リトルシスターズ!

四宮カイト

第11話 「それなら小鳥遊歩君にお願いしたいです」

 新学期始まって初めての授業、といっても学級活動の時間でクラス委員を決めている。


 「この中で学級委員を引き受けてくれる人は手を上げてください」


 うちの女性担任、相原真由美(あいはらまゆみ、25歳)が生徒たちに尋ねた。


 「はい、私、やりたいです」


 即座に手を上げたのは美奈ちゃんだった。
 クラスメイトが歓喜の声を上げる中、マユちゃん(相原先生が生徒たちにつけられたあだ名)は申し訳なさそうだった。


 「立候補してくれて嬉しいけど、波江さん、去年も学級委員だったでしょ。今回は他の人に……」

 「いいえ、大丈夫です。もう一度やらせて下さい!」


 美奈ちゃんの頼みにマユちゃんは頷くしかなかった。


 「……わかりました。じゃあ次は男子の学級委員を決めたいと思います」


 担任の一言にクラスの男子生徒が殺気立った。
 美奈ちゃんと学級委員の仕事をする、それは同時に彼女にアタックするチャンスが増えるということ。
 男子は互いに牽制しあい手をあげる気配すらない。
 マユちゃんがクラス(主に男子)から発せられる威圧に耐えられなくなった。


 「ええと、手が上がりそうにないので推薦でもいいですよ」


 推薦、係決めで面倒くさい仕事を他人に押し付ける絶好のやり方。
 だが今はそれも効果を発揮しない。
 確かに学級委員は面倒くさいが美奈ちゃんという特典がついてくる以上、男子が男子を推薦はしない。

 問題は女子だが、彼女たちも男どもの事情を知っているが故に推薦しにくい。
 マユちゃんは一層濃くなった威圧、というかすでに殺気に近いものを感じ、さらに提案した。


 「じ、じゃあ、波江さんが頼れそうな男子を一人選んでもらいましょう」

 (やっぱりこうなるか……)


 去年の学級委員決めのときも結局最後は美奈ちゃんが同じ中学の男子を指名したのだ。
 その男子も今年は同じクラスだ。
 きっと彼を選ぶ、と誰もが確信したとき。


 「それなら、小鳥遊歩君にお願いしたいです」


 男どもの視線が俺に集中した。
 
 
 

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