Re-start 異世界生活って結構自分に合っている件

ロミにゃん

12 だから序盤に出てくる様な敵じゃなです!



"キング"のアプリの隣に"アナザーストーリー"と言う見たことのないアプリがある事に気がつき、タップしてみた。
そのアプリはすぐに起動した。

これ、視界に見えているいる固定されたアイコンやカーソルがそのままスマホで見えてる???

右下にあるステータスアイコンを押すと、やはり、視界に見えていたものと全く同じ形式でスマホ画面で見れるようだ

「これ、役に立つのかしら???」
「あーうん。ちょっと私も思いました。私達みたいに慣れている冒険者にはさほど必要ないようにも思えるけど初心者の冒険者には重宝するかな??」

これなら、上城さんにも画面を出しながら教えることが出来るし、なにかと使えるかもしれない。

「これ助かるよ!アイテムの出し入れするとき、目で追って、意識しないとスムーズに選べなかったんだ!これなら指でタップできるから、すごく助かるよ!!!正直、あっちこっち確認しないといけなかったから目が疲れて仕方なかったんだ」

ふむふむ。たしかに言われてみれば、そうかも!

私が"Fantasy Kingdom -online-"を始めたのは大学一年の時、先輩達から進められてハマって、私のプレイ時間数は、8000時間を超えている。
学生の頃は毎日朝まで寝ないで、休みの日となれば、一日中"キング"をプレイし、バイトで稼いだお金の殆どを課金に費やすと言う日々・・・
言ってて悲しくなってきたけど・・・
おかげて、6年くらい続けている。
途中、彼氏ができたりして離れていた時期も多少あるけど、ログインだけは欠かしてない。
6年も続いたおかげで、レベルは何年か前に止まっている。
そもそも私より12000時間超えてる人とかもいっぱいいる世界だから、カウントストップしているからと言っても、プレイ時間だけのランキングとかつけられたら、100位以内には入れないんじゃないかなー?
時々大型アップデートがあって、その度にレベルの上限が引き上げられて、あの頃はよく経験値アップのアイテムに財産のほとんどを課金し、廃になるまで遊んでいた気がする・・・
社会人になって、流石に、ゲームを開く時間も減ったけど、桜子さんと一緒に"キング"をやるようになったのは一年くらい前からなんだよねぇ。

とまぁこんな感じだから、
私と上城さんに経験の差がありすぎて、ついてこれないのは当たり前か・・・

「夏休みは全くリア充してなかったなぁ・・・(小声)」
「ん?そうだ、ロミーさんのステータスみせてもらえるかな?」

私と上城さんのスマホを交換する

「わぁ完全にレベル止まってるんだね、す、すごいや」

あぁ、普通に渡しちゃったよ
何やってんの私!バカなの!?
何恥さらしてんの!!

「えっと、プレイ時間が果てしないんだけど、8千時間って想像できないんだけど・・・」
「まぁまぁ、上城君。ロミちゃんは学生の時からプレイしてるんだからねぇ」

うぉー恥ずかしくて死にたい!!

「三日月は職業変えてプレイ中なんだっけ?」
「えぇ、そうよ!メインキャラはロミちゃんと同じ魔法剣士で、元々Lv.300くらいまで育てたんだけど、回復魔法専門でやり直そうと思って、アカウント取ってもう一度初めからね」


あれ、今私達ゲームについての会話してる???
あぁ何て至福の時なんだろう!!
こんなオタクトーク最近は桜子さんとしか出来なかったから楽しい!!!

「ロミーさん、なんだか嬉しそうだね」

は!?
顔に出てた!?
私としたことが!!!
って今更隠してももう遅いか・・・
私の経験と知識が役に立つ世界に来たんだから覚悟を決めないとね。
楽しみだなぁ!
どんなことが待ってるのかなぁむふふ

あれ?私帰る気が無い???





