作成中止
70 光
「っち、分散しやがってぇ!」
「走れ!!」
ミヅキのあとを追うようにブランシェットを駆け抜ける。
「結構巻いたな。シオン、路地から反対に行け」
「うん」
シオンが路地に入ったとき、イェーガの1人の男がタイミング良く来てしまった。
「っち…」
アレンは敵の姿を確認した瞬間から手に電気を帯びさせていた。
「シオン、俺が足止めする。行け」
「っほー、随分余裕そうだね」
イェーガは全員目にナタストーンが埋め込められている。
「俺は簡単に負けるわけにいかないんでね」
アレンはそう言い男に突っ込んでいく。
「俺だって、イェーガの名にかけて負けられねえーよっ」
男は指先から強く眩しい光をだした。
目が、透明に黄色く輝く。
「っ……」
あまりの眩しさにアレンは立ち止まる。
強いひかりを浴びた目の視力はすぐには戻らない。
気配だけで、敵の位置を把握すると必要がある。
相手の光の力のナタストーンは物理的な攻撃能力のある石でもかなり強いものだ。
光の速さについていけるものはない。
「光より強えもんはねぇーよっ?」
男は指先から銃弾のような光線を出す。
アレンは視界ゼロのなか、右目の布の磁力を弱めてはずす。
ぴゅん光の銃弾がアレンの左脇腹を仕留める。
「っ……」
結界を作るスピードより、光の方が速い。
アレンは脇腹を抑えながら、敵を結界で取り巻こうとした。
「無駄無駄ぁっ」
男の体が光、作りかけの結界から姿を消す。
「!!」
分散した光が再び集まり、アレンの後ろに男が現れる。
「もしかして、ムクロをやったのお前か」
「ムクロ?」
アレンが洞窟で結界に閉じ込めたイェーガのメンバーの1人。
「イェーガじゃねぇのに、石を目に埋め込んでやがるやつがいるって情報」
「そうか、ならもっと警戒するべきだな」
アレンは自分を結界で囲っていた。
「もう1人には逃げられたなっ…」
男はそう呟き、アレンを睨む。
「俺の光弾をモロに受けたのか、痛かろぉにっ」
男のもう片方の目が光る。
筋肉強化のナタストーン。
男は拳を握り、結界を殴りつけた。
ビシっ……。
結界にヒビがはいった。
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