初級技能者の執行者~クラスメイトの皆はチート職業だが、俺は初期スキルのみで世界を救う!~

出無川 でむこ

第39.5話 私は勇者になってしまったようです・・・(上)の話

いきなりだけど、僕の・・・いや"私"の名前は御剣 正義
父は日本人、ママはロシア人
父は厳しい人で、ママは優しい人だ。


世界3代大企業の御剣家の子として生まれてきたのが私だ。


それ故に将来は父の会社を継ぐ為に勉強をしなければならない。
勉強はもちろん、武道、水泳、音楽などを嗜んでいる。


そんな私は悩みがいくつかあります。


一つは、もう少し"可愛らしい"名前にして欲しかった。
クラスメイトの美空さんや七海さんみたいに!!
せめて中性的に、勇(いさみ)とか悠木とか色々あっただろうに、何故、正義(まさよし)にしたんだ!!


もう一つは、私は"女"だ!
皆によく勘違いされるけど、私は女だ!
厳しい父は会社を継がせる為に"男"として育てられたのだ。
だからって、徹底的に男に育てるからって名前まで男にする必要はないだろう!
おかげで名前がコンプレックスだよ!チクショウメ!!!



誕生日プレゼントは全て男物で、女の子の物を見つけられたら父に全部燃やさせるのが日常だった。
正直、会社は継ぎたくないし、自由に生きたかった。
可愛いものがとても好きな普通な女の子なんだけどなぁ・・・。


だが、私にも救いがあった。
それは、ライトノベルとアニメだった。
父には文学の本だと言ってごまかすことができたのだ。


私にとって唯一の娯楽で自由だった。


"非日常"


私の縛れた生活では、かけ離れた存在の物だった。
それもある意味に"非日常"かもしれないけどね。


ライトノベルとアニメには異世界転移、異能バトルなどの心揺さぶれるものが沢山あった。
自由に冒険したり、仲間との友情、そして好きな人との恋愛。
それが分かりやすく表現されてて好きだ。
中には複雑な物あるけど、私が読む物は大半分かりやすものばっかりだ。


私は読むたびに言う。


「いいなぁ…」


だって!羨ましいじゃん!異世界転生とか!異能バトルとか!
ブワァアア!シュビビビ!スガッシャーンって感じでさ!!
私にも異能能力が欲しいと思うもん!!!


ふと我に返る。
私は自分の机に突っ伏して、唇を尖らせて言う。


「今の私の考え方、絶対脳みそ溶けてたわぁ、偏差値10以下だわぁ・・・」


私は考えるのをやめて、明日の学校に備えて準備して寝ることにした。
明日は帰りに好きな作家の新作のラノベが販売されるんだ、学校が終わったら買いに行かなきゃ・・・。


布団に潜って私は寝た。


その日の夜は夢を見た、だが覚えていない。
ただ、言えるのはそんな気持ちの良い夢ではなかったのだ。
私は慌てて起きると、パジャマが汗まみれで気持ち悪かった。


「着替えるか・・・」


私は服を脱ぎ、男性制服を着て家を出た。
ママは心配して、車で送ろうとするが私は一人で行けるから断った。


――――学校


ところで先ほど私は悩みがいくつかあると言ったんだけど、実はまだもう一つあるんだ。
それは・・・。


すると、教室のドアからガラッと音が聞こえ振り向く。


「おはよう」


そこには黒杉 楊一がいた、そう彼が問題の相手だ。
何故、問題なのかって?


そ、それはだな・・・。


「おはようございます」
「おはようだぜぇ」


それに続いて出てきたのが、晴渡さんと山崎くんだった。
幼馴染かぁ・・・、羨ましい。
すると、黒杉くんに向って歩いていく姿見えた。


「おい!黒杉冴えない顔してんな!!」


この人は板野、いつも黒杉くんに突っかかってくる人だ。
私は止めようとするがその前に動き出した山崎くんがいた。
山崎くんと板野はいがみ合うがここでチャイムが鳴って、お互いに舌打ちをして席に戻った。


(今回も助けられなかった・・・)


すると、後ろから声を掛けられる。


「御剣さん、おはよう」


「あぁっ、おはよう!?」


声を掛けられたのは後ろの席の黒杉くんだ。
急に声を掛けられたから、声が裏返ってしまい変な声が出てしまった。


(やっばぁー・・・、絶対に変だと思われた!絶対に思われたー!)


尚、本人は気にしていない模様。
私は机に突っ伏して、恥ずかしくて悶えた。
私は足を小さくじたばたさせた。


そう、私の悩みは、彼に"恋"をしているのだ。
何故かって?


詳しく話をすると長くなるから、省略するけどあれは私が小学二年生の時の頃だったかな。
ある時、父親に隠れて女性物の服で遊びに出かけて言ったら、誘拐されたのだ。
そんな時、助けに来たのが黒杉くんだった、彼は私だと気づいていないけど私は覚えている。
助けに来てくれた時は本当にかっこよかった。
あぁ、本当に"王子"っているんだなって思った。
それからは彼を影で追いかけるが、あれから一度も声を掛けられなかった。
むしろ、忘れられている・・・悲しい。


私は突っ伏していると、もう少しで9時になりそうだ。


8時59分


御剣の耳に秒針の音がより大きく聞こえてくる。


(ん?何こんなにも聞こえるんだ?)


私は顔を上あげて時計を見る。


8時59分


チッチッチ・・・


時計の秒針が少しずつ近づくと音が大きくなる。
その音を聞くと不安が襲って来る、なんでどうしてなんだろう?
教師の声が聞こえる。


「黒杉!!」


返事をしない黒杉くんを見ようとするが、時計から目が離せなかった。
私は頭の中で混乱する、冷静を保とうとすればするほど冷静で入れられなくなった。


「おい、黒杉!!」


その瞬間、教室が揺れ始める。
周りの人達はその突然の事で叫ぶ人や机の下に隠れる人もいた。
床を見ると赤い魔法陣が出てくる。
私は黒杉くんに振り向いて声を掛けようとするが出来なかった。


「「楊一!!」」


黒杉くん手を伸ばす、晴渡さんと山崎くん。
そんな状況で私は思う。


(羨ましいなぁ・・・)


私にはそんな親しい仲間はいなかった。
どんなに才能があっても、私に近づいて仲良くしてくれる人はいなかった。
ただ、その姿を遠くで見てる事しかできなく。



意識はここで途切れた



気が付くと、見覚えのない景色が目に映った。
私は起き上がって見渡せば、周りに騎士っぽい人と何か渋いおじさんが立っていた。
どうやら、黒杉くんは既に起きてた。
周りの生徒達は次々と起き上がってくる中でおじさんが前に出て言ってくる。


「ようこそ!勇者殿!貴方達を待っていた!」


勇者?何のことだ?
私はただただ混乱した、このような"非日常"な出来事に。



          

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