異世界生活研修所~ワルキューレ嫁と英雄譚~

まきノ助

17 二度目のダンジョン

「「おはようオゥちゃん」」
「おはようだぁ」


 朝食の準備をしながら話をする。
「次のダンジョンまで、馬車で往復2時間ぐらい掛かりますよね」
「んだなぁ」
「転移でこの前行ったダンジョンのそばまで行けば、片道20分ぐらいですよね」
「んだなぁ」
「そのダンジョンの難易度はまだ初級ですよね」
「んだなぁ」
「俺たち二人だけでも攻略出来そうですか?」
「んだなぁ」
「今日は二人だけで行って見ようかと思ってるのですが、どうでしょうか?」


 すこし寂しそうな顔になったが、
「……「可愛い子には旅をさせろ」って言うからなぁ。オッケーだぁ、無理するなぁ」
「危なく成ったら転移で逃げますし、無茶をしないで「命大事に」で冒険しますから、心配しないで下さい」


 朝食の準備をして、昼食用にホットケーキとクリームシチュウも沢山作った。
「オゥちゃんの分も昼食を作ったからね」
「ありがとうだぁ」


 朝食後、畑に水を遣り家畜に餌をあげ、ダンジョンに出かける。
「気をつけて行ってくるだぁ」
「「行ってきまーす【転移】」」
 初めてのダンジョンへの分かれ道に移動した。


 俺はレーダーマップを出してから
「周囲を【探索】」


 次のダンジョンまでの道を確認する、特に危険な獣も居ない。
「じゃあ歩いて行こう」
「は~い」




 ダンジョンの前の広場に着くと、そこにグラーニが待っていた。
「わーいグラーニ、どうしてここにいるの?」
「ぶるるるっ、ひひーんっ」(私も一緒にダンジョンに入る)
 グラーニの体が光り、人の形に変わっていく。
 赤い金属製鎧に身を包んだ絶世の美女がそこに立っていた。


「「ブリュンヒルデ様っ!」」


 ギルドの警備員とスクルドちゃんが、ひれ伏していた。
「違います、私はグラーニです。お立ち下さい」
 警備員とスクルドは立ち上がった。


「そう、お嬢様の愛馬のグラーニなのね」
「今日はユウリちゃんとエリナちゃんの保護者として、一緒にダンジョンに入ろうと思います」
「オログ=ハイの次はブリュンヒルデ様のスレイプニルだなんて、どんな初級パーティなのよ」


「スクルド様お早う御座います、今日も経験を積むため、お邪魔させて頂きます」
「おはようスクちゃん、ね~ね~一緒に行かない~? 美味しいホットケーキ持ってきたよ~、後で一緒にたべようよ~?」
「そうね、あなた達の監視役として、行ってあげてもいいわっ」
 スクルドは「ケーキ」という言葉に心を奪われた。
「じゃあ俺が先頭でエリナが二番手でグラーニが三番手、スクルド様が最後尾で良いですか?」
「それで良いわ、あと私に「様」付けは必要ないから。それとグラーニは攻撃しちゃダメ、わかった?」
「「「は~い」」」


 俺は槍を構え、エリナはマジカルステッキを両手で持った。
「ね~エリナちゃん、その杖を見せて貰っても良いかしら?」
「はい、どうぞ」
 スクルドはエリナの杖をまじまじと見る。
「こんなデザインの杖は初めて見たわ、どこで手に入れたの?」
「私の家で小人さん達が作ってくれたの」
「これを……、どうやら優秀なブラウニーが住み着いてるようね。なんて恵まれてるのよ」
「はいっ、感謝感激です~。よかったら家に遊びに来てね、まだ誰も遊びに来てないの~」
「……考えとくわ」
「あっ、昼間はオゥちゃんの家に居るからね、そっちに来てね~」




 一階はスライムと大ネズミが出た、俺が槍を構えて盾役をして、エリナが魔法で攻撃する。
 二階には大サソリも出たが、この魔物達も経験ずみなので順調に狩っていった。
 三階に降りる階段を見つけたが、降りる前に広い所で立ち止まる。
「じゃあここらで昼食にしようか?」
「賛成~」
 ユウリとエリナはインベントリーからシート、カゴ、食器、を出して、クリームシチュウ、ホットケーキを盛り付ける。
「ホットケーキはバターを乗せて、お好みのジャムをつけて食べてくださいね」
「ジャムはイチゴとブルーベリーとラズベリーが有るからね~。スクちゃんもグラーニちゃんも熱いから気おつけてね」
「アツッ、出来立てじゃないの? あなた達のインベントリー【時間停止】まで付いてるの?」
「えっとー、普通は付いて無いのですか?」
「当たり前じゃないの【時空魔法】が関わらないと付与出来ないのよ。……あっ、まさか、フレイヤ様! あなた達、フレイヤ様の寵愛まで受けてるのね!」
「「……」」
「どっちが? ……二人供時間停止付き【インベントリーボックス】のスキルを持ってる…私達でさえ持ってないのに」
「あの、冷めない内に食べたほうが」


「おいしっ、なにこのパン、フワッフワッ、ジャムもスッパアマッ! ク~~ッ」
「シチュウも美味しいね~、グラーニちゃんはど~お?」
「付いて来て良かったわ、こんなに美味しい料理が食べれるなんて!」


「へへ~、私とお兄ちゃんが作ったんだよ~、美味しいよね~。沢山作ったから遠慮しないでね~」


 食後にハーブティーを入れ、レアチーズケーキを食べる。
「……こんなに美味しいケーキ食べた事無いわ!」
「美味しいよね~、また作るからね~」
 エリナもスクルドの表情をみて喜んだ。
(ヨシッ、胃袋鷲掴みわしずかみ!)


