リトルシスターズ!

四宮カイト

第8話 「好きな人とは一緒にいたいから……」

 「おい、起きろ、春菜。どうしてお前がここにいる!?」


 毛布をはがされると目の前に兄貴の驚く顔。


 「あ、おはよ……、兄貴……。あまりにも気持ちよくて……」


 ウチは毎朝兄貴が起こしてくれる。


 「春菜の部屋にも同じのがあるだろ……っていうかいつまでもそんな格好をしているんじゃない!」


 兄貴が顔を赤らめている。
 ウチは自分の格好に目を向けると、なぜか上下下着だけで寝ていることに気づいた。
 たぶん寝苦しかったから脱いだんだと思う。


 「兄貴、もしかしてコウフンしてる?」

 「んなわけあるか、とっとと着替えてこい!」

 「ハアイ」


 怒って誤魔化してるけどコウフンしているに違いない。
 保健の時間に習った。
 男性がコウフンしたときの反応。
 兄貴は家だと半ズボンだから結構わかりやすい。


 ウチは自分の部屋で着替える。
 兄貴はウチが学校でも、こんなはしたないことをしてるのではと心配してるが、杞憂だ。
 家の中、それも兄貴の前でしかこんなことはしない。
 何を隠そうウチは兄貴にぞっこん惚れ込んでる。
 兄妹愛なんて軽いものじゃない、女の子として一人の男の子を好きなのだ。
 

 (今日も、あれ、やってもらおう!)


 リビングで朝食を待ってる。
 兄貴はウチともう一人分の朝食と、昼食を作っている。
 妹の秋穂の分だ。
 イジメが原因で引きこもった秋穂に兄貴は昼食を作っている。
 可愛い妹だけどこればかりは許せない。
 兄貴の作った料理を朝、昼、晩と3食食べられるのが羨ましい。
 
 すぐに朝食が机に置かれる。


 「兄貴、ありがとう……」

 「はあ……、春菜、髪ボサボサだぞ。洗面所でなおしな」

 「面倒くさい、兄貴やって……」

 「……わかった。飯食べたらな」

 (よしっ!成功!)


 ウチは兄貴に髪の手入れをしてもらうのが好きだ。
 
 朝食をたいらげ、洗面所で軽く髪の毛をぬらし兄貴がブラシで整える。
 これがすごく気持ち良い。
 飼い主になでられて喜ぶ動物の気持ちを実感できる。


 「兄貴はやっぱりうまいね!」

 「1年近くほぼ毎日やらされてるからな……」

 「……じゃあ、これからも毎日よろしくっ!」

 「はいはい」


 兄貴は呆れてるかもしれないけど別に構わない。
 好きな人とは、どんなときでも一緒にいたいから……。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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