくりになった。

「と、止まった・・・はぁ」

みんなの安堵の溜息が聞こえた。

私は意識をさらに集中させた、着地までこの橋はゆっくり降りて行くイメージを保った。

気がつくと、みんながありがとう!と言っているのが聞こえ目を開けると、橋の上に残っているのは私だけだった。

ボロボロになった橋は地面から膝の高さくらいの所でふわふわと浮いていた。
みんなが無事なことを確認して安心して気を抜いた瞬間、橋はバラバラに崩れた。


「ぎゃっ!!!い、いったぁぁぁぁ」
「大丈夫?」

私はお尻を強打してしまった・・・桜子さんが心配して手を伸ばしてくれ私はその手を取り立ち上がった。

「イテテ、うん大丈夫。みなさんすみません、途中で魔法を解いてしまって・・・」

「終わったかと思ったぜ」
「でも本当にみんな無事で良かった」

みんなで無事を共有した!!!





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