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はうたゆしか

56 無の日々


「どうした!マサムはどこだ!」

アレン走ってきた兵士に問う。

「て、敵が大砲を打とうとして、そしたら、マサムさんが、1人で止めに行って」

「それはいい!マサムの場所は!」

「ふ、…………船の上です…………」

「━━━!!!?」

アレンは言葉を失う。

頭の中で情報がぐるぐる回る。

船の上?

船は今跡形もなく消えたけど?

雷の雨が降り注いだのに?

アレンは何も言わず、船の瓦礫へ向かって走る。

7番隊の兵士もそれについて行く。

「マサム!どこだ?!マサムっ」

「アレンさんっ」

海へ入ろうとするアレンを兵士らが止める。

「マサム!!!マサムっ━━━━━━」


それからアレンの無の日々が続いた。

何も考えず、戦場では人を殺す。

出動のない日は、修行に励む。

マサムを犠牲にしてしまった自分の弱さを消すように修行した。

それでも、忘れないことがちゃんとあった。

マサムに言われたことだけは忘れない。

隊員という仲間を決して見捨てない。

それでも、アレンの心には穴が空いたままだった。

マサムの死から1年たち、12歳になった。

アレンは、フウレンやセイレンのやり方にたえられなくなり、一族から離れた。

それからひたすら、フウレンを倒すことだけを目標にして、シキの反逆者となった。

                                 *

「アレンはお前らとは違う」

幼い頃から戦乱の世と一族に囚われ。

隊長としてたくさんの命を預かり。

たくさんの人を殺し。

守りたいものは守れなかった。

アレンがこの自分の過去を言えなかったのは、たくさんの命を奪ったから。

そのことを知ったら、みんな離れてしまう。

「お前たちはこの有能な元隊長に利用されている。こいつはフウレンを倒すために王都を目指してるだろう」

セイレンが続ける。

「こいつは王都に入れないからな。お前らを利用して、」

セイレンが言い終わる前に、ミヅキがセイレンを殴った。

アレンの念力が解ける。

「ごちゃごちゃうるせえんだよオッサン!!!!」


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