初級技能者の執行者~クラスメイトの皆はチート職業だが、俺は初期スキルのみで世界を救う!~

出無川 でむこ

第7話 料理とヒロインの話

――――――???


彷徨って三日目。


身体中がいたい、まだ身体的な打撲が治っていない。


僕は立ち上がった、ふと周りを見渡すとさっき見た剣が落ちてた。
僕は、この剣をどこかで見かけた事はある。


僕は、必死に思考を巡らせる
そうだ、あれは訓練に使っていた剣
何故、忘れていたんだろうか
あれは”板野”の剣だ。
僕は気づいてしまった、僕は激しい怒りを覚えたのだ。
そして、強く握りしめた僕の手は傷ができ血が滴っていたのだ。
僕は壁を殴った、この怒りを何処にぶつけたらよいのか。
僕は最後に不気味に笑顔になった、板野を思い出す。


クッソ!!腹立つ!!


何故僕がこんな目に合わなきゃいけないんだ。
僕は何もしていない、ただ皆の為にサポートだってやってたのに
何故僕はこんな痛みに耐えなきゃいけないんだ!!何故だ!!


ふざけるな!!クソ!!!クソッ!!!
生き残ってやる、絶対生きて帰ってやる!!
一人でも元の世界に帰ってやるんだ!


何が勇者だ!何が救ってくれだ!!
勝手に呼び出しておいて、俺一人だけ死んだことになってると思うとすごい腹立つ。


そっちがその気なら、俺は一人で自分の世界にかえってやるさ。
俺はアイツを許さない。


黒杉の心は何かメラメラしたようなもの感じた。
何かドス黒いものが襲ってくる。
この気持ちはなんだろうか?
今までにない気持ちだ。


そう言って、板野が持っていたであろう剣を手に取り
いつか、この剣をアイツに返す為に腰に装着した。


歩き続けると、ある場所にたどり着く
こんな谷なのに、草が生えてた。
僕は普通じゃありえない場所に自然があったのだ
これは魔素で育った自然であろうか?
幸いにも、食べるものがあった果物があったのだ
ひとまず、空腹で死ぬことはない。
そして、水があるのだ。
黒杉は三日間飲まず食わずの生活が続いたのだ。
水をみつけた黒杉は水を見つけ手に救って飲み始める。
身体中に染み渡る、改めて生きてる実感が沸いたのだった。
黒杉は周りをみると、見たことある物があった


「薬草だ....」
黒杉は薬草を摘み口にいれた。
そうすると、みるみると体の傷が治っていく


「なっ…!?」
それもそうだ、普通の薬草ならここまで回復するわけがないのだ。


「すごい!すごいぞ!これならしばらく暮らしていける!」
そう言って、僕は果物を取ろうとすると


「グルルルルッ・・・」
「ッ!?」


いつのまに、魔物がいた。
ここは俺たちの縄張りと言わんばかりと威嚇してくる。


「ック...!折角生きたんだ!俺はまだ死ねない!」
そう言って僕は短刀を取り出す。


狼っぽい魔物は全部で5匹だ。
正直、詰んでると思っている。
だからって俺はここで死のうとは思わない、意地でも生きて見せる。


そう言っていると、狼の一匹が突進して噛みつく。
俺の片腕を差し出し、そのまま喉元を短刀を突き刺し一匹を絶命させる。


「クッソいてぇなぁ…」
そう言って、さっき拾った薬草を飲み込み、腕の傷を回復させていく。


「来いよ!わんころ!!お前たち全員ぶっ殺してやる!!」
そういうと、狼は威嚇して、2体同時に攻撃してくる。
突進してくる一匹は避けたが、もう一匹は脇腹に噛みついた。
グルルと音をならし、さらに強く噛みつく血は吹き出した。


「グァアアアアアアアア!?ふ・・・ざけるなぁ!!!!ふざけるなぁ!!」
黒杉は短刀で何ども突き刺す、何度も何度も狼の頭に短刀で突き刺す。
既に絶命はしているが、突き刺し続ける。
それを見た狼はの一匹は、短刀の持った腕に噛みつく。
持った短刀は、落としてしまう。


