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はうたゆしか

9 アレンの心の内


「つってもなあ、あの宿場町みたいに誰にきいても無駄だろうしなあ」

ミヅキは1人でナミザ王国をブラブラしている。

「暇だ……」

観光しにきたわけでもないミヅキにとって、1週間の滞在はただただ長いだけ。

一通りぶらぶらして、日が暮れてきたためアレンが決めた宿に戻ることにした。

「ん……?あれはサヤカ??」

戻る途中の路地裏で、サヤカが男何人かに囲まれていた。

「え!ちょ、サヤカ!!!」

その男どもは、サヤカを縛り船に連れ込み去っていく。

「嘘だろ……シキ軍か!」

「どうした」

追いかけようとしたその時、アレンが来た。

「アレン!大変なんだ、サヤカが連れ去られた!追いかけなきゃ!!」

「連れ去り?んん、追いかけることはあまりオススメしないがな…」

「はあ?!何言ってんだよアレン!仲間だぞ!!?」

ミヅキはアレンにそう叫んだ。

「俺は8年前も王を倒すために旅してた、仲間とね。そんとき連れ去られた仲間を取り戻せたことは1度もない」

「知るかよ!」

ミヅキはそう言捨てると、船を追いかけていった。

「まったく……どうしたもんだか」

アレンはそのミヅキの背中を見つめた。

「仲間…ね」

仲間とはアレンにとって心苦しい響き。

頼れて、頼られて、楽しくて、いつも一緒で、信頼し合えて、大切な。

しかしそれは、アレンが失ったものでもあった。

失えば、失うのが怖くなる。

8年前に仲間を全員失ってからは、心をひらく仲間をつくったことはない。

上辺の仲間。

「……あいつ」

ミヅキには、少し今までの人と違うなにかを感じていた。

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