初級技能者の執行者~クラスメイトの皆はチート職業だが、俺は初期スキルのみで世界を救う!~

出無川 でむこ

第34話 対策とハグレの新作武器の話

俺達はあの後、ハグレにエンジニア室に来てくれと言われて、ハグレの元に向った。
不思議と基地の中は静かだった。
すると、ファフニーが呟く。


「何か静かですねぇ。主人」


嫌な予感した。
いろんな意味で。


「基地の中には、人影がないしさっきと・・・」
「言わせねぇぞ!!?」


思わず、突っ込んでしまった。
大声で叫んでしまったのか。ファフニーは困惑している。
何というか、あのまま言ってたら俺が死にそうな気がしたから止めた。


俺はしばらくツッコミを入れているとエンジニア室の部屋前に着いた。
ノックをすると、向こうのドアから「どうぞ」という声が聞こえた。
中に入ると、ハグレとサンクがいた。


「あれ?サンクさんもハグレさんに呼ばれたんですか?」


「いいえ、私はハグレさんに武器のカスタマイズを頼んだのでそれを取りに来たのです。」


ハグレは黒い箱がバック上になって背負ってた。
俺は気になって、ハグレに聞くけど・・・。


「現場に到着してからの楽しみです。」


そう言って、サンクは黒い箱を担いでハグレの部屋から出て行った。
俺は再びハグレの方に振り向くとクレナに抱き着いていた。


「おぉー!娘よぉこんなにも可愛くなってー!」


「パパ、油臭い!!!」


ハグレは娘の言葉にショックで涙流しながら地面にうつ伏せになった。
俺は声を掛けるが次第に涙の水たまりができていく。


「お前のパパ・・・、メンタル弱くないか?」


「ふん、何時ものことよ!パパ早く起きて!」


ハグレは起き上がらない。
どうやら死んでいるようだ。
しょうがない・・・、クレナに一芝居うってもらおう。
俺はクレナに耳元にボソボソ話す。
少し嫌な顔してたが、仕方ないという顔で応じた。
クレナはハグレに近づいてそのまましゃがみ込んだ。


「パパ?」


クレナはハグレの体を揺さぶる
しかし、起き上がらない。
すると、クレナが手を顔を抑える次第に声を震わせる。


「パ、パパ・・・うぇぇん、パパが死んじゃったぁあああ」


俺はクレナの演技が思ってた以上にうまくてびっくりしてる。
その証拠にハグレの体が震えているのが分かる。


「ヒック・・、ぱぱがいないと寂しいよ・・・私を一人にしないで」


おぉ、効いてる効いてる。
今でも飛び上がりそうだ。
クレナの演技が徐々にエスカレートしていく。


「また、一人になっちゃうの?嫌だよ・・・黒い箱にまた一人になるなんて嫌だよ。
パパの大好きだから起きて・・・お願い!」


我慢の限界なのか、ハグレは大量の涙を流してクレナに抱き着こうとした。


「うぉおおお、クレナよ!俺は生き返った!!パパが悪かった!!」


しかし、クレナはひらりと避けて、俺の元へ戻る。
ハグレの抱き着こうとした、腕は空振りそのまま地面に落ちた。
なんという、気の毒になってきた。


「ヨウイチ、パパが起きた。」


「あ、あぁ、ありがとうな。」


クレナの表情はいつも通りに戻る、というかさっきよりも無表情になったような気がするが気にしないでおこう。
ハグレは起き上がって、捨てられた子犬のような顔をしていた。
まぁ、クレナが好きなのは分かるが、愛が強すぎなんだろう、うん。
俺は申し訳ないが、ハグレに話しかけた。


「すまないな、取り合えず来たぞ。」


「あ、あぁ・・・、悪いな」


真っ白に燃え尽きてんな。
まぁ、ハグレの事だ、時期にいつも通りに戻るだろう。


「で、今回はなんで呼び出したんだ?」


「あぁ、実はな羽咲さんの対策の為にだな、武器を作ったんだ。
というよりも、旦那のステータスは低いだろう?」


「まぁ、そうだが・・・」


まぁ、村人だからステータスが低いのはしょうがない事だ。
それは俺でも知ってる。


「それを補う為の防具と武器を作ったんだ。」


おぉ!それはありがたい!
俺は新しい武器が貰えると聞いて、少しワクワクした。


「まぁ、月ノ城は知っている通り、魔素と魔力を"殺す"。」


「あぁ、そうだな、外側の魔力と魔素を殺すんだっけか。


ハグレは頷いた、するとカウンターの下から、黒い箱が五つ並んでた。
これは、なんだと思い聞いてみる。
ハグレは黒い笑みで浮かべながら話す。


「クックック、元々旦那用に作ったものだが、良いタイミング来てくれた。」


「良いタイミングとは?」


「この武器はだな、魔力と魔素を必要としない火力武器なんだ。
いや、詳しく説明すると使うのだが極限に魔力と魔素を抑えた火力武器だ。」


ほぉ、それは興味深い。
それに随分と勿体ぶるじゃないか。
俺の表情に察したのか、ハグレは笑顔で箱を開けた。
そこには・・・


「銃だと?」


「あぁ、この世界じゃ、珍しい武器だろ?」


そう銃だった、確かに魔力を使ずに高い殺傷能力を持つ武器としては良い武器だ。
しかし、あの月ノ城さんに本当に効くのであろうか?