「邪魔だ、邪魔だ、邪魔だ!!ジャマダアアア!!!」
噛みつかれた腕を壁に叩きつける、それを何度も何度も
そして、10回ほど叩きつけて、狼は白目を向いて死んだ。


そして、残りに二匹は向って、睨みつける。
狼は明らかに狼狽えているようだ、たった弱そうな人間が自分の同胞が3匹も死んだんだ。
狼は自分の命の危険を察したのか2匹は逃げ出した。


「ハァ・・・ハァ・・・クソッ!」
壁を殴ったあと、薬草を飲み込んだ。
傷はみるみる、治っていき傷後がなくなる。
しかし、出血したことによって血が足りなく少し気分が悪くなる。
そうして、少し水辺の近くに横になった。
そのまま、目を瞑り眠りに落ちた。


―――――


久しぶりに見るな。
夢の中だ。
周りを見るといつもの少女がいた。


―――――――待ってる


いつものだ
なぁ、あんたはなんなんだ?


―――――私は、私は…
そういうと、悲しそうに俯く。
なんで悲しそうなんだろう


なぁ、せめて名前は教えてくれないか?


―――――私は、私の名前は■■■■■


聞き取れなかった、そう言って少女は光か闇かわからないものに吸い込まれ
消えていく。
そうして、僕は目覚めた。


「また、あの夢か。」
そう言って、起き上がる
どれぐらい、経ったのであろうか?
すくなくとも、体は大分回復した感じがする。
そういや、狼の死体が残ってるな。


黒杉は、狼の死体を担ぎ安全な場所で皮を剥ぐ。
意外と、なれた手つき捌いた。家でよく家事とか料理はしているが
剥ぐのは初めてだ、これも器用に影響されたのだからであろうか?
この世界でこの状況で初めて楽しいと思った瞬間である。


「ふふーん」
鼻歌しながら、皮を剥ぎ、内臓を取り出して、肉の血を抜く
血を抜かないと肉は腐りやすくなるからしっかりと抜かないといけない。
血を抜いた後は、水でしっかり洗って、完成だ。
肉を焼くのはいいが、調味料がほしいな。
幸いにも、果物があるからそれを使った料理でもいいな。
色々探していると、良い感じの石がいくつかあった。
石をうまく崩れないように、鎌倉の組み立てる。
自作釜土をつくる。そして、枝を拾って火をつける。


「さて、肉を洗いますかね」
捌いた肉を、水であらいながす。
血の汚れがどんどん取れていくのが分かる。


洗い終わった後に、木の実を細かく切る
そろそろ釜土が温まったところだろう
そして、釜土の上で肉を焼く
調味料は木の実と炒めて、完成だ。
「さて、お味はどうかな…」
僕は肉を口に入れた。
うん、最初にしては上出来なのでは?
てか、普通に食えるな。
久しぶりの食事だったのか、とてもおいしく感じた。


「はぁ、なんというか自分の環境適応が恐ろしく感じるよ」
そう言ってブツブツ言いながら食べるのであった。


そうして、食事は終わりここから抜け出すためにまた、道を探すのだった。
「そういや、あっちの方は探索してなかったな」
そういって、まだ探索していない場所を探し始める。


しばらく、1時間ほど歩いていくと


「なんだこれ?」
とてもでかい扉があったのだ。


「なぜこんな所に扉があるんだ?」
黒杉は扉を触る、どうやら見かけによらず重くはなく開けられるそうだ。
唾を飲み込み、ゆっくり開けた。
中を覗くと、そこには少女がいた。
どこか、見たことある。
綺麗な銀の髪、赤い瞳、透き通った白い肌
少女はこちらを見た。


そうだ、夢の中で出てきた少女だ。
すると、少女は口を開く。


「貴方は・・・誰?」
彼女は不思議そうに、黒杉を見つめる。


「君こそ、そこで何をしていんだ?」
「私は…」
そう何かを言おうとすると俯く


「どうした、何処か悪いのか?」
「ううん、違うの」
「じゃあ、なんだ」


黒杉はもどかしく感じる、ハッキリ言ってほしい。


「わからないの」
「わからない?」
「うん、なんでこんな所にいるのも、なぜ私は生きているのかもわからないの」
少女は無表情だが、どこか悲しそうだった。


「ふーん、そっか」
「うん」


黒杉はしばらく考えた。
少女をよく見る、足に鎖がついている。
動けないようにしっかり固定してある。
今更だが、服は殆ど破れて着用はしていないのと同じぐらいに薄かった。


