初級技能者の執行者~クラスメイトの皆はチート職業だが、俺は初期スキルのみで世界を救う!~

出無川 でむこ

第6話 ボス戦と裏切りの話

僕達は、洞窟に進む。
そして、かなり奥についた所で異変が起きた。
急にプレッシャーが襲ってきたのだ、敵の姿も見えないのに。
そのプレッシャーは徐々に近づいてくる、肌がピリピリする程に
プレッシャーはやがて、殺意に変わっていき、明確な殺意が僕達に向けてきたのだ
体に起こる、防衛本能、危険信号、直感が示している。
得体のしれない奴が喋ってはいないが、誰しも分かるだろう。


「これ以上、近づくな」


生徒の一人がボソッと言う
そう、つい言葉に出てしまう程の力の持ち主だとわかる
しかし、御剣はそれを振り払うかのように言う。


「ここまで、来たんだ今更撤退なんてできない」
確かにそうだ、ここまで来て相手の正体が分からないままで帰還するなんてできないであろう。
そうして、僕達はさらに奥に進む、長い長い道を進む。



―――――最深部


僕達は最深部にたどり着いた。
最深部に入ると周りに火が付いたのだ。
奥の方に、何かがいる。
その何かが少しずつ近づく、同時に殺意も近づいてくる。
生徒達は狼狽える、それは仕方ないことだ。
平和の世界で過ごした、僕たちにとっては本気で殺意を向けてくる奴なんていなかったんだから
無縁というものは恐ろしい事だ。
そして、部屋の主が現れた


大きさは10m程の巨大な三つ首の犬
地獄の番犬と言われた、ケロベロスだった。


アルバートは驚く
「何故!こんなところにケロベロスが!?」
「どうしたんですか!アルバートさん!」
「何が何も、本来はケロベロスはここに出現などしないのだ!」
「な、なんだと?」


アルバートはそのまま語る
「ケロベロスは本来、地獄にいる魔物なんだ!地上に現れることなんて本来はありあえない!
だって、この魔物はヨハン国王によって封印した魔物の一つだからだ!」
封印されたって事は、完全に倒すことはできなかったということだ
それを察した、生徒たちはパニックに恐怖するのであった。
死にたくない!助けて!と叫ぶ生徒もいる。
しかし、それを一喝を入れたのが、御剣だった。


「諦めるのはまだ早い!」
御剣は聖剣をもってケロベロスの頭に斬りかかる。
御剣の剣撃が閃光の如く斬る
ボトッっと音がする、ケロベロスの頭が落ちる音だ、ケロベロスの頭から血が噴き出す・
腐臭がした、不快な臭いだ。



それを見た、生徒たちは歓声のあげたのだ


「キャー!みつるぎさぁーん!!」
「流石、御剣さんだ!!」
「や、やったのか?」


おい!最後の奴!そのセリフを言うな!フラグが建っちまうだろ!?
だが、またもや異変が起きた。
斬られたケロベロスの頭が溶けてなくなり、ケロベロスの頭が再生していく
だから言ったのに!?誰だよあのセリフ言ってたやつ!


「な!頭が再生しただと!?」
「あいつの厄介所だ!アイツの核なる所が三つあるんだ!それを破壊しない限りはずっと再生する!」
「その核はどこにあるか分かりますか、アルバートさん?」
「すまねぇ、それは俺にもわからねぇんだ」
「そうですか…」


そして、御剣は再び剣を構える
「皆!ここで奴を倒すぞ!魔法隊は雷撃魔法を用意!前衛は僕に続け!」


生徒達は御剣の指示した通りに動く



「グルルルル…アオォォォォォン!!!」
ケロベロスは吠えた!


ケロベロスの攻撃力が上がった
ケロベロスのスキル遠吠えだ、ケロベロスは赤いオーラを纏った。
遠吠えの効果で一瞬怯むが、前衛はそのまま突き進んだ。


「てぇやあああ!!!スラッシュ!!」
御剣は聖剣で攻撃しするが、傷はすぐに塞がる
それを追撃するように横からライダーキックをする一樹がいた。


「閃光脚!!!」
ケロベロスの脳天にキックが炸裂した。ケロベロスは少し後退して、詠唱する生徒達に向って突進をする。


「させないわよ!!!ビックシールド!!!」
美空の防御スキルのビックシールドは大きな模倣の盾を召喚して防御をする。
ケロベロスの突進は盾に激突した、どうやらうまく防御がいったようだ。
美空はそのまま、盾で跳ね返した。
ケロベロスは再度回転しながら、後ろに回転するのであった。
魔法隊の一人が御剣に言う


「え、詠唱が完了いたしました!!」
「よし、撃て!!!」


魔法隊は同時に発動する


「「「「「”暴雷の嵐(トリニティ・テンペスト)”!!!」」」」」


その瞬間、中級魔法がが炸裂した。
ケロベロスの体に雷がいくつの束になって襲い掛かる、まるで嵐の様に
ケロベロスは立ち上がる、しかし大分弱っているようだ。
御剣は見逃さなかった、ここで仕留めるかのように聖剣はさらに輝く
そして、御剣はスキルを発動する。


