リトルシスターズ!

四宮カイト

第6話 「しまった〜〜〜〜〜〜っ!!」

 午前5時、私は隣の夏美の部屋がドタドタする音で目が覚める。


 「夏美は朝からうるさいわね……」


 口ではこう言うものの目覚ましの代わりになるので実は結構助かっている。
 
 支度を済ませ、洗面所で顔を洗い、長い髪にブラシをかけて整える。
 リビングに向かうとちょうど夏美がそこから出てきた。


 「ふゆ姉、おはよー」

 「おはよう、夏美。部活頑張るのよ」


 夏美は少しうつむく。


 「うん、行ってくる」

 「行ってらっしゃい」


 私は自分の素直な感情を人に伝えることが苦手、つまり嘘ばかりつき、それ故に相手の発言が嘘か真かがなんとなくわかる。


 (夏美、部活で何かあったのかしら……?)


 リビングに入ると毎日兄さんが朝ごはんの準備をしている。
 兄さんは両親が死んでから朝食と昼食をいつも作ってくれる。
 私も兄さんの手伝いをしたい。


 (今日こそは……)

 「兄さん、朝食。今日も仕事があるから」


 (しまった〜〜〜〜〜〜!!どうして正直に『手伝いたい』って言えないのよ!!)


 兄さんはそれでも従う。


 「一応聞いとくけど、何が食べたい?」

 (手伝いは次の機会にしましょう。今は『和食』がいい、とだけ答えましょう……」

 「いつもどおりでお願い」

 (いつもどおりって何!?)


 兄さんも頭を抱えているようだ。
 バレないように後ろを向くと、兄さんはキッチンで何作ろうか迷っている。
 困ってる兄さんはいつ見ても可愛らしい。
 じゃなくて、今すぐ訂正しなくてはならない。
 ですが食事が出てくるまで何も言えませんでした。
 恐る恐る食事を持ってくる兄さんに謝ろうとしますが。


 「なんで『洋食』メニューを持ってきたんですか?私は昨日食べた『和食』が食べたかったんですが」


 食事を作ってくれる兄に対するイチャモン。
 ほら兄さんだって目をまるくしてるじゃない、謝りなさい私。
 だけど口から出たのは謝罪ではなく溜息。


 「仕方ありませんね、仕事もありますし食べますが……」


 気まずさのあまり食物がうまく喉を通りません。
 兄さんの方を向かずに尋ねる。


 「それと兄さん春菜の姿が見えませんが」

 「そういえば……」


 兄さんはそう言って春菜のいる2階の寝室に向かいます。
 私は胸をなでおろします。
 なんとか兄さんがここに戻って来る前に食べ終わりました。
 

 兄さんが戻ってきて、弁当を作ってくれる。
 両親が死んでから兄さんが初めて作ったときは、ぎこちないし見た目も酷くクラスメイトの前で弁当を食べるのも躊躇われました。
 私が文句を言ったときも、兄さんは逆ギレもせず、毎日家族に隠れて料理を練習し確実に上達しました。
 嬉しかったけど、私の強欲が兄さんを苦しめてるのを知っています。
 午前7時、何度も素直な気持ちを伝えようとしますが今回もできずに家を出てしまいました。


 放課後、生徒会長の一条晶(いちじょうあきら)先輩が話しかけてきました。
 この学校の生徒会は変わっていて会長は生徒が投票で選びますが、他の役員は会長が信頼できる人を選ぶとかなんとか。
 一条先輩が会長になってすぐ私のところに来ました。
 
 内容は生徒会がないことと、放課後どこかでお茶を飲まないかという誘いでした。
 
 
 
 

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