リトルシスターズ!

四宮カイト

第1話 「いつもどおりって?」

 3月の中旬、まだ早朝の冷え込みは厳しく多くの人は布団にくるまってるだろう。
 しかし、俺、小鳥遊歩(たかなしあゆむ)の朝は早い。
 両親が他界し、4人の妹たちの朝食、昼食を作るためだ。
 キッチンに入ると、牛乳を飲む少女の姿。
 寝癖がひどく、目は半開きだった。
 
 「あゆ兄(にい)、おはよー」
 
 「おはよう、夏海。すぐ朝ごはん作るから寝癖なおしてこい」

 「ファ〜い……」

 夏海は眠そうな声で返事した。
 彼女はテニス部部長で朝早く学校に行くから朝食を5時すぎにたべる習慣がある。
 俺が出来たての朝食を置くと、髪をポニーテールでまとめた夏海が部屋に入ってきた。
 

 「できたぞ、夏海」

 「ありがとう、あゆ兄。いただきまーす」

 「よく噛むんだぞ」

 「……フんっ」

 (だめだ、全く聞いてない)

 彼女のほっぺは縞栗鼠(しまりす)の食事をしているかのように膨らましてる。
 学校の給食でもこんな感じなのか。
 その光景を頭に浮かべる。
 兄としてすごく恥ずかしい!

 「ごちそうさま!」

 (早っ!!)

 俺が一瞬目を離しただけでたいらげやがった。
 自分の部屋に向かおうとする夏海がこちらに振り返る。


 「あゆ兄、今度の日曜日空いてる?」

 「あぁ空いてるけど……」

 「だったら、午後練習に付き合ってよ!」

 「まあ、いいけど……」

 「ハイッ、決まり!約束破っちゃだめだからね!」

 俺の日曜日はだいたい夏海の練習にかりだされる。
 彼女の目標は全国大会出場。
 俺も元全国大会出場の常連だったから、いつも相手をしている。
 まあ、ある事件でプロは断念したが。
 夏海が部屋を出ると入れ替わりで冬香が入ってくる。
 夏海とは対照的に寝癖一つないストレート。


 「兄さん、朝食。私今日も仕事あるから」

 「一応聞いとくが、何が食べたい……?」

 「そうね、いつもどおりでお願い」

 (『いつもどおり』ってなんだよ!?)

 冬香の朝食は毎日変化する。


 (昨日は『和食』、一昨日は『洋食』、3日前も『洋食』、4日前は……確か『洋食』、つまり……)


 俺が『洋食』、スクランブルエッグにハムにミニトマトをそえて持ってくと……。


 「なんで『洋食』なんですか?私は昨日食べた『和食』を食べたかったんですが」

 (言葉が足りなすぎてわかんねえよ!!)
 
 「仕方がありませんね、仕事もありますしすぐに食べますが……」

 冬香と俺の関係はこんな感じ。
 妹のくせに俺に命令ばかりして何かと文句をぶつけてくる。
 自分と兄のスペックの差が原因だろうか、俺のことを兄とは認めたくないらしい。


 「それと兄さん、春菜の姿が見えませんが」

 「……そういえば……」
 
 とっくに6時過ぎている。
 そろそろ起きないと遅刻してしまう。

 「まだ寝てるのか、アイツ」

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