初級技能者の執行者~クラスメイトの皆はチート職業だが、俺は初期スキルのみで世界を救う!~

出無川 でむこ

プロローグ



ある日、夢を見た


その夢はとても曖昧のもので、あまり覚えていないかった。


ただ、覚えているとしたら自分の隣に綺麗な少女が立っていた。
綺麗な白い髪、ルビーのような真紅の目、振れれば傷ができそうな透き通った白い肌の子だった。


旅をしているのであろうか?その様な服装であった


少女は少年を手を引いて、声は聞こえなかったが


ただ言ってることがわかるような気がした。



―――「待ってる、、、貴方の事を」



君はいったい誰なんだ?


―――「私は―――」


僕は名前の部分だけ聞き取れなかった


少女は僕の手を離した。
僕はそれが嫌で、もう一度、手を繋ごうとした。
何度何度もだ、僕は暗い闇の中で走って追いかけた。
追いついた所で、慌てて僕は手を繋ごうとしたが
その手はすり抜けた。


ただ、少女は待ってるという言葉を置いて
闇の中に吸い込まれて少女は消えて行った。


ここで僕は目を目覚めるのであった


上半身を起き上がらせると僕は自分の服を触る、すごい汗だ。
ベットのシーツも触れると濡れていた。
汗が気持ち悪くて、慌てて脱いだ。


季節は5月だというのに、いつもならここまで汗を掻くことはなかった。
何故、こんなにも汗を掻いていたんだろうか?
自分は悪い夢でも見ていたのだろうか?
思い出そうとするけど、思い出そうとする程、夢は蜃気楼のようにかすれていく感じで忘れていく。


「・・・変な夢を見たなぁ。」


そう言って僕はベットから起き上がり、学校に行く準備をし始めた。
クローゼットから綺麗にたたまれたシャツといつもの制服を取り出し着替える
ただ、変わったとすれば学年のバッジが変わった事だった。
僕は今年の春で高校二年生なったんだ。


着替えてるとドアの向こうから声が聞こえた。
それは何時もの日常で聞こえる、安心した声だった。


「楊一!起きなさーい!ごはんよ!!」


母さんの声だ。


「起きたから、行くよ」


そう言って、少し急いで着替えることにした。
時間は7時30分だ、普段より遅いのは変わりなかった。
でも8時までに家にでれば普通に間に合う時間だ。
そう考えていたら、着替え終わって、学校の鞄を持って下に降りるのであった。


下に降りると、ご飯をよそう母さんの姿があった。
僕は美味しそうな匂いにつられて、朝の挨拶して椅子に座る。


「おはよう母さん」


「楊一、おはよう」


母さんはいつも通り優しい声で、挨拶してくれた。
目の前にご飯を置いて、母さんも僕の対面になるように座った。
母さんはニコニコしながら話す。


「一樹くんと美空ちゃんはもう外で待ってるわよ!」


「え、今日は早いな?」


僕はいつもならもうちょっと後で遅れてくるんだけどなぁって思いつつ、味噌汁をすする。


「父さんは?」


「今日は、お休みだからまだ寝てるわよー」


「最近、忙しかったからね。もうちょっと寝かせてあげたほうがいっか」


「そうねぇ、流石に23連勤だからねぇ、今日ぐらいは好きなように寝かせてもいいと思うわ」


23連勤って、ブラックすぎないか?
僕もいずれこうなってしまうのかと思うと、将来が不安になってくる。


そう言って、いつも通りに他愛もない話をして
食事が終わりって、玄関に向かうのであった。
母さんは言った。


「今日は何時に帰ってくるの?」


「今日は一樹の家で勉強しに行くから少し遅くなるかも」


「そっか、じゃあ気を付けていってらっしゃい!」


僕は「いってきます」言って、玄関のドアノブを手にかけ学校に向かうであった。
玄関を開く。


「よう!!楊一!」


「楊一!おはよ!」


玄関を開くと、友達が待っていた。
いつもと違う光景だった。
いつもなら、僕と美空が一樹を向かいに行くんだが、美空はともかく一樹は本当に珍しい。


「一樹、美空、おはよう」


「ハハッ!随分遅かったじゃねぇか!」


「バカッ!お前達が早すぎるんだよ!」


彼は山崎一樹(やまざき かずき)、僕の親友だ。成績はそこまでは良くないが、体育とスポーツが好きな奴だ。
主に、ボクシング、空手、柔道、その他色々やっている。
今日は学校が終わった後に、その一樹に家で勉強する予定だ。



