皇子様にスルーされたら、ヤンデレ騎士?に愛されました

ブラックベリィ

016★名前を名乗られちゃいました



 何か怖い………じゃなくて、約束なんてしてませんよ。
 一方的に、約束と言っただけじゃないですか………って口応えが出来ません(ガクブル)。

 だって…こう…なんかここで逆らったら、さっきのハードなベロチューより酷いコトをされそうなんですよねぇ………(涙)。

 心底びびった私は、ランドール様に従うコトにしました。
 というか、そんなに知りたいものなんですか?私の名前。

 言っちゃなんですけど、デブス……いやいや、容姿が並みのモブでぽっちゃり子な私の名前。
 そんなに聞きたいモノなんでしょうか?
 まぁ花嫁召喚って言ってましたし………私も、召喚された者のひとりだと、ランドール様は言ってくれましたけどね。

 まぁ、怖いっちゃー怖いんですけど、それだけに魅力あるんですよねぇーランドール様のお顔って………バリバリのイケメンにくらくらします。
 あげく、とんでもないイケボですよ。

 そんなランドール様に迫られて、抵抗なんて出来ませんよ。
 それに、フルネームを言えって言われたんじゃ無いから………たぶん、名盗りはないでしょう。
 って、自分を誤魔化して………ランドール様の問い掛けに答えます。
 
 「うっ…静香です」

 名前を聞いた途端に、ランドール様の黒くて怖い笑顔と雰囲気が、かき消すように綺麗さっぱりと消えました。

 今までの迫力はなんだったのでしょうか?
 そんなに、私の名前を聞きたかったってコトでしょうか?

 そして、甘く蕩けるようなエロっぽい………いやいや、大人の色気を前面に出してくれなくても良いんですけど、私がぞくぞくするような笑顔を浮かべてくれます。

 これはこれで、怖いって思います。
 ランドール様に、声を大にして言いたい………本気で。
 私は、彼氏いない歴と年齢が一緒の清らかな乙女なんですよぉ~………ぐっすん(涙)。

 そんなに…大人の色気たっぷりで…微笑《ほほえ》まれると、ありもしない貞操の嬉々……じゃ無い、危機を感じてしまいます。

 いたいけな乙女というか、イタイオタク少女の私を追い詰めないで下さいよぉぉ~………ガクブルなのにゾクゾクもします、何故(困惑)。
 これ以上されると、ランドール様の行為(本当の名前を聞き出す)を、勝手に私への好意に変換するっていう、イタイ状態になりそうなんです。

 だって、私ってばモテたコトないし………空気扱いが多いし(涙)。
 このままじゃ私は、乙女ゲームの悪役令嬢小説に出てくる、超が付くイタイヒロインになってしまいそうです。

 残念な私には、ビッチは付きません。
 そこまで、イッっちゃえませんから………。
 イケメンに抱っこされたぁ~…なんていう、愉悦感《ゆえつかん》になんて、浸《ひた》れませんよ。

 だと言うのに、色々と苦悩している私を、更にランドール様は追い詰めてくれます。
 そう、ランドール様は、また魔法の呪文を唱えながら、私の左右の耳を交互に甘咬みしてくれました。
 だって、なんか背筋がゾクゾクするんです………色々な意味で(泣)。

 それって何なの?意味不明な行為と悪寒?に、私は怯えてしまいます。
 涙目になった私に、ランドール様は、目尻や目元に口付けしてから顔中に口付けしてくれます。

 シチュ的には、もう露骨にラノベのヒロイン的な何かを超えて、乙女ゲームのヒロイン並みな状態………いやぁぁぁ~…どうしたら良いのぉ~………こぉ~わぁ~いぃぃ~(イケメン恐ろしや)。
 こころの中の叫びを、表面に出すコトも出来ずに、ほとんど硬直してます、私。 

 なのに、周囲にいる騎士様達は全然スルー状態で、誰もランドール様のコトを注意してくれません。
 私は、見えてないんでしょうか?
 
 じゃなくって、今、私達は馬に騎乗して走っているんですよ………そう、私はランドール様に抱き抱えられているまんまなんです。
 車でいうなら、まさにいちゃいちゃしていて前方不注意真っ最中のバカップル状態なんですよ。

 いや、自分で言うのもなんですけどね。
 今まさに、マジでその状態と一緒なんですけど………。
 誰も止めてくれる人はいません、いや、マジで私が困るんですけど………。

 ピンクになってしまう意識をむりやり現実に向けている私に、やっとランドール様が話しかけてくれました。

 「姫、私の名前は
  ランドール・アラン・
  アルファルーラですよ

  これからは、私のコトは
  アランと呼んでくださいね」

 ええぇ~とぉ~……もしもし、その名前って、この国の名称が入っていますよ。
 それだと、ランドール様って、皇族ですよねぇ………えぇぇぇぇ~………どうしよう(脂汗)。





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