リトルシスターズ!

四宮カイト

第3話 「眉唾にも程があるだろっ!」

 午前8時、学校につくとクラスメイトがざわついている。
 これはいつものこと。
 俺は周りの視線を気にせず自分の席にすわった。


 「なあ、歩。オマエに女の子紹介してほしいんだけど」


 俺に近づいてくる茶髪ツンツン野郎、緑川スグル。
 突拍子もない質問に俺は冷静に聞く。


 「今度はなんの噂だ?」

 「オマエのメアド帳には女子のメアド以外入っていない!」

 「眉唾にも程があるだろっ……」


 俺のツッコミにも動じず体を寄せてくるスグル。


 「で、実際のところどうなのよ?」

 「あまり見せたくないけど、メアド帳」


 画面を見せてスライドした。


 「俺の他に4つしか登録してないじゃん!むむむ、それになんでオマエの名前が4つもあるんだよ?」


 「それは妹たちのメアドだ。カッコして春、夏、秋、冬って書いてあるだろ」


 「オマエまさか冬香ちゃん以外にも3人も妹がいるのか!?」


 「言ってなかったか?まあ、その話は置いといてさっきの話に戻るけど、誰だそんなふざけた噂広めてるの?」


 「俺の口から言う必要あるか?心当たりぐらいあるだろ」


 俺が孤立するようなデマを流す奴らなんてアイツらしかいない。
 『冬香様親衛隊』。
 その名の通り冬香を俺から守るために作られたらしい。
 最初は冬香の兄である俺への嫉妬だったが、今は特に理由もなく突っかかってくる困った連中だ。
 構成員について詳しくは知らないが、代表3人組とは面識がある。
 あだ名(俺が勝手につけた)はモヒカン、ハゲ、デコだ。


 「そろそろ我慢の限界じゃないか、歩」

 「いや、下手に問題起こすと停学処分くらうよ。ただでさえアイツらのせいで先生にも目つけられてんのに……」


 そこで今度はメガネをかけた女子生徒が近寄ってきた。


 「大丈夫、歩くん?今日は朝方から災難続きだね」

 「!?べ、別に平気だよ、波江さん」


 彼女は波江美奈(なみえみな)。
 前髪を髪留めでまとめている。
 普段メガネをかけているが、それをとると学年1位の美貌が現れる。


 「そう……、でも何かあったら相談してね、ゼッタイだよ」


 そう言いながら席に戻る美奈ちゃんの後ろ姿を目で追う。
 その様子を見たスグルは呆れながら言う。


 「オマエに嫉妬しない男子はいないだろうな」
 
 
 
 午後1時、昼休み弁当を食べていると、
 スグルが両手をあわせて懇願してきた。


 「どうか妹さんを紹介してほしい、このとおり」

 「恥ずかしくないのか、そんなことして……」


 クラスメイトの視線が突き刺さる。 


 「わかったから、顔上げてくれ。妹たちの予定が空いてればな……」


 今度はスグルが非難の目を向ける。


 「頼んどいてなんだが、そこまであっさり了承していいのか?兄貴としてちょっとは抵抗すると思ったんだが……」

 「いや、もらってくれるならすぐにでももらって欲しい!」


 俺の目はたぶんギラギラ輝いてる。


 「兄貴の言葉じゃねえ……」


 「兄貴って大半こういうもんだぞ。それに一人だけでももらってくれるなら俺の生活だいぶ楽になる」


 俺の目が本気であることに気づいたスグルは何も言えなかった。
 
 
 

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