「あんた達!早くいくわよー!」


「おい!待てよ!楊一いくぞ!」


「う、うん!」


彼女は晴渡美空(はれわたり みそら)、僕のもう一人の親友、文武両道型で勉強もスポーツもできるしっかりしてる子
忙しい身なのに、いつも一樹と一緒に勉強したり遊んだりしてる子だ。
昔から一緒にいるのだが、容姿は美人な方だと思う。
その証拠に、密かにファンクラブとかもあるとか何とか。


そして、僕は黒杉 楊一(くろすぎ よういち)
成績は普通、スポーツも普通、自分はどちらかというと控えめで文系の方だと思う。
争い事は好まず、平和的に解決したいタイプだ。


そんな僕達3人は昔からの幼馴染だ。
小さい頃は、良く公園で泥だらけになるまで3人で遊んでいたもんだ。
学校に向かっていると、一樹はちょっと唸るように話しかける


「そういやさ!今日は変な夢を見たんだよなぁ」


「夢?」


「あ!私も!変な夢を見たんだよね!」


一樹は見たことのない世界だけどどこか懐かしく感じた夢
広い草原が広がっていて、気持ちが良かったとか。


美空は誰かが崖におちて、助けられなかった夢
顔は見えなかったけど、誰か大切な人だと感じたらしい。


二人は同じ理由で今日は早く目覚めてしまって、それで僕の家にいつもより少し早く来たそうだ
流石に、美空も一樹が起きたのは予想外だったらしい。
まぁ、何時もなら向かいに行くまでずっと寝てるもんな。


「僕も変な夢みたなぁ」


「え?楊一も?」


「偶然にしては!タイミング良すぎだな!」


二人にも曖昧だったが、夢の内容を伝えた
二人は真剣に聞いてくれた。
そうすると、一樹が。


「へぇ、女の子が夢が出るのか、どうだ可愛い子だったか?」


「へぇ・・・」


若干、美空の目が怖いの気のせいだろうか?うん気のせいだろうな。
僕は気にしないでおくことにした。


「美人とか綺麗だったかは覚えてないんだよね、思い出そうとすると余計に忘れていくんだ。」


「そっかぁ、残念だなぁ」


一樹が何故か残念そうにしてた、自分の夢でもないのに何故、落ち込んでいるのだろうか。
次に美空が質問してくる。


「それ以外、本当に覚えていないの?」


「あぁ、うん、それ以外は覚えていないよ」


美空は「そっか」と言って、何時もの日常の話に戻ったのだった。
そう話している内に、学校に到着した。


そう彼らはまだ知らなかった
この後、想像もしなかった出来事が起きるのであった。


―――― 学校の教室


「よう!!陽一!!今日も冴えない顔してんな!!」
「・・・・」


僕はダンマリして、下を向いた。
彼は板野正和(いたのまさかず)、僕をターゲットにからかってくるグループリーダーであった。
理由はわかる、きっと美空だ。
板野は美空の事を前から見えていたからな
そんな中で、毎日一緒に仲良くしている所を見られているから気に食わなかったんだろう
そう思っていると、板野は肩を掴もうとする。


「おい聞いてるのか、黒杉!」


だが、それを遮るように一樹は板野の腕を掴み止める


「何やってんだ、やめろ」


「何だぁ?一樹か?」


お互いに睨みあう、このままだと喧嘩しかねないの雰囲気だ。
僕は、一樹を止めることにした。


「一樹、僕は大丈夫だから」


「でもよぉ、良いのか?こいつお前を狙ってんだぞ?」


一樹は板野の腕を掴んだまま放さない、力が強いのか板野の顔が少し歪む
しばらくして、板野は一樹が掴んだ手を払う。


「...ッチ」


舌打ちをして、自分の机に戻る板野
心配した顔の美空と少し怒った顔の一樹は僕に駆け寄った。


「楊一大丈夫?」


「楊一もたまにはガツンといってやれよ!」


一樹には申し訳ないが、僕にはそんな度胸は無いんだ。
僕は愛想笑いをして、ごまかすことにした。


「あはは、ごめんね。」


その姿を見た二人は、察したのか、一樹は不服そうな顔をして、美空は心配した顔をする。
しばらくしたら、いつも通りに戻り
一樹は困ったら、たまにはちゃんと言えよな!って言って自分の席に戻る
美空も一樹の言う通りよ!頼りなさいよね!って笑いながら自分の席に戻るのであった
僕は良い友達を持ったなって思い僕も自分の席に戻るのであった。