「天命剣「リミテッド・ソード」!!!!!」


眩い光を放ち全てを切り伏せたのだ。
しかし、足りなかったようだ、ケロベロスに倒すまでの力が


「アオォオオオオオオン!!!」
「な、なんだと」


ケロベロスは瞬く間に傷を回復していくのであった。
ケロベロスの毛が逆立っていた、どうやらお怒りのようだ。
そして、先ほどよりも能力が向上している事に気がつく
御剣は先ほどの攻撃で力を使い切ったようだ。
ケロベロスは御剣を狙おうしてるようだ。
気が付いた僕は走った。


「っく!ここまでか?」
「アオォオオオオオオン!」
ケロベロスは突進攻撃する


「うぉおおおおおおお!!!」
「黒杉!?」
僕は咄嗟に御剣は突き飛ばした。
そして、代わりにダメージを受けることになった
「グボォアアア!?」
痛い!痛い!痛い!?体全身に激痛が走る
そしてそのまま僕は吹き飛んだ


「「楊一!?」」
「黒杉!何故君が!」
「そりゃぁ、自分ができることをしただけだ」
僕は立ち上がる、よろめきながら


「撤退の指示を出してくれ、御剣しかできないんだ」
「でも君が...」
「大丈夫だ!僕ならすぐに追いつく!」
御剣は目を閉じ、やがてまた開く


「分かった!すぐに来てくれ!」
「あぁ!」
御剣は皆に指示を出す


「一度撤退だ!これ以上戦っても、勝ち目はない!撤退だ!」
走り出した、御剣を見つけるとケロベロスは追いかけようとする
しかし、僕は短刀を石投げスキルで目に向って投げる
器用さが上がったおかげかうまくあたった
ケロベロスは目の痛みに吠えるかのように叫ぶ、そして僕にヘイトが集まった。


「よう!鬼ごっこは好きか?」
僕は走り出した、先ほどの先頭によって足場が結構崩れたようだ。
一歩間違えれば、下に落ちかねない。
僕は注意しながら走る、そして皆の姿見えてくる。
「黒杉!!こっちだ!!」
「楊一!」
「楊一くん!」


僕は扉に向って必死に走った。
僕は後、一歩踏み出したところで、気づく
ヒビに剣が刺さっていた。これは何を表すのか?
思考停止、この剣はどっかで見たことあるような気がする
どこでみたのであろうか?
そして、剣が刺さったところヒビが入り足場が崩れる


「楊一!!!!!!!」
美空は叫んで、必死に手を伸ばした、その思いは届かなかった。
僕が最後に見えたのは必死に手を伸ばす美空の姿と
不気味に笑う"板野"の姿だった。


そして、僕は暗い奈落の穴に落ちていった。


――――――生徒達は


「放して!!!楊一!!楊一!!!」
「晴渡さん!!落ち着いて!!」
「美空、落ち着け!!!」


いくら叫んでも、楊一の声は帰ってこなかった。
美空はただただ叫ぶのであった。


「私が守るって言ったのに...!どうして!いなくなっちゃうのよ!」
「「・・・」」
御剣と一樹は、ダンマリした。
「一樹!貴方までなんで止めるのさ!!親友じゃないの!?」
「俺だって探しに行きてぇよ!!!でもな楊一がやってくれたこと忘れるな!!
何の為に俺たちを逃がしてくれたと思ってんだ!!」


美空は一樹の言葉を聞いて、我に返る、そしてその場に崩れ再び泣いた。
「どうしてよ、楊一、なんで一人で行っちゃうのよぉ、うぇぇぇ...」


生徒達の雰囲気は最悪だった、急に自分のクラスメイトの一人がいなくなったわけだ。
いつも笑いあっていた、何気ない人が突如いなくなったという現実を突きつけされるのだった。
一樹は言った。
「美空!いい加減泣くのをやめろ!そしてあいつを勝手に殺すんじゃない!!」
「一樹…?」
「あいつは絶対に生きている、俺は信じてる、だから強くなってまた探しに行こう」
「一樹…」
「そうだね、勝手に彼が死んだとは決めつけはいけないね」
「御剣くん」


そうして、生徒たちは一度近くの村まで戻ることになった。
一人の犠牲のおかげで生徒は守られたのだった。


――――――????


夢だ…、いや僕は死んだのか?
でもこの感覚は…


となりに少女のもやみたいのが見えた。
僕は起き上がる、体全体が痛い…そうか僕はあの戦いで落ちたんだっけ…
周りを見ると、どうやら谷底のようだ。


僕は壁を使って起き上がる。
痛い、でもあの深さでよく生きてたもんだと自分に良い聞かせた。
そして、僕は洞窟の奥に進むのであった。

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