「一息付いたら三階に降りようか?」


 三階にスケルトン、四階には吸血コウモリ、五階と六階にはゾンビが出現した。
 魔物の種類は増えたが特に苦戦する事も無く、ほとんど一発の魔法で倒してこれた。
 前回のダンジョンの四階と同じように六階のフロアの最後にT字路が有り、左右の突当りにそれぞれドアが有る。
「スクちゃん、次の階にボスが居るの~?」
「…秘密よ」
「じゃあ、どちらかが魔物部屋ですね」
「む~っ、秘密って言ってるでしょ」
「エリナ、囲まれ無い様に部屋の中に入らず、魔物を一匹ずつ通路におびき出して戦おうね」
「は~い」


 悠里は左のドアを慎重に開けると七階への下り階段が見えた。
「こっちは階段だから、反対側へ行こう」
「なんでよ、降りれば良いじゃない!」
「え~、魔物部屋も楽しみじゃな~い。スクちゃん、良いでしょう?」
「うぐっ、好きにしなさいっ」


 今度は右のドアを同じく慎重に開けようとする。
「ちょっと待ちなさい。ドアを開ける前に、薬草かポーションで体力と魔力を満タンにするのよ」
「「は~い」」
「え~と体力も魔力も満タンです、あと薬草とポーションは持ってません」
「はーっ、何考えてるのよ。魔法使いでしょ? せめて魔力回復のポーションぐらい持ってきなさいね」
「「は~い」」


「では、あらためてドアを開けま~す」


「「モンスターハウスだーーっ」」
「ワザとらしいわね」


 ドアを開けた後、モンスターがこちらに気づいたのを見て一歩後退する。


 エリナが詠唱する。
「キラリンキラリンピカリンパ」
 ピカッ、バリバリ、ドーンッ
 先頭のゾンビを倒した。


 俺も槍を構えながら
「吸血コウモリを【雷撃】」
 ピカッ、バリバリ、ドーンッ
 吸血コウモリを倒した。


 槍で牽制しつつ、魔法でダメージを与えていき、20匹ほどの魔物を全て倒した。
「「「「イエ~イッ」」」」
 四人でハイタッチをした。
(くっ、思わず乗ってしまった)


 魔石とドロップアイテムを回収して、反対のドアへ向かう。
 ドアを開けて階段を降りると少し広くなっていて、正面に大きなドアがある。
「エリナ体力と魔力を確認しよう」
「は~い、……満タンで~す」
「俺も満タンだよ」


「はーっ、はいはい。二人供、魔力回復のパッシブスキルを持ってるのね。…フレイヤ様は甘やかしすぎねっ」
「……何かすいません」
「いいえ、さすがに王妃様には文句言えないわ」
「フレイヤ様って王妃様なんだ!……俺大丈夫かな?」


「じゃあ、ボス部屋のドアを開けま~す」
 前回と同じで誰も居らず、全員が入るとドアが勝手に閉まった。
 薄紫色の魔方陣が浮かび上がりゾンビの上位種グールが現れる。


「キラリンキラリンピカリンパ」
 ピカッ、バリバリ、ドーンッ


「グールを【雷撃】」
 ピカッ、バリバリ、ドーンッ


「メラリンメラリンアチチッパ」
 ボワッ、ドーンッ


「グールを【雷撃】」
 ピカッ、バリバリ、ドーンッ


 グールを倒した。


「「「「イエーイッ」」」」


 悠里たちはLv8になった。
 魔石と4個のリュックサックがドロップした。


「ドロップアイテムは何かな~」
「【鑑定】」


『天使の羽衣リュックサック』
 入れた物の重さを感じない魔法のリュックサック


「スクちゃんありがとう」
「ありがとうございます」
「別にいいわ。私まで貰えると思わなかったから、これはオゥちゃんにあげてね」
「わ~スクちゃんやさしいね~」
「自分で作った物を貰ってもね…」
「グラーニも「ありがとう」」


 ユウリ達は歩いて地上にまっすぐ戻ってきた。


「金曜日は町に薪を売りに行くから、今度は来週になると思います」
「別に何時いつ来てもいいんだけど……」


「それじゃ転移で帰ろうと思うけど、グラーニはどうやって帰るの?」
「私は空を翔れば15分程で帰れます」
「じゃあ家まで別々になるけど帰りましょう」


「それではスクルド様」
「「ありがとうございました……【転移】」」



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