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はうたゆしか

30 ナパのターリム・トエム


「ミヅキお前これ持っておけ」

「ブレスレットぉ?」

「マグマのナタストーンだ。透明な石は上級者向けだが、1つならお前も扱える」

ミヅキはブレスレットを受け取る。

「島が見えた」

シオンが舵を取っている。

「船に荷物は置いていくなよ、何があるかわからないから」

「はーい」

4人は船から降りる。

「お前たち、よそ者っ。どこから来た!」

上陸すると、ミヅキくらいの年の青年がいた。

「旅人だ、ただの。観光するだけだ」

「観光か、残念なことに観光する場所はもうこのナパ王国にはない」

青年はそう言ってからりと笑う。

「なんだお前ぇっ、俺らをおちょくってんのか!別にナタストーンなんて持ってねえぞ!」

「こら、余計なこと言うな」

サヤカがミヅキにゲンコツをくらわす。

「ナパはな、ナパ王国は…ひと月前に滅んだ」

「はい?」
                                  ✣

ナパ王国は真ん中に1つ小さな村があり、それ以外は熱帯雨林に覆われている。

青年について行き、その村へやってきた。

村といえるような活気ある場所ではなかった。

瓦礫の山、荒れた荒野。

「ひどい……」

「俺以外は全員死んじまったよ…ここを壊滅に追い込んだのはシキ軍だ。俺は護衛警護の仕事をしてて、ナパにいなかった」

青年がゆっくり話し始めた。

「帰ってきたら、村は消えてた。両親も友達も消えていた…でも俺は!この村を愛していたから、絶対にまたここを活気づけてやる」

青年の目は力があった。

「俺はシキを絶対にぶっ倒す。悲しむやつがもう絶対に増えないためにも」

ミヅキは青年の肩に手を置いた。

「お前……あ。名前なに?」

「……テンション上げ下げすげぇな…俺はミヅキ。お前は?」

「俺はナパ王国ナパ村出身、ターリム・トエム16歳!以後よろしくぅっ」

「さわがしいやつ」

アレンが苦笑した。

「なあトム!ききたいことがあるんだ」

「おうなんだ?…って、トムじゃなくてトエムな!!」

「えーっ、ターリム・トエム、略せばトム」

ミヅキとトエムの口論が始まりだす。

「いい加減にしろぉっ」

サヤカの拳が2人に炸裂するのだった。

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