「ったく、風邪ひくぞ」
そう言って、黒杉はローブを脱ぎ少女にかぶせる。
少女は不思議そうに聞く


「なにしてるの?」
「何って、そんな状態だと風邪ひくだろ?」
「風邪…、心配してくれるの?」
「まぁ、そうだな」


少女はクスリと笑い言った。
「ありがと、そういえば貴方の名前を聞いてなかった」
「俺か?俺は黒杉 楊一だ、楊一が名前だ」
「ヨウイチ?」
「そうだ。」


少女は自分の名前を何度も復唱する。
「ヨウイチ…ヨウイチ・・・フフッ」
「なんで笑うんだ?」
「いえ、人の名前を呼ぶなんて久しぶりな気がするの、それがちょっと嬉しくて」
「そっか、ずっとここに閉じ込められてたのか?」
「気づいたら、ここにいたのそうしたら何年も過ぎていったの」


そっか、この子はずっと孤独でここにいたのか。
「そういや、あんたの名前聞いてなかったな」
「私は、私は・・・」


少女は顔が少し悲しそうに俯く
「ごめんなさい、わからないの・・・」
「そっか、んー、名前がないのも不便だしなぁ」
「・・・」


黒杉は頭を捻りながら考える。
「アイリス」
「アイリス・・・?」
「そうだ、今日からアイリスだ」
「アイリス・・・」


アイリスはちょっとふにゃっとした顔になった、嬉しかったのだろうか?
「気に入った、アイリス・・・フフッ」
「気に入ってくれて、良かった」
「・・・」
「どうした?」
「いや・・・」


アイリスは何か言いたそうだ。
「聞きたいことでもあるのか?」
「ヨウイチは何故ここにいるのって聞きたかった」
「あぁ、なるほどね」


アイリスには全てを話した。
ここに別世界からやってきた、ここで修業をしたのと、そして同じ仲間に裏切られたという話
アイリスは真剣に聞いてくれた。


「ヨウイチ・・・悪くない・・・頑張った」
「あぁ、そうだな、でも僕は弱いし仕方ない」
「ヨウイチ・・・悲しい顔してる・・・」


そういうと、小さな腕で黒杉の頭を抱き寄せた。
そのまま、アイリスは優しく撫でた。
実に心地よかった、しばらくして、離れる


「ありがとう、アイリス」
「うん、私も誰かと話せてよかった」


しばらく、沈黙が続くがアイリスが話しかける。
「私、ヨウイチと一緒にいたい」
「俺とか?力もないし何もできないぞ?」
「それでも・・・良い、ヨウイチと一緒に行きたい」
「そっか、じゃあなんとかしないとな」


そう言って、楊一は短刀を取り出す。
「何をするの?」
「何をするって、一緒に旅をするんだろ?じゃあこれが邪魔だろ?」
「・・・!!」


楊一は鎖に指を指す
アイリスは目を丸くして楊一を見つめて言う。
「いいの・・・?」
「あぁ、アイリスはついて行きたいんだろ?俺は自分ができる限りの事を尽くすだけだ。」
「ヨウイチ・・・」


幸いにも、鎖は錆びていてなんとか外せそうだ。
短剣を鎖で叩く、何度か叩いているとヒビが入り
そして、パキンと音がした。
鎖が壊れた、同時に愛用していた短刀が壊れたのだ。


「これで良し、あーあ、愛用してたんだけどなぁ。」
「ヨウイチ・・・!」
「うぉっと!急に抱き着くな!ナイフ持ってるだろ、危ない!」
「ご、ごめんなさい・・・」


嬉しいのか、つい抱き着いてしまった。
しかし、怒られてしまってシュンとしてしまう。


「ったく、いくぞ。アイリス」
「うん・・・!」


そして、二人の旅が始まったのだった。

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