朝のHRの時間だ。
先生が教室に入ってきた
「ホームルーム時間だぁ、早く席に座れー」
昨日は徹夜でゲームをしていたのであろうか?
先生の目元にクマができている。
少し気だるそうだ。


現在8時59分


ふと時計を見た
時計の秒針の音がなぜかいつもより大きく聞こえた
先生の声の方がでかいのに、生徒のひそひそ話がよく聞こえるのに


何故か秒針の音がよく聞こえたのだ


ッチ..ッチ..ッチ..


違和感を感じた。


先生が僕の名前を呼ぶ。


「黒杉陽一」


ッチ..ッチ..ッチ..


秒針の音が離れられない
何故なんだ?


チッ..チッ..チッ..


急に不安が襲って来る。
その瞬間、僕の鼓動が早くなる
鼓動は、時計の秒針が9時に近づく度に鼓動が早くなっていく。
何故なんだ!
僕は苦しくなってくる。


「黒杉楊一!」


僕はとっさに返事をしようとしたその時だった


カチッ


音が聞こえた
僕は思わず時計を見た


――――9時


その瞬間、建物が揺れ始めた


「なに!?」


建物が揺れ始めると生徒達の叫び声聞こえる。
中には机の下に隠れる人もいた。
生徒達に恐怖が襲って来る。


僕はパニックになる中、生徒たちの足元をよく見た
赤く光る魔法陣みたいなものが浮かび上がる


僕は叫んだ!


「一樹!美空!!」


僕は手を伸ばした。
二人は慌てて、僕にに近づこうとした瞬間・・・


意識は途絶えた。


――――夢だ


また、同じ夢だ
今度は暗い・・・あれ?あの子は?


黒杉は見おぼえある少女を見かけた
そうだ、僕の夢に出てきた女の子だ


女の子はうずくまっている
何しているのだろうか?
僕は近づいた。


少女は話す、今度は聞こえる声で


――――「寂しい...」


僕は彼女に話しかける。


どうしたの?


彼女は振り向いた、泣いていた。
すごく悲しい顔だった、


僕はその顔を見て、ひどく心が痛んだ。
あったこともないのに何故なんだろう?
僕も悲しくなってきた。
悲しませたくない、だから僕は思わず言ってしまった。


いつか、向かいに行くから泣かないで。


すると少女は笑顔になって、再び闇に消えた。
僕は手を伸ばすが、また届かなかった。


そこで僕の意識は戻ったのであった。


僕は起き上がる。
すると、目を触ると濡れていた。
それは涙だった。
相変わらず、夢の内容は覚えていないが。
今度は悲しい夢を見たのだろうか?
その悲しい気持ちだけが残っていたのだから、悲しい夢でも見ていたんだろう。


そして、僕は周りは見渡し言う


「何処だ・・・?ここは?」


しばらくすると、生徒が一人、また一人と起き上がる。
起き上がると生徒達は混乱していた。
ここはどこ?その声があちらこちらと聞こえたのだった。
僕は立ち上がった。


「「楊一!」」


聞き覚えのある声だ。
振り向けば、そこには美空と一樹いた。


「一樹!美空!良かった、無事だったんだね」


「あったりめぇよ!!」


いつも通りの一樹だと知って、僕は安心する。
美空は不安そうに話す。


「ここは一体どこなの?」


それは僕にも分からなかった。
ただ、学校ではないことがわかる。


僕はもう一度、周りを見渡す。
随分豪華な城みたいな所だった
周りには騎士だろうか?甲冑を着ている騎士が沢山いたのだ。
そして、力強い声が聞こえた


「ようこそ!勇者殿!貴方達を待っていた!」


僕と生徒たちは突然のことで困惑するのであった。
僕達はいったい何処に来たんだ?
目の前にいる男性は誰なんだ?


そんな不安が一斉に僕達に襲うのだった。







          

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