朝の来ない異世界と七大魔法剣士(マジックナイト)

七瀬はやと

プロローグ①

「じゃあ帰るとしますか。」 
そんな声が隣から聞こえてくる。
「そうだな。」

軽く返事をした後に俺達は、ゆっくり歩いて帰ることにした。
帰ることを提案してきた隣にいる奴は竹井直也だ。
こいつとは、小学校からの仲で今は高校二年生だ。 

そして、他人の自己紹介をしている
俺の名前は天宮海斗。
同じく高校二年生だ。運動も勉強も良くも悪くも無く、何をやっても普通になってしまう。

そんなくだらない自己紹介を心の中でしていると直也が笑いながら話し掛けてきた。

「そういや海斗、今日この町の近くで大きな地震が来るらしいってよ!」

そう俺に教えてくれた。地震か....久しぶりに聞く単語だな。


「本当に?それは嫌だな」


ま、来ればの話なのだが....こんなこと思っているとフラグが立ってしまうから出来るだけ避けたいな...そんな心の声が漏れそうになってしまう。



「多分来ないでしょ」みたいな明らかにフラグを立てるような会話をしていたら、直也より家に帰るのが早い俺は家の近くに着いた。       
直也に手を振り俺は家に入った



「ただいまー」そう俺が言った時にはリビングに家族がもう帰っていた。



「お兄....兄貴お帰りー」と弟の声が聞こえる。そう俺には2才年下の弟がいる。
俺自身は優しい弟だと思っていんだが弟はそうは思ってないらしい。


「海斗、お帰りなさい。晩ご飯もう少しで出来るから少し待っててね。」と母さんが教えてくれた。
 
そういや来年から弟の涼介が高校生になるんだっけな?そう考えていたらふと疑問が思い浮かんだ。

「そういや涼介、高校入ったら部活やるのか?」特に意味があるわけではないが気になったので聞いてみた。



「特に部活をしようとは思ってないよ!バイトを頑張りたいなぁ~て思ってるんだぁ!」


どや顔をして俺に話してくれた。
嫌別にどや顔するほどでもないだろ?


そんな事を思っていると、母さんが「出来たわよ」と教えてくれた。


俺は弟と一緒にテーブルに並べられたカレー?かなと思われる物を見ながら、椅子に座った。「いただきます」そう手を合わした時だった。

俺のポケットに入れていたスマホが不気味な音をあげた。それは緊急地震速報による音だった。鳴った瞬間体が驚くほどに揺れた。




これはやばい、今までに無い位激しい揺れだ。地震によって近くにあった電信柱が俺の家に向かって倒れてきた。


ガシャン、パリン、窓ガラスが砕け散った音が聞こえる。



「うっ.....はぁはぁ」
崩れた木々が乗っかっていたがかすり傷で済んだらしい。俺はどうにか生きていたが母さんは頭から血を流して苦しんでいた。弟も壊れた家の木々の下敷きになっていた。



「助けてお兄...ちゃん..」弟の声が聞こえる、その声を聞いた俺は急いで木々を持ち上げようとするが全く持ち上げることは出来なかった。

「くそっ、待ってろ今助けを呼ぶから」



俺はそういいスマホを取り出したが、スマホは使えないくらいヒビが入っていて使うことが出来なかった。

「何で?嫌だ!早く助けないと。」



再度俺は自分でどうにかして助けようとしても、木々は持ち上がる気配を見せない。するとこたつに使っていたコンセントから火花が散っていることが分かった。




その瞬間、火が木々を少しずつ燃やし始めていた。それに気付いた母さんが涙を流しながら俺に言った。



「もうダメかも知れない、私達の事はいいから、貴方だけでも逃げなさい」

そう言われても見捨てる事なんて出来るわけない。


「で、でも......」

迷っていると母さんは俺に怒鳴った。

「早くしなさい、私はここで一緒に皆で死ぬより海斗だけでも助かった方が良いに決まってるでしょ。」



「ごめん、母さん、ごめん、涼介」
俺は涙が止まらなかった、そして俺は外に出た。

まだ間に合う、確か近くのコンビニの前に消防署があったはずだ。

火が家を焼く音が聞こえる.....それより早くしないと「誰か助けて下さい!!」そう大声で叫んだが、誰もそれに反応しなかった。


「俺に母さんや涼介を守れるくらい力持ちで強かったのなら?助けられたのかな?」

自分が生き残って、二人を助けれる手段も思い付かない自分にもどかしくなる。


そう思いながら助けを求めて信号を渡ったときだった、後ろからクラクションが聞こえる。避けようとしても足が動かなかった。「誰かを守れる力が欲しい」
車は止まることなく俺にぶつかった。


「苦しい、死ぬのかな?ごめんね母さん、涼介、せっかく大切にして貰った命....ごめん....ね...」そして俺は意識が遠くなっていった。

それは一瞬の出来事.......大切な物は目の前から消えていった。自然現象に恨んだ所で何も出来ない、つらい、悲しい、悔しい、そんな感情が出てくる。
何だろうか?白い光が薄く広がっている。

そんな光を感じて、目を開けると俺は白い世界にいた。

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