ヒヒィィィイン!!
馬が嘶いた!
それと同時に馬車がガコン!と大きく揺れ止まった!

「モンスターのおでましだ!兄ちゃん達の出番だぜ」

荷台から降りて馬車の前にでて、前方を確認した。
遠くの方に街が見え!森の方から、ザワザワと鳥達が飛び立ち不自然に木が揺れているのが分かる!!

「おいロミー!"天眼"使え!モンスターの位置が把握できるだろ!?」

バニラが肩に飛び乗ってきて頭の上に手を乗せ教えてくれた。

「え?でもまだ使いこなせなくって!」
「俺が、誘導してやるから、意識を集中させてみろ!!!」

半信半疑ながら、バニラの言う通り、意識を集中した。


すぅーーーはぁーーーー

呼吸を整え、自分の心臓が鼓動する瞬間だけ、輪郭だけ見えていた世界が少しくっきり見える。

とくん、とくん、

すぅーーーはぁーーー


ボンヤリ、森の方に数体のモンスターらしき影が見える。



「あ!三体確認できるよ!!」
「恐らくゴブリンだろう!キメラを倒した兄ちゃん達なら余裕だろ!」


"thunder ball"

私は、様子見を兼ねて、ゴブリン達のいる森の方向へ、魔法を放った

「ギィィィィィィィィィ!!!」

一体に命中したようで、ゴブリン達が森から走って出てきた!

「おぉ、一体丸焦げじゃん」
「上城君、狙って!」
「了解!」

ドンッドンッ!!

「上城さん!命中率の補助しますね!」
「ありがとう!」

"Accuracy Improvement"

今回は、命中率のパラメータのみをアップさせた。
ゴブリンくらいなら実力を測るにはちょうどいい。

ドンッドンッドンッ!

上城さんが小さい方のゴブリンを倒すと、残りの一体の大きなゴブリンが、叫び出した。

「仲間を呼んだぞ!兄ちゃん達!気をつけろ!!」

「ギィィッ!ギィィッ!ギィィッ!」

森の奥からでてくるモンスターの数を確認しようと、私は意識を集中させた。



ドックン!と脈打つ様に突然、目の痛みで怯んでしまった!!
頭の中がぐるぐると目眩のような感覚に陥る。
微かに声が聞こえる。


『ス・・・・ワセ、・ベ・・・ワセ』

なに?頭がぐるぐる気持ち悪い!

『スベテヲコワセ!!!!』

!?

声がはっきりと聞こえた瞬間、辺りが暗くなり、大きな雷が落ち、突風が馬車を激しく揺らした!

「今何か聞こえなかった!?」
「え!?」
「"スベテヲコワセ"って聞こえなかった???」
「僕は何も聞こえなかったよ!それより突然雷がなってビックリだよ!」
「突然の天候異常、このビリビリと重い空気・・・桜子さん、これって」
「もしこれが、"キング"と同じだったとしたら!!!魔神級のモンスターが現れる前兆ね!まずいわ!不利すぎる!」

キメラの時といい、なぜ、序盤にこうも、ハイクラスのモンスターばかり立て続けにでんの!?

「おい、待て!兄ちゃん達!他のモンスター達は逃げて行ったみたいだ!!今のうちに街に逃げるぞ!!馬車に乗れ」

えぇ!?

とりあえず、私達はキースさんの言う通りに馬車に戻ると

「シルバーシティまで全速力だ!しっかり捕まれ!野郎ども!!!」
「オォォォォォオ!!!」

団員達がキースさんの掛け声に答えると一斉に全速力で街に向かい出した!!!

「どーゆー事ですか!?キースさん!」
「こんな所にまで魔神が現れるようになっちまったのか!!街には、月の神殿があって、その加護のお陰で、魔神と言えど町には近づけないんだ!!!だから、一気に走り抜けるぞ!!!」

私はひどく揺れる荷台から空の方を覗いた。

ガコン!ガシャン!ガタガタガタガタガタ!!

いっ!あた!またおデコぶつけたよ・・・
あれ?
大荒れの天候の中、雲の隙間から巨大な目玉のような物がちらりと見えた気がした

とっさに杖を取り出し雲の隙間に向かって杖を向けるとHPゲージが現れた!
やはりあそこにいるのが魔神級のモンスター!?

ピコン♪♩♫
私達3人のスマホが同時に鳴った

!!!???

ガコン!ガシャン!ガタガタガタガタガタ!!

「きゃ!」

スマホが鳴ったのも気になるけど、あの魔神級モンスターの正体も気になるし!
いつ攻撃が来るかわからないし!!
そうこうしているうちに、雲の隙間から大きな岩の塊が降ってきた!!!

ヒューーーードゴォォォォォォォオン!!!


あちこちに飛散している!!このままでは進路を断たれてしまう!!


何かいい魔法は無かったかな?

私は視界のメニューを開き魔法を検索しようとした!

「だめ!揺れが酷すぎてメニューを見れない!」

私は覚えている魔法を一か八かメニューを開かずに唱えてみた!!

"gravity"!!!

荷台の部分が地面から離れ揺れが一切消えた!!!

「な!なんだ!浮いてるのか!?」
「よし!使える!!!キースさん!!!荷台が軽ければウマも早く走れますよね!?他の馬車にも同じ魔法をかけます!」
「なんかよくわかんねーけど!姉ちゃんに任せたぜ!!!」
「任された!!」

私は荷台をよじ登り屋根の上に立ち上がった!!
後ろの馬車の人達が驚いているのが見えた。

酷くうちつける雨、風、雷に隕石の中私は、杖を掲げ振り下ろし魔法を使った!!

"gravity circle"!!!

広範囲に魔法陣を貼りその対象に重力効果を付与する魔法だ。

まだだよ!
魔法陣をこのままキャラバン全体の頭上にスライドさせて、空からの攻撃を一時的にしのいだ!
 
私を中心に貼られた魔法陣の下は風以外の影響を感じなくした!!!

「ロミーさん!大丈夫!?」
「これ、私動けないんですよ!手を休めたら隕石が当たっちゃうんです!」

「ロミちゃん!さっきの通知音わかったわよ!ロミちゃんが杖を向けた事でPTの私たちにも敵の情報が開示されたのよ!」

便利機能!!!
しかし手を伸ばし魔法陣を出し続けるのも楽ではない。
いくら揺れないと言っても、長く続けば、あげてる腕も疲れるし!!!

「ロミちゃんのステータスおかしいわ!バニ子!この『悪魔の祝福』って何!?他にもコレ何!」

私がキメラとの戦闘で取得したやつだ!

「確証は無いが、俺を倒した時に取得した"祝福"で"何か"を引き寄せたかもしれないな」

私が"何か"を引き寄せた!?私のせい!?
なら、私が馬車を降りればみんなは助かる
かもしれない!!ど、どうする!?

「ロミー、お前が責任を感じる必要はない!今回の魔神が、お前のせいとは限らない!」
「でもっ」
「ロミちゃん!馬車から降りようとか考えてるでしょ!自分だけ犠牲になろう!とか許さないからね!!!」

桜子さん!!

「このまま、街まで、振り切るぞ!」

振り返ると、街が後少しの所まで迫っていた!
外壁の向こう側に神殿らしき建物が見える
塔の一番上にクリスタルの様な輝きが見えた瞬間、辺り一面に、白い光でつつまれた。
眩しくてみんなが顔を伏せる中、私は光を感じないので、はっきり見えた!!!
神殿から空にいる魔神に向け一直線の光が放たれた!!!!

キィィィィィン、ズドォォォォォォォォン!!!!!

物凄い爆音に耳を覆った。




気が付くと雲は消え太陽の光が大地を指した。



私達は一瞬の出来事すぎて、開いた口が塞がらなかった。





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