作成中止

はうたゆしか

4 透視

木から落ちた人は、肩までのピンクアッシュの髪の女だった。

アレンは女の両腕を縄で縛る。

「シキ軍のやつかな…?」

「う………」

目を覚ました女の顔は世間一般でいう美人さんだった。

「っ、あんたたち!ちょっと、これ解きなさいよ!」

「そーんな殺意むき出しのやつ、野放しにするわけないでしょ。で、俺らになんの用かな?」

アレンがため息混じりに女に言う。

「うっさいわね、馴れ馴れしく話しかけてるんじゃないわよ」

「なんだお前、女らしくないなオトコンナタめ!!」

ミヅキが女を煽った。

「なによ!私はただあんたらのもつナタストーンを奪おうと思っただけ。でももう失敗ね、焼くなり煮るなり好きにしたら?」

女は怯える様子もなく、強気だった。

「なんで俺のナタストーンが見えてんだ?!」

ナタストーンを見られると、シキ軍に通報されたり、シキ軍の軍隊に襲われる可能性があるため、ミヅキはネックレスを服の下に隠していた。

「ふん、これも石の力よ。これも持ってくんでしょ?あんたらシキ軍の趣味だものね、石集め」

「シキ軍?それはお前だろ?」

ミヅキは顔をしかめた。

「…はあ?私をあんな奴らと一緒にしないで」

「俺らはシキ軍じゃない。ただの旅人だ。お前は何者だ、いきなり襲ったりして」

アレンは腕を組み、女を見下ろす。

「……あなたこそ何者?なぜナタストーンを5つも持ってるのよ」

「い、5つ…?アレン、お前」

ミヅキの言葉をアレンが遮る。

「俺は今、お前にきいている。お前も石を持ってるな?」

女の右人差し指の指輪には透明なナタストーン。

「私はシキ軍じゃない。私も言わば旅人。オリビア王国のシキの元へ向かう途中よ」

「オリビア王国……!」

「このナタストーンの持つ力は透視。これであんたらの石を見たのよ」

「透視か。お前はそんで、なんで俺らを襲った?」

アレンが1歩つめよる。

「…シキ軍だと思ったのよ。シキ軍なら始末してやろうって」

「始末?できるわけねぇーだろ、女1人で俺らを」

ミヅキが言う。

「やってみなきゃわかんないでしょ。あんたらこそ何者?」

「俺たちはシキをぶっ倒しにいくんだ!」

「俺たちじゃなくて、お前だけな」

ミヅキの言葉にアレンが付け足す。

「本当に、言ってるの?」

女の目つきが変わる。

ミヅキの言葉を疑うような、鋭い目つき。

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