リトルシスターズ!

四宮カイト

第4話 「カントリーマームとプリンの特売をやってるそうです」

 午後4時、学校が終わり帰宅部の俺は誰にもからまれないようにそそくさと校門を出ようとした。
 スグルはサッカー部でいない。


 (はやくカントリーマームとプリン、買いに行かないと)


 女子生徒が俺の名前を呼んだ。


 「歩くん、一緒に帰ろっ!」


 「な、波江さん……、あ、ああ」


 本音を言おう。
 俺は波江美奈に惚れている。
 顔だけの話じゃない。
 俺の根も葉もない噂が横行するなか、それでも話しかけてくれる女子。


 「兄さん……」


 俺の背筋が硬直する。


 「冬香、どうした。今日も生徒会じゃないのか?」


 一転して最悪な状況になってしまった。
 学年の2大アイドル、波江美奈と小鳥遊冬香。
 美奈ちゃんはなんとも思ってないようだが冬香は彼女を敵対視している。


 「はやめに切り上げました。やることは大してなかったので……、だから兄さんと……」


 冬香は首を振る。


 「それよりも兄さん、買い出しがあるんじゃないですか?」


 「ああ、今行くところだよ」


 「でしたら、アチラのスーパーに行ってください」


 冬香が指差すのは帰り道の途中にある
カ○ミではなく反対方向にあるドン○ホーテだ。


 「わざわざあそこに行く必要ないだろ!」


 「今日はカントリーマームとプリンの特売をやってるそうです」


 (う、嘘に違いないが……冬香の目、これ以上抵抗したら殺される)


 俺は諦めて美奈ちゃんの方を向く。


 「ゴメン、波江さん。一緒に帰れない」


 「ううん、別にいいよ。それとも私も買い物手伝おうか?」


 なんという心優しい女の子。
 俺が返事をする前に、冬香が腕に抱きついて来てそのまま引きづられた。


 「兄さんは私一人で結構です。アナタは帰っていいですよ!」
 

 ドン○ホーテについてお菓子売り場に行った。
 当然特売なんかやってなかった。


 (まあ、カ○ミだと300円近いカントリーマームもここだと200円くらいだし……でもなあ)


 俺は釈然としなかった。
 お嬢様気質で安いものを好まない冬香が……。
 そこに頼んだ買い出しを終わらせた冬香が来た。
 俺は無言でカゴを受け取ろうとする。
 が、冬香は放そうとしない。


 「なんですか、兄さん?」


 「荷物持とうかと思って……」


 「構いませんよ、このくらい。……いつものお礼ということで」

 
 最後の言葉が小さくて聞き取れなかった。


 「なんて言った?」


 冬香は俺の足を思いきり踏みつけた。


 「なんでもありません!」


 今日の冬香はおかしい。
 
  
 
 
 
  

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