皇子様にスルーされたら、ヤンデレ騎士?に愛されました

ブラックベリィ

017★ぼっちはイヤです



 なんで、そんな人が、私の面倒をみているんですか?
 じゃなくて、騎士様達の全力スルーってそういうコトですか?
 う~ん……なんか…おかしいと思います。

 思考が混乱した私は、ランドール様に説明を求めて呼びかけます。

 「えっ? えぇ?
  えぇ~とぉ……
  ランドール様ぁ?」

 私の言葉を途中でさえぎって、ランドール様は、甘く蕩ける微笑を浮かべています。
 そして、当然のように、名前を呼ぶコトを私に要求してきます。
 モブっ子の私にはキツイんですけど………はい、聞いてませんね、ランドール様ってば………。

 「アランですよ」

 これは、名前を呼ばないとまともに答える気は無いと判断して、私はランドール様の望むコトを口にします。
 嫌な予感が、バリバリと私の神経をかきむしっているけど………。
 そうしないと、先に進みそうに無いので………モブのぽっちゃり子が良いんでしょう?………でも、要求には応じますよ。

 「アラン様?」

 私が言いなりになったと判断したランドール様は、にっこり笑います。

 「そうです
  呼びやすいでしょう?」

 何でしょう、この超が付く美麗な大型犬は、満足げに私を見ています。
 でも、この状態なら答えてくれるかもと思って、私は質問します。
 
 「あ~…んと…アラン様って
  アルファルーラの
  皇族なんですか?」

 高貴な容姿に、高い能力がありそぉ~……と思っていたので聞いてみましたら、どうやら正解のようです。
 
 「ええ、確かに私は
  皇族に連なっています

  婚姻したなら
  臣下に降りる予定の
  皇位継承権の低い皇族です

  たぶん、今までの功績で
  侯爵あたりになると思います」

 私の聞いた以上の情報を、ランドール様は答えてくれました。
 でも、その中に…あれって思う情報が入っていました。

 確か花嫁募集中って言ってましたよね。
 なのにどうして、婚姻したら侯爵位をもらって臣下に降りるって言うんですか?
 相手がいないんでしたよね?

 私は首を傾げてしまいました。
 この時、本能的に、疑問に思っていても、それ以上聞かない方が良いって思ったんです………だから、ここでは黙っていました。
 そんな私に、ランドール様は、蕩けるような顔で甘く囁きます。

 「クスクス……静香の名前は
  2人だけで居るとき以外では
  口にしませんよ
  人前では、姫または、紫音と
  貴女が望むとおりに呼びましょう

  それで良いですか?」

 私を誑《たぶらか》して、どうするつもりなんでしょうか?
 なんか、外堀がざくざくと埋められている感覚が………。

 まっ…まさか…私を……は…花嫁に………。
 なぁ~んて…あるわけ無いわよねぇ~……。

 一瞬の夢っていうか…妄想でも…なんか…嬉しかったなぁ~………。
 乙女ゲームのヒロインになったような気がしたもの。

 その流れで、私は、にっこり笑ってランドール様に答えます。

 「はい…ランドー……」

 それなのに、途中で言葉をぶった切られてしまいました。

 「静香、私をアランと呼ぶと
  約束しましたよね?」

 あははぁ~……ランドール様って言おうとしていたからなんですね……この黒くて怖い微笑みは………。
 つーか、アラン様って呼ぶなんて約束はしてませんよ………怖いからいいませんけど(汗)。

 それとランドール様って、ロリコンのヤンデレ男なんでしょうか?
 もし、そうなら、地味で影が薄いちょいブスのモブでも、異世界人だからOKなんでしょうか?

 たぶん、アレをすれば、子供が出来るから……って理由で…私を…ターゲットロックオン状態なんでしょうか?
 もし、そうなら、マジで嬉しい。

 だって…あの美少女達は…あの皇子様(仮)の集団の誰かと結婚するだろうから………。
 待望の子供を生める異世界人なのに………花嫁として召喚されたのに、肝心の皇子様にスルーされたまま放置されるのは嫌です。
 ぼっちは嫌です。



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