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はうたゆしか

57 一族という呪縛


「俺らにとってアレンの過去なんてどうでもいい!」

ミヅキが叫ぶ。

「俺らにとってアレンは仲間だ!アレンにとっても俺らは仲間だ!!」

セイレンはゆっくり立ちあがり、ミヅキの言葉を聞く。

「利用されてるなんて考えないし、ありえない!俺たちっていう仲間を大事にしてる!」

「たとえ過去に人を何人殺めていても、俺が知ってるのは、俺の仲間は今のアレンだ!!」

ミヅキはさらに続ける。

「どんな過去があってアレンが気にしてても、俺は今のアレンを受け入れる」

ミヅキが言い切ると、セイレンは笑う。

「それでもルチャルドの名には抗えない。過去は消えないし、アレンは一生一族の名に囚われる!!」

ルチャルド一族として、一族の伝統のために王族を守り、王族を守るために、その手を汚した。

「ただの血の繋がりが何よ!!」

サヤカがセイレンに叫ぶ。

「一族の名は血の繋がりだけで人を縛る呪縛!それを絶つことはとても辛いことなのよ!」

何も考えず、疑問を持たず、言われるがままに一族にいれば。

血筋の通り生きれば、世界に1つの家族と別れる必要はなかった。

父も母も兄弟も、その人らとの幸せも、失う必要はなかった。

アレンもサヤカも。

「孤独ってのは何よりも辛いことだ。俺たちは同じ目的を持った仲間として一緒にここまで来たけど、そんな簡単な仲じゃない」

トエムが言う。

「お前らがアレンのことをなんと言おうと、俺が信じるのはアレンだ!」

ミヅキがセイレンの目を見て言う。

「……このまま反逆者を続けて、無事でいられると思うなよ」

セイレンが立ち上がり、ミヅキらは構えた。

しかし、セイレンはさらに奥の部屋へ向かう。

「今日のところは、お前のツレに免じて見逃してやろうアレン。だが、次はない」

セイレンはそう言い去る。



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