「一応、魔力で調整も可能だ」


そういうと、ハグレがいつの間にか用意した、的があったそれに向って撃つ
パァンと音が部屋に響き渡る。
的は砕けた砕けたのだった。
俺は思わず、口を開けて歓声を送った。


「すごいな」


「だろぉ?あの的は鉄製なんだが、見事に砕いただろ?」


鉄製で粉々になるとか凄まじいな。
やはり、日本にいた頃と違って、魔力を使っているのか威力は段違いだった。


「だが、これはほとんど魔力使ってないんだ。」


「これで使ってないのか!?」


それでもう一つ銃を出してくる。


「これは近接用にショットガンも用意しておいた。」


成る程、新しい武器は頼りになりそうなのが分かった。


「あと、この弾だ」


ハグレは銃弾を見せてくる、それは一般的な銃弾に見えるのだが。


「普通の銃弾見えるのだが」


「だが、これは魔鋼石を使った銃弾だ。
俺がちょっくら加工して、外側に魔素と魔力を纏わせずに内部に纏わせるように改造したんだ。
そうすれば、弾は弱体化しないで打てるだろう。」


なんとも、器用なことをしてるもんだ。
ハグレは俺に真っすぐ目を見て話す。


「確かに羽咲さんは俺達の事を知り尽くしてるかもしれねぇがだからってこのままじゃない
あくまでも羽咲さんが知ってるのは現状の俺達の事だ。
3ヶ月経った今でも俺達は進化し続けてるんだ、このままで終わる筈ないだろう?それに・・・」


ハグレは目を瞑る。


「それに?」


「それにだな、俺達だって羽咲さんの事を沢山知ってるさ、何も羽咲さんの特権じゃねぇだよ」


確かにそうだ、月ノ城さんが皆の事を知ってる、だが逆もその同じで皆も月ノ城さんを見ている
それはこのフウェズルングの彼について行くからこそだろう。


「さて、他にも武器を用意をしたんだ。」


「ほぉ?他には何があるんだ?」


「旦那の技は大量に魔素を使う技が多いからな、魔素を使わない物を作ってきたんだ。
まぁ、ある程度使うものはあるけどな」


そう言って、次の小さな二つの黒い箱から取り出したのは、筒状の物と小さいパイナップルみたいなものがあった。
そうこれは、手榴弾とスモークグレネードだった。


「この手榴弾は、この世界で一番の爆発を誇る爆瀑草(ばくばくそう)を使ったものだ。
流石に旦那の極限ノ砲には敵わないけど、魔力を使わずに純粋の爆発力に特化した物だ。
下手な中級魔物なら木っ端微塵だぜ」


また、物騒なものを・・・。
次に紹介されたのはスモークグレネードだった。


「これはだな、魔力感知を阻害するスモークだ、いくら殺意で魔力を殺しているからって、視界を奪う事ができれば隙にはなるだろう。
それに魔力感知を使うことができなければ、いくら羽咲さんでも苦戦するだろ。
それと旦那の視界を防ぐとまずいからそれ専用のゴーグルも作っておいた使ってくれよ。」

「なるほどな」


次に紹介されたのは、小型通信機だった、軌光石を応用したマイクイヤホン型通信機らしい。


「これは、サンクにも渡してあるからな、これでうまく連携を取ってくれ」


そして、最後に新しい防具だ。
見た目は、多少変わったが、相変わらずの黒い衣装だった。


「これは、アダマンタイトを練りこんだ糸で縫った物だこれでより丈夫に軽くなるだろ
それと、身体強化系の魔法を使えばより効果を発揮してくれるだろうさ。
流石に、キャットうーにゃんスーツ程ではないが、十分機能してくれるだろう」


キャットうーにゃんスーツって・・・やはりお主が名づけ親なのか?
ハグレから貰った、武器は収納に入れてコピーが可能な手榴弾とスモーク、銃弾はコピーしておくことにした。
ハグレにはいつも助けてもらってる、今度腕を振るって料理を作ってあげようと伝えると。


「おう!そりゃあ楽しみしてるぜ!旦那の料理はうめぇからな!」


と言ったのだった。


「さて、出発は明日だな、ハグレありがとな!」


「おうよ、困ったときにはいつでも言ってくれよな!」


俺達は互いの拳を合わせて挨拶してエンジニア質に出て行ったのだった。
そして、明日の戦いに向けて備えた。

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