Re-start 異世界生活って結構自分に合っている件

ロミにゃん

5 パーティに招待しました






「・・・はい。私も桜子さんと同じで今すぐにでも出発するべきだと考えてます」

私の答えにどこか悲しそうに上城部長はマリカさんと幸一達のところへ行き話をしている

「ロミちゃん今のうちに、この視界にあるアイコンを確認しておきたいんだけど、いい?」
「うん、"パーティへの招待"ってのがあるよ、これで経験値わけあえるんじゃ無いかな?」
「招待してくれ?・・・ありがと承認したわ」

左上の自分の名前の下にパーティを組んだ仲間の名前が増えた。

「"月光桜 Lv.75"あれ?この名前って」
「うん、あのゲームのセカンドキャラの名前なの。武器を装備した瞬間から表示されたんだけど、レベルもそのまま同じだったから、もしかして、ゲームの中の可能性も考えてるの」

私たちが利用するゲームは『Fantasy Kingdom -Online-』と言い、私達はこのゲームを"キング"と呼びんでいる。

「確かに、私の名前も、登録名と同じ表記になってたよ!」
「セカンドキャラは割と最近作ったものだから、レベルがまだ低いけど、武器を手にした時にloadingバーみたいなのが表示された?"キング"と全く同じ魔法やスキルだったの。ロミちゃんのレベルが"???"なのは何でかわからないけど、"キングの世界が何らかの形で絡んでいるのは間違いないと思うの」

本当だ視界に映る右下の方のアイコンからメニューがでてきた。ステータス、アイテムなど、いくつかの項目の中から、取得している魔法のページを開きスクロールしながら確認した。



メニューの中の『称号』のページに"NEW"のマークが点滅していたので開いてみた。

「"NEW 名探偵コンビ"・・・ってコレ、数日前に取得したばかりの称号だよね???」
「そう!謎解きイベントの参加賞の称号なの!それに、その時Lv70超えないと行けないダンジョンに行ったでしょ?あの時、私ステ振りして移動速度を挙げたじゃない?その時のままになってたよ」

ふむふむ
"キング"の世界そのままのプレーヤーデータで今ここにいるって事になるよね、これ。

もし、私も桜子さんと同じように全てのデータを引き継いでいるのだとしたら、
レベルが"???"になっている理由はわからないけど、私のレベルは今・・・


「みなさんはここに残るそうだよ・・・」

戻ってきた上城部長が悲しげだ

「そうですか・・・部長はどうされます?」
「まだ、正直迷ってます・・・」
「部長、私と桜子さんの現在取得しているスキルとステータスならなんとかなります!」
「二人共、自信たっぷりだね。僕は情けないけど、ちょっと自信がない・・・でも君達と一緒に行かせてもらってもいいかな?」
「「もちろんです!」」

桜子さんと声を合わせ、上城部長を歓迎した。
村の出口の方へ向かう途中、マリカさんと幸一に声をかけられた。

「ロミーさん!桜子さん!ありがとうございました。私達はもう少しここで様子を見ていきます」
「私は自分にできることしたまでです、たいしたことしてないわ。気をつけてね」
「マリカさん、傷、残らなくて良かったですね。」
「幸一くんマリカさんをしっかり守るんだよ」

別れの挨拶って苦手だ。
これで最後になるかもしれないと思うと余計に辛い。

「みなさん・・・絶対死なないでくたさいねっっつ」

マリカさんは涙を流して私と桜子さんの手をぎゅっと握って言って、それをみた桜子さんはもらい泣きしながらマリカさんを抱きしめて、私も上から二人を抱きしめた。

「マリカさん達も絶対に死なないでくださいよっ!」



-しばらくして-


村を出発して一本道を30分ほど歩いた。

「ロミちゃん、たしか『天眼』覚えてたよねそのスキルって使えそう?」
「それがさぁゲームの時のように上手く使えないんだよねぇ」
「そっか、この辺のマップとか見れると楽なんだけど・・・」


「あの、先程から二人が言ってるゲームって何のことですか???」

ペラペラと二人だけの世界に入り込んでしまっていた。
つい桜子さんといると、夢中になってしまって・・・
この先、共に行動する上で隠すわけにもいかないし、冒険をスムーズに進めるためにも部長に話をしようと決めた。

「桜子さん、部長になら話しておいた方がいいよね」
「うん、私もそう思う」


一応、ゲーム初心者でもわかりやすいように心がけをしながら話し始める。

「私達、同じオンラインゲームをやってるんです。『Fantasy Kingdom -Online』ってゲーム知ってますか?」
「えっとー、聞いたはことあるかな。CMとかでよく見るし」

部長はプレイヤーではないのかな

「そのゲームの事を"FKO"なんて言ったりしますが、私達2人は"キング"って呼んでます。それから、えっと、武器を手にした時に気がついたんですが、私と桜子さんはそのゲームの中のプレイデータがそのままこの世界で使えるかもしれないんです。」

「データがそのまま?・・・一瞬で相手を吹き飛ばせたのは、それなりに強いからって事?」

「はい。ちなみに上城部長、視界の左上に自分の名前と緑色のバーのような物が見えませんか???」
「んーと、うん!見えるよ!名前の後にLv29って書いてあるよ。」
「レベル29ですか?部長もゲームとかされていたんですか???」

部長は首を傾げ空を見ながら、う〜ん。と考えている。
考える姿もイケメン。

「あ!そういえば、1年くらい前に友人に誘われて始めたゲームがあったけど、その頃ちょうど昇進して忙しくなってそれ以来殆どやってないのならあるけど、多分まだ残ってると思う」

リュックからゴソゴソとスマホをとりだして、私達に画面を見せてくれた。

スマホの画面に映るそのゲームのアイコンはまさしく『Fantasy Kingdom -Online-』だった。

「部長!これですよ!私たちが言ってるゲーム!」
「ジョブは何にしたんです?」
「ジョブ?」
「えーと、武器は何にしたんですか!!」

グイグイ私達が迫ると上城部長は後ずさりしつつ、答えた。

「ええ、えっとー、銃を二つ持ってた気がするよ」
「「ガンナーか、いい選択ですね」」
「は、ハモった。さっきも橘さんに同じこと言われたね」

そう言えば、そんなような事、言ったかも。

「でも、ロミちゃん部長がレベル29ならとりあえずは、なんとかなりそうだね」
「うんうん!何か覚えているスキルって無いですか???」
「す、スキル!?技のことだっけ???」
「そうです!視界の右下の方にある、メニューを開くといろいろ見れます」


視界に表示されているメニューの使い方を簡単に説明した後、パーティへの招待をして正式に私達はパーティになった。

友達登録機能まであるみたいて、メッセージのやりとりまでできるんだ。
ますますゲームそのものだ。

「とりあえず、友達登録しましょ、機能を知るためにもいろいろ試さなくってよ。」
「桜子さん、部長、わたくしから友達申請を送りましてよ」
「え、しょ、承認しまして、よ???」
「ふふふ、部長、無理に私達のノリに合わせなくて大丈夫ですって」


私達は笑いながら他の機能をいろいろ試した。

「でも、お二人はこんなにも明るい性格だったんですね、僕が部長になってから、なんだか、部署全体が暗いっていうか、他の社員の方達との会話とかも殆ど減ったし・・・」
「はっ、明らかに係長っしょ(小声)」
「え、あ、ふふ、会社でゲームの話なんてするわけでないじゃないですかぁ〜部長ってば失礼ですよー私達が暗いみたいに言わないでくださいよねぇーもぉー。それだけみんな仕事に集中してるから会話が無いだけですわー?ふふふー」

上城部長が昇進したのが今から一年前、それより半年くらい前に朽田係長がやってきた。
上城部長が来た頃から確かにうちの部署は笑い声が殆ど聞こえなくなった。
日に日に係長の態度が尖っていくのがわかって、何人かがターゲットになり、退職した人達や部署異動した人達とかもいたり、ここ最近は主に私へのパワハラが目立っていた。
ストレス発散として高圧的な態度とを取っているとしか思えないほどに。

朽田クソバb(咳払い)係長は上城部長よりも15歳くらい離れていて、イケメンで仕事が出来る年下の上司がチヤホヤされてるのも気に入らない為、女性社員達には特に冷たい。

でも私は上城部長をそんな風に見たことも思った事はない。
確かにイケメンなのはわかるけど、それとこれとは別の話。
良い上司であることは間違いないけど。

桜子さんが係長の話題にならないようにそらそうとしてくれている。

「それより、課長の頭ってちょっとカツラ疑惑ありますよねー(汗)」
「ぷっ」
「あら、部長、笑うなんて失礼ですよぉ〜もぉ〜」

私もつられて笑った。

「よし、決めた!ここにいる間は"部長"と呼ぶのをやめませんか」
「「え」」
「敬語も、ね、そうしようっ。堅苦しいしさ。僕も敬語は使わないようにする。どうかな?」

突然の部長の提案に驚きつつ私達はもちろん快諾した。

「なら、私は同級生って事で、"上城君"かな。私のことは呼び捨てで構わないから」
「うんありがと、じゃー"三日月"で。」
「ロミちゃんも、ほら」
「上城ぶちょ、あ、上城、さん、」
「上城君もロミちゃんでいいんじゃない?」
「え、いきなり下の名前ってちょっと失礼じゃないか?」
「そんなことないわよっ♩ほら、上城君」
「ちょ、桜子さん」
「"ロミーさん"」

何と神々しい"上城スマイル" 嫌味かっ!!

むず痒い!男の人に下の名前で呼ばれるのはどれくらい振りだろう(*´︶`*)

「三日月とロミーさんが居てくれて本当に心強いよ。改めてよろしくね」
「ううん、私だって上城君とロミちゃんがいてくれて本当に助かるわ。よろしくね」
「私も、上城ぶちょ、さんが目が覚めたときに居てくれて本当に心強かったです!そして桜子さんまで居てくれて、本当によかった!よろしくお願いします!」


命がかかっている状況で、私達はそれを思い出さないように無理に笑っているのかもしれない。


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