皇子様にスルーされたら、ヤンデレ騎士?に愛されました

ブラックベリィ

002★どうやら、召喚されてしまったようです

 私がモブとして黙って見ていると、黒髪ロングの美少女が小さな声で言う。

 「ここは、何処なの?」

 ああ、やはり美少女だけあって、声も可愛いですね………うぅぅぅ……うらやましいですぅ~………。
 普通・並み・中の中………多分…な私なんて、声も怖くて出せませんよ。
 げふんげふん……いや、並み以下ですよね、デブスですから………いや、ここは………そう、ぽっちゃりで………じゃなくて………。
 流石、美少女、メンタル何気に強いですね………モブは目立つとイジメにあうんで、大人しくしてます。
 なんて思っていると、茶髪ロングの美少女も囁くような声でポツリと言う。

 「まさか…異世界…召喚…?」

 やはり、こちらも可愛らしい声です………本気でうらやましいですよ、えぇ~えうらやましいです(泣)。
 そして、やっぱり綺麗は強いというコトで、メンタル強いですね。
 美少女が2人も揃うと、停止した時すら動くという感じですね………ほら………。

 彼女達の声で、止まっていた時が動き出したようです。
 今まで動かなかった、キラキラ皇子様(仮)に、魔法使い様?や神官様?に、騎士様も動きだしましたよ。
 そう、真っすぐに美少女達の下へと………。

 うふふ………やっぱり…私みたいな、地味なモブは…虫、いやいや、無視されるのね(涙)。
 だって、視線さえ向けられていませんよ。

 完全に、私の存在をスルーされています………でも、無視されているなら、酷い目に合いませんよね。
 たぶん、きっと、あの人達のカンに障る事をしなければ(冷汗)。
 私の視線の先では、いつの間にか、あのキラキラした皇子様(仮)の集団が目の前に来て居る。

 そして、テンプレの動きをしてくれる。
 真紅の髪の皇子様(仮)が、黒髪の美少女に手を差し出す。

 「姫、お手を………」

 あはは……まるで…リアル○ズニーのシンデレラねって思ったわ。
 そして、言葉が通じるコトにほっとしたわ。

 異世界召喚の言語チードありのようですね。
 それは、私にも適用されています………ホッとします。
 そして、異世界の【理(ことわり)】って、デブスも美少女も分け隔てないんですね(喜)。

 うん、真紅の髪をしているから、赤皇子(仮)でイイよね。
 その声は、かなり耳に聞こえが良いわね………まぁ~声優様にはかないませんけどね。

 どうせ、こっち(=私)なんて目にも入れて無いんだから、こころの声なんて聞かれる心配ないだろうし、何を考えても良いよね。

 良かったわぁ~………ラノベでは、聖女のみが言葉を話せて、巻き込まれの少女(または、男の子やおっさんやオバサン)はまったく言葉が通じなかったり………なんて、設定もちょくちょくあったものね。

 ふむ…言葉が通じるなら…お城の下働きは出来そうって思ってほっとしたよ(ホッ)。

 そんなコトを考えている私の目の前では、映画のワンシーンみたいなコトが行われていた………恥ずかしげも無くよぉーやるわ(笑)。
 赤皇子様(仮)の差し出された手を見て、黒髪の美少女は頬をピンクに染めてから、その手の上に手を載せる………うん、テンプレね。

 すると、手を掴まれてクイッと引っ張るのに合わせて、優雅に彼女は立ち上がる。
 同じように声を掛けられて、茶髪ロングの美少女も手を差し出されている。

 茶髪ロングの美少女に手を差し出した皇子(仮)は、新緑の色の髪だから………うん、緑皇子(仮)で良いかな?
 うん、緑皇子(仮)もそこそこイケている声だわ、流石に………まぁ、憧れの声優様達に比べれば………だけどね。
 負け惜しみじゃないよ、本当にそう思ったもの………。

 じゃない、これは、さっさと自分で立ち上がらないと、間違い無く不味い。
 そう思った私は、さっさと立ち上がる。

 いや、ここに置いてけぼりされるのは流石に勘弁して欲しいもの………右も左もわからない異世界ですから………。
 ただ、言語チートあるなら色々と出来るコトがあるよね………たぶん。

 まぁ、残念とは思いませんけどね、あと4人もキラキラ皇子様(仮)が残っていても、私の前には来ませんでしたから………いや、視線すら貰えませんでしたよ。
 まぁ…ある意味で残念ではあるけど、別のところでホッとしている私は、ソッと溜め息を吐く。

 だって、皇子様(仮)に絡まれるってコトは、陰謀渦巻く世界にようこそって感じですからね。
 触らぬ神に祟りなし………皇子様(仮)と書いて、禍(わざわい)と読む………になんて、自分から近付きませんよ、安全第一。

 じゃなくって、さっさと自分で立ち上がってなければ、彼女達に付いて歩いて行けないって思ったから………自力救済ですよ。

 2人の美少女と同じように、召喚された私をまるっと無視して、赤皇子様(仮)は、どこか演技っぽい表情と動作で言う。
 うぅ~ん………どこのミュージカル?…ウソくさいわぁ~…(ケッ)。

 「ここでは、話しが出来ませんので
  場所を移します」
 
 そんな赤皇子(仮)の言葉に、美少女達は声を揃えて答える。

 「「はい」」

 そして、騎士達に先導された、赤皇子様(仮)と緑皇子様(仮)にエスコートされた2人は、ゆっくりと歩き出す。

 その後を、残りのキラキラした4人の皇子様(仮)が付いて行く………なんの為に居たんでしょうかねぇ?
 でもだからって、ひとり私にも皇子様(仮)を下さいって………思いませんでした、本当だよ。

 だって、視線すら向けてくれないんだもの、私だって自分の立ち位置ぐらい判るし………。
 デブス…げふんげふん…モブのぽっちゃり子の立場をちゃーんとわきまえているわよ。
 だって、あのキラキラ皇子(仮)に、隣りに立たれたりしたら………いたたまれないって思うモノ。

 それに、好みじゃないのよねぇ~………いかにも、俺様ってさぁ。
 皇子様やオジ様じゃなくて、青年で筋肉質の大人の男の人が好きなんだよねぇ~………私って。
 好みの範囲が狭いのよね。

 それに、ちょっとMって気があるから、ヤンデレ風味が好きなのよねぇ~。
 ヤンデレじゃなくって、ヤンデレ風味、ここが大事ね。
 軟禁、監禁は御免よ。
 
 私の複雑な気持ちなんてそっちのけで、美少女2人の手をとった赤皇子(仮)と緑皇子(仮)と、その両隣に侍る4人の残りの皇子様(仮)を警護する為なんでしょうね………騎士達の集団も、それに合わせるように歩いて行く。





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