作成中止

はうたゆしか

29 アレンの右目


「アレン、お前それっ……」

アレンの左目は髪色と同じ青紫。

しかし、彼の右目は。

「“結界”の力を持つナタストーンだ」

薄い透明な赤色に輝くナタストーンだった。

「私が初めて会った時、透視してもその布の下は何も見えなかった」

サヤカがアレンに言う。

「この布は特殊な布だ。ナタストーンの力を無効化する」

「なんでアレンはそんなことになってんだ?」

「話したいとこだが、イェーガを追うのが先だ。ミヅキは今すぐ退院、出発するぞ」

アレンはそう言いドアの方へ歩き出した。

「で、でもアレンさん。ヤツの居場所が分からないのよ」

「いや……そうでもない」

シオンがかえす。

「イェーガの拠点は世界にいくつかある。ナミザ王国から1番近いのはこの先の島国、ナパ王国だ」

4人は船に乗り、ナパ王国に向かうことに。

「ナパって人住んでるのか?」

「一応な。小国だが国だからね」

アレンが船の甲板で横になる。

「住民はおよそ1200人…、村がひとつの国」

「へーぇ、シオンお前なんでも知ってるなあ」

舵を取りながらミヅキが関心する。

「なーあアレンそう言えばさ━」

「しーっ、ミヅキ。寝かせてあげましょ」

ミヅキが甲板に目をやるとアレンが寝ていた。

シオンも柱に寄りかかってスヤスヤ寝ている。

「シキの基地で何かあったか知らないけど、疲れてるのよきっと」

「そうだね…お前がそういう気遣いができる女で安心した。ただの怪力オトコンナじゃなくてよかった」

「なんですってええ?!私はあんたみたいにガサツじゃないわよ!」

「お前が静かにしろっつったのにめっちゃ声でかいじゃん…」

ミヅキが呆れて言う。

「あんたが炊きたてたんじゃないの!これでおあいこよっ」

「なーんの騒ぎだ…?島が見えたか?」

「あーっほらサヤカのせいでアレン起きちった!」

「元はと言えばあんたが━━」

騒がしい船は真っ直ぐ、ナパ王国を目指す。


「作成中止」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く