作成中止
37 ドM筋肉野郎
「……っ、石の力を使いすぎたな」
ナタストーンの力を使うと、体力を消耗する。
アレンは肩で息をしながら歩く。
目を覆う布をくっつける磁力を使う体力がもったいなく、片目を閉じる。
目に入れられたナタストーンの体力消耗はさらに激しい。
ナタストーンには上・中・下のランク付けがあり、上級の石ほど体力消耗が激しい。
特に、実体のない能力のナタストーンは集中力を使うため1番体力消耗する。
(結界の力はしばらく使えないな)
洞窟の電流を抑えるだけでも体力消耗は続く。
ムクロはミヅキとサヤカの石を持っていた。
それと、おそらくトエムのであろう青い石。
3人に石を届け、リタを助けなければ。
他の敵と交戦しているかもしれない。
アレンは洞窟の電流を抑えながら奥へ歩いていく。
「いってえな!!」
「タフな野郎だなぁ~お前」
ミヅキは切れた口をぬぐう。
「溶岩を素手で貫通させるとか化け物かよ…」
「俺を足止めしてるみたいだけど。俺ったら足早いし筋力パワーでお前に捕まえられても余裕でふりほどけるんだぜ~?」
男は指の骨を鳴らす。
「はーぁ?!お前いま俺に足止めされてるじゃねえか!」
「違ぇ~よ、されてあげてるんだって」
「なんだお前。Mかよ」
ミヅキはぐっと手に力をいれ、溶岩の塊を作る。
「違ぇ~よ」
「このっ…」
大きい溶岩の塊を男に向かって投げつける。
「俺は戦いが好きなだけだぜぇ〜!」
ドゴォォォン!!!
男は溶岩を片手で殴りくだく。
「ドM筋肉野郎め…」
「なんっだその名前。俺はハレイだよろくしくぅー」
「きいてねぇよっ」
ミヅキはマグマを手からだす。
「あっぶな。おいお~い、溶岩はともかくマグマは熱ぃぜ」
「そりゃ悪かった」
ハレイにかわされ、ミヅキは小さく舌打ちする。
ゆるい喋り方で、ちゃらちゃらしてるやつだが、戦いはかなり強い。
「つ~かお前」
ハレイがミヅキに一気に詰寄る。
「俺をもっと楽しませろよっ」
ゴキっ…。
ミヅキは両手でとっさに顔面を守り、受け身をとる。
ハレイの目には、迷いのない殺